第524話 いざ召喚! 準備完了、クラス対抗戦、開始!

 前書き失礼します。

〈ジェネラルブルオーク〉の持つ〈仲間呼びの角笛〉は使えるのか、という質問が多かったので、この場を借りて回答させていただきます。

〈仲間呼びの角笛〉の効果は〈仲間を呼ぶ〉系なので〈召喚〉系ではない。

 角笛を使ったとしてもアリーナや学園周囲に仲間はいないので、


「〈ジェネラル〉は角笛を使った。しかし、誰も来なかった」


 となります。

 以上、終わります。

 ーーーーーーーーーーーーーーー




「〈ウルフ〉、〈リーダーウルフ〉はまだ分かる。しかし、コスト70ってなんだこりゃぁ!!」


 サターンが叫ぶ。

 とてもいい反応だった。


「ふふ……、とんでもないコストですね。これはどこのモンスターなのですか?」


 ジーロンが聞いて欲しいことを聞いてくる、ならば答えよう!


「はっはっは。聞いて驚け、中級上位ダンジョンが一つ、〈強者の鬼山ダンジョン〉の10層フィールドボスだ!」


「何! ボスの召喚盤だって!?」


「しかも中級上位チュウジョウだと!?」


 俺の答えにトマとヘルクが目が飛び出さんばかりに驚いた。

 隣にいたサターンからは「中級上位ちゅうじょう? ゼフィルスたちはもうそんなところまで?」という声も聞こえた。


 耳を澄ませば知っているメンバー以外はみんな驚きにざわめいている。

 サプライズは成功だな。

 一部呆然としているが、俺は語るのをやめない。


「いやぁ、昨日偶然〈金箱〉がドロップしてな。いやぁ、参っちまったぜ」


 全然参っていないが謙虚に自慢する。(全然謙虚してない)


 中級上位ダンジョンの〈金箱〉産〈召喚盤〉の価値は計り知れない。

 弱体化しているとはいえボスをポップさせることが出来るのだ。

 ボスとは、複数の人間キャラがあたってやっと倒せるモンスターである。それは召喚されたボスも変わらない。


〈ジェネラル〉さんは強いぞ~。


「と、とんでもない物を用意してきたのだな、ゼフィルス……」


「ふふ。敵なら恐れ戦きますが、味方ならこれほど頼もしい人もいないですね」


 サターンがなぜか引きつった顔で俺を見る。

 ジーロンは俺に頼もしさを見いだしているようだ。

 そんなに見つめんなよ、照れるじゃないか。


 注目を集めた俺はさらに運用方法を説明する。


「組み合わせは〈ジェネラル〉1体、〈リーダーウルフ〉2体、〈ウルフ〉7体の構成で、使用コストは98だな。基本的に〈ウルフ〉はかく乱担当。〈リーダーウルフ〉に〈ウルフ〉を率いさせて能力を上昇させ、相手の行動を妨害する。〈ジェネラル〉は切り札だが、相手も防衛ラインを突破するだけでヘロヘロだろう。そこへ〈ウルフ〉たちのかく乱で集中力が切れたところに投入する予定だ」


「うわぁ……」


 俺の説明に誰かが「うわぁ……」した。想像してしまったのだろう。

 うむうむ。面白い作戦だろう?


「頑張って到着したところにボス配置とか鬼かゼフィルス」


「ふふ、やっぱりゼフィルスはゼフィルスですね」


「相手に同情するぜ」


「まったくだ」


 何か色々言われている気がするが、きっと褒め言葉だろう。


 ゲーム〈ダン活〉時代は防衛モンスターとは妨害する障害といった意味合いが強かった。

 そもそもの話、防衛はキャラで行うのが常道だ。

 防衛モンスターというのはある種のロマンに過ぎない。

 正直に言えばやられ役なので何を配置してもいいのだ。


 まあ確かに、こういうモンスターが厄介、この防衛モンスターはおすすめというセオリーはあった。主に状態異常やデバフ系を使うモンスターが多かったな。

 しかし、それじゃあつまらないだろう?

 召喚術師やテイマーはロマンの塊だ。

 そのため俺はゲーム時代から〈拠点落とし〉だけはセオリーを無視し、好きなロマン優先モンスターを使っていた。


 まあ、今回はさすがにリアルクラス対抗戦なので真面目に選んだけどな。

〈リーダーウルフ〉と〈ウルフ〉の組み合わせは厄介だ。『統率』スキルが猛威を振るうと格が上がる。そして何より倒しづらくなり、時間を稼ぐことが出来るのだ。スピードも速い。みんなも〈バトルウルフ〉のお供にいいように翻弄されたのは記憶に残っているだろう。

 そこにパワー系のボスが加わると、一気に戦線を崩すことができる。


 コストが低く、バフを持ち、使いやすい。

〈ウルフ〉系は俺のおすすめだ。



 基本的に俺たち学生が相手にするため、行動範囲が拠点を中心をした+2マス以内しか動けない防衛モンスターはもしかしたら使わないかもしれないが、拠点に万が一抜かれても何とかなるかも知れないというのは、心に余裕を持たせてくれる。証拠に防衛担当のメンバーたちは少し安堵の表情が見られた。


 でも「〈ジェネラル〉よ、なぎ払えー」とかはちょっと言ってみたいな。

 拠点に敵が迫ってほしいとか言えないけど。


「じゃあ、モンスターを召喚するぞ。防衛担当はやり方を見ておくように」


 俺はコンソールをポチポチーっとして防衛モンスターを召喚する。

 やり方は単純だ。コンソールはエレベーターのボタンに近い。対象モンスターをポチ、数字をポチして、最後に召喚ボタンをポチっとする。


 すると浮いた石版が光り輝き動き出し、召喚盤に書かれた魔法陣と同じ模様が石版に刻まれ、魔法陣が光るとそこに〈ジェネラルブルオーク〉が立っていた。


 クラス全員から驚愕の声と、そしてはっきりとした笑みがこぼれた。




「さて、準備は整ったし、そろそろ時間だな」


 空中に浮かぶスクリーンには、すでに開始秒読みのカウントダウンが表示されていた。

 拠点を出てマスの境界ギリギリに立ち、みんなでそれを確認したところで、俺は振り返る。


「みんな、やるからには勝つぞ! 〈1組〉の力を見せつけ、たとえ大勢で攻めてこようとも防ぎきり、拠点を落としまくって勝利を狙う! 目指すは1位、トップ通過だ!」


 ビリビリとした刺激的雰囲気が場に流れる。

 みんなの気分が高揚してくるのが伝わってくる。


 俺は一度溜めて、叫んだ。


「〈1組〉勝つぞーーー!!!!」


「「「「「うおおおおおお!!」」」」」


「「「「おー!」」」」


 男子は気合が爆発したように叫び、女子もやる気に満ち溢れた声を上げる。


 これが、リアル〈ダン活〉のクラス対抗戦の雰囲気。

 盛り上がってきたぜ!!


「それぞれ配置に就け! 攻撃担当はブザーと共に出発だ。作戦通りに動くぞ!」


 攻撃担当、そして防衛担当。

〈戦闘課1年1組〉のメンバーがそれぞれ動く。

 俺は今回、攻撃メンバーに加わる。


 気合十分。士気も最高潮。


 スクリーンからブザーが鳴り響き、〈クラス対抗戦〉が始まった。




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