第572話 〈白の玉座〉と【大聖女】、真の能力の一端。
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・アクセ装備①② 〈白の玉座〉
〈防御力50、魔防力50〉
〈『プラスレンジLV10』『回復減退耐性LV10』〉
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〈白の玉座〉の能力は単純だ。
『プラスレンジ』、遠距離〈スキル〉〈魔法〉の射程を伸ばすスキル。
例えば2マス先までしか届かなかった魔法が12マス先まで届くようになる。
10マス分の距離、飛距離が伸びるスキルだ。
ちなみに山によって飛距離が伸びることもないぞ。
『回復減退耐性』、マスの境目で回復効果が減退するのを抑える。
〈スキル〉〈魔法〉はマスの境目を越える際、威力が大きく減退される。
隣接マスでも3割から5割減退、2マス離れていたらほとんど役に立たない。
それを回復だけとはいえ、抑えてくれる。
これにより、〈白の玉座〉を装備したヒーラーは遠距離回復砲台として機能するようになる。マジで強い。
手に入れた時は〈回復減退耐性〉はLV9だったが、これは強化せざるを得ないと〈スキル強化玉〉を使用し、現在はLV10に上げている。
本来、アリーナではマスを越える攻撃、遠距離攻撃はほとんど意味をなさない。威力が減退されてしまいまともな攻撃力を持っていないからだ。
下手をすればあれだけ攻撃したのにダメージゼロだった、何てこともありえるのだ。
それを〈白の玉座〉の使い手だけ、回復限定とはいえ無視できる。
このアドバンテージは計り知れない。
さすがは〈テンプルセイバー〉をたった一つの装備でAランクに押し上げ支えた実績を持つ装備、とんでもない性能の装備だ。
だが、この〈白の玉座〉にはまだ秘密があった。いやコンボかな。
現在〈白の玉座〉を装備しているのは、【大聖女】のラナだ。
【大聖女】、ここポイント。
この【大聖女】、実は発現条件に〈白の玉座〉が必要なのである。
え、なんで? と思うだろ?
〈白の玉座〉が必要? なぜ? 理由は? って。
答えは簡単で〈白の玉座〉とは本来、
―――『【大聖女】が装備することを前提に製作された装備』だから、である。
別に【大聖女】専用装備というわけではない。
〈白の玉座〉は普通にヒーラーなら誰でも使える。スキルだって汎用系だ。
しかしである、一見汎用系に見えるこのスキル、【大聖女】に装備したとき、その本領が発揮されるのだ。
【大聖女】の〈魔法〉、『大聖女の祈りは癒しの力』を使用すると、自分の〈魔法〉全てに〈
ここで〈スキル〉〈魔法〉の分類カテゴリーについて少し説明したい。
例えば〈攻撃〉というものがある、これも所謂分類カテゴリーだ。
大本に〈スキル〉があり、そこに分類カテゴリーが加わる。
〈スキル〉に〈攻撃〉が加わると『攻撃スキル』となる、といった感じだ。
分類カテゴリーに〈防御〉があれば『防御スキル』になるし、〈回復〉と付いていれば『回復スキル』となる。
これは一例だが、なんとなくイメージは出来ただろうか。
ただこの分類カテゴリーは一つしか付かないというわけではなく、例えば【勇者】のスキル、防御しながら三連攻撃する『ガードラッシュ』は〈攻撃〉〈防御〉の分類カテゴリーが付いているし、全体挑発しながら味方にバフをするスキル『カリスマ』なら〈挑発〉〈強化〉の分類カテゴリーが付いている。
さらにそこへ属性系、〈火属性〉が加わるなんてこともある。結構複雑だ。
そこで話は【大聖女】に戻るのだが。
四段階目ツリーの魔法の一つ――『大聖女の祈りは癒しの力』。
効果は自分の〈魔法〉に〈回復〉の分類カテゴリーを付与すること。
本来なら【聖女】のユニークスキル、回復を付与した者にプラス継続回復を付与する『守り続ける聖女の祈り』とコンボで使う魔法である。これにより、たとえ
しかしである。それだけではこれを取得するには少し弱い。じゃあなぜラナに取得させたかというと、――〈白の玉座〉と合わせて使うためである。
もうお察しかもしれないが、『回復減退耐性』の対象は〈回復〉の分類カテゴリーを持つ〈スキル〉〈魔法〉なのだ。
自分の〈魔法〉に〈回復〉を付与するということはだ。
――なんとこの【大聖女】、攻撃魔法だろうが防御魔法だろうが減退せずに遠距離攻撃をぶっ放せるという意味である。
もうビックリである。
なんてたってどう見ても攻撃魔法であり、回復のかの字も無い『大聖光の四宝剣』にもしっかり〈回復〉の分類カテゴリーが付いているのだ。もちろん攻撃された相手が回復することは無い。〈回復〉のカテゴリーが付いただけで魔法自体の効果は変わっていないからだ。「相手にダメージを与える」効果ならダメージを与えるだけである。
―――『【大聖女】の祈りは全て癒しの力』。
〈ダン活〉の攻略本には、こんな設定が書かれていた。
「たとえ巨剣をぶっ放していたとしても、ダメージしか与えられなくても、それは癒しの力なのだ(断言)!」
――〈白の玉座〉。
これを装備した【大聖女】はもう回復魔法だろうが、攻撃魔法だろうが、強化魔法だろうが、防御魔法だろうが、威力の減退を気にせず撃ちまくれるようになる。
これが本来の〈白の玉座〉の運用法。
上級部門・公式
「というわけで、ラナはここで固定砲台を頼むぜ」
「もう、ゼフィルスの頼みなら仕方ないわね!」
仕方ないといいつつラナはやる気マンマンだった。
場所は中央山に近い真西、よりやや北側に行った地点だ。(図J-16)
先ほど俺とエステルが見に行った要塞が視認できる地点であり。『プラスレンジ』の効力も手伝って射程内へ押さえている。具体的に言えば要塞から11マス南東の位置だ。
ラナの魔法の飛距離は12マス。ギリ届く位置だな。
ここに攻撃部隊全員とラナを連れて来ていた。
さらにこの位置は南へ向けば〈1組〉防衛ラインがすぐそこに位置し、北東からの攻撃阻止も見えている重要なポジションだ。〈1組〉の拠点へ向かおうとする者を射程内に収める位置でもある。部隊を出せば防衛ラインにいる味方も援護できる。
もうお気づきかも知れないが、俺は超遠距離から要塞を破壊することにした。
なんて理不尽すぎる攻撃。超々遠距離から一方的に攻撃されるとか理不尽きわまる!
とはいえ、正直リーナの作り上げた要塞はなかなかの硬度だ。HPバーが三段もある。優先的に強化したのか、すでに二度、強化の手が入っているな。
〈防壁〉アイテムは独特な特性を持っていて、拠点のようにHPを持ち、それを削りきれば破壊することが出来る。逆に言えばHPが少しでも健在なら破壊は出来ない。
「本当によく出来た要塞ね。リーナったらあんなの作って、ちょっと壊すのが可哀想じゃない」
「かわいそう……その発想はなかったな。ちゃんと壊してくれよ?」
「わ、分かってるわよ。ちゃんとやるわ! 見てなさいよ」
「とは言ってもラナは最初援護だぞ? 宝剣はダメだぞ? 作戦通りに頼むぞ?」
「もちろんよ!」
ラナに再三言っておき準備を終える。
要塞をラナ1人で削り切るには少し時間が掛かるだろう。クールタイムを待っている間に追っ手が掛かること間違い無しだ。なので、こっちも部隊を出すことにした、要はラナのところまで来させない壁人員だ。ぴったりの人材がいる。
今回はラナの位置が見つからないようにこっそりと攻撃しなくてはいけないので、魔法にもよるが、派手な宝剣などの使用は最初だけ抑えるよう言ってある。突入部隊により攪乱させた所へ宝剣を打ち込み、どこから攻撃されているか分からないまま混乱の極みに陥ってほしい。
俺たちはこれより〈5組〉〈12組〉〈51組〉の連合が治める要塞へ攻撃を仕掛ける。
――ここで突入させるのは。
「出番だぞ〈マッチョーズ〉! 準備は出来てるな?」
「この筋肉に任せてもらおう! 俺の筋肉が唸っている!」
アランがこれでもかと筋肉を膨らませてカッと目を見開いた。
先陣を切るのは、筋肉を無駄にひけらかせている〈マッチョーズ〉だ。
筋肉の壁は厚いぞ~。
【筋肉戦士】はステータスがハチャメチャなくらい高いが、その代わり装備を身につける事が出来ない。つまり弱点がある。しかし、その弱点を大きく改善する戦法が存在する。
ラナの支援回復により、無敵となった筋肉を投入しようじゃないか。
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補足説明失礼します。
【聖女】ユニークスキルは「付与」する、が条件となっています。
〈回復〉〈
〈攻撃〉〈
攻撃された相手は回復しない、と認識いただければ幸いです。
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