第495話 ラナとの約束。ご褒美の上級装備。
本日二話目、まだ一話目読んでない方はバック!
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さて、【大聖女】になる条件は、一部かなり難しい部分があった。
しかしその難関も、偶然だがクリア済みだ。
――【大聖女】の発現条件。
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①〈【聖女】の
②〈『守り続ける聖女の祈りLV5』以上、『勇者復活の奇跡LV5』以上、『魂の誓いLV5』以上、『聖光の耀剣LV5』以上、『聖守の障壁LV5』以上、を持つ〉。
③〈〈天聖の宝玉〉の使用〉。
④〈〈白の玉座〉〈聖の装束〉〈光の
⑤〈〈攻略者の証〉20個以上保持。うち〈エクストラダンジョン攻略者の証〉1個以上保持〉。
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以上だ。
これを例の〈
①〈【○○】の
②〈特定のスキルか魔法をLV○○まで育てる〉。
③〈〈○○〉アイテムの使用〉。
④〈○○系統の装備した状態で〈
⑤〈特殊条件〉
となるな。
この中で最も難しいのが装備だった。
つまり④。
これ、全部上級の〈金箱〉産装備である。
これがあるために、俺はラナを【大聖女】に就かせられるのはまだ先かなと思っていた。
思っていたのだが、そこにとんでもないニュースが飛び込んできた。
なんとAランクギルド〈獣王ガルタイガ〉がこの装備の1つ〈白の玉座〉を所持することになったのだ。
以前、〈テンプルセイバー〉と〈獣王ガルタイガ〉が〈決闘戦〉を行なったと聞いたが、その賭けに〈テンプルセイバー〉が〈白の玉座〉を賭けた。
俺からすればとんでもないことだぜ。
結果、その〈決闘戦〉の勝者は〈獣王ガルタイガ〉となり、〈白の玉座〉は〈獣王ガルタイガ〉の下に渡ったとさ。
それが原因で〈テンプルセイバー〉は弱体化。Bランク落ちも確実となってしまい下部
それでだ。この〈白の玉座〉。
能力的にヒーラーが装備する物なのだが、実は「猫人」にヒーラーはいない。サポートならいるんだが。
つまり「猫人」のみで構成された〈獣王ガルタイガ〉では使われていなかったのだ。
え? じゃあなんで〈白の玉座〉なんて
どうも〈テンプルセイバー〉はその傲慢さで〈獣王ガルタイガ〉に対し、再三〈馬車レシピ〉を寄越せと言ってきていたらしい。
しかも、正当なレートを提示したら、「そんなに払えない。安くするのだ」と言うおまけ付きだ。
〈獣王ガルタイガ〉は傭兵ギルド。こんな舐めた態度されたら「戦争だー」になるのも理解できる。
話が脱線したが、そのせいでゲットしたはいいが〈白の玉座〉が埃を被っている状態だったそうなのだ。(カルアの幼馴染、ミミナ先輩談)
そこで夏休み中に交渉を開始、装備同士の交換を持ちかけた。
〈白の玉座〉のレートは〈からくり馬車レシピ〉と同格とされている。
〈からくり馬車レシピ〉の価値は今じゃ天井知らずに高くなっており、初級ダンジョンでドロップするものとは思えない金額が付いている。さすがにそんなには払えないのでお互いが妥協できるレートを見つけていったのだ。
しかしさすがはAランクギルド〈獣王ガルタイガ〉、傭兵ギルドということもあって交渉は中々難航した。
〈白の玉座〉だってこの世界じゃとんでもない価値を持つ
さすがに難しいかと思ったときだった、セレスタンがとある話を持ち出した。
それはとある上級装備。その名を聞いた瞬間、獣王子の顔が明らかに変わったんだ。
セレスタンの話を要約するとどうやら〈獣王ガルタイガ〉はずっとその装備を欲していたらしい。セレスタンがどこでそんな情報をゲットしてきたのかは知らない。
しかし、その装備は上級装備、さすがに〈エデン〉はまだ、持っていない。
どうしてそんな話を出したのかと思ったら、なんとセレスタン、その装備をいずれ〈エデン〉が取ってくるから〈白の玉座〉を貰えるよう交渉し始めたのだ。あの時はビビッたぜ。
さすがに手に入るかわからない物と交換は無理だろと思ったのだが、いくつかの条件を付け加え、〈エデン〉のギルドマスター、つまり俺が卒業するまでにそれが手に入らなければ〈白の玉座〉は返却する、また、手に入るまで一月ごとに中級〈金箱〉産装備を1つ譲るという条件で、なんと交渉は
こうして難しいと思われた〈白の玉座〉を手に入れることができたのだった。
マジかと、あの時はビックリしたよ。
この世界では上級装備とかそれだけでとんでもない価値があるというのに。
いや獣王子曰く『使わないのなら持っている意味が無い』だそうだ。なんという実践主義。獣王子にコレクションの趣味は無いようだ。
レートさえしっかり釣り合っていれば最初から手放すのは問題無かった模様。
今後ゲットすべき上級装備が1つ追加されたが問題ない。絶対ゲットしてやるさ!
ちなみに〈獣王ガルタイガ〉が今まで〈白の玉座〉を売らなかった理由だが、あまりに高すぎて売れなかったらしい。
カルアと同郷らしきミミナ先輩は苦笑していた。売るにしても、金額が高すぎて学園内では買い手が付かないらしく、持て余していたらしい。
〈テンプルセイバー〉をAランクまで引き上げた装備だ。欲しいギルドは多かったらしいが、金額がネックだよな。あまり安く売ると〈獣王ガルタイガ〉が舐められる。
今代の最高学年には獣王のご子息、獣王子がいるので、とくに舐められる訳にはいかないのだろう。大変なんだな。
それは置いといて、こうして準備は整った。
〈測定室〉にノックの音が響く。
「どうぞ」
「失礼いたします」
「本当に、タイミング良いなセレスタン」
ほんと、どこかで計っていたんじゃないかというタイミングでセレスタンが現れる。
いや、実際廊下でタイミングを計っていたのかも知れないぞ。冗談だが。
突然のセレスタン登場にきょとんとするラナが言う。
「あらセレスタン、どうしたの?」
「今日はゼフィルス様から要望があった物をお持ちいたしました」
「助かるぜセレスタン早速出してくれ。あ、この〈竜の像〉の前に頼む」
「かしこまりました」
しっかりと背筋が伸びた歩みでセレスタンが〈竜の像〉の前に寄ると、〈
「わ、わわわ! ゼフィルスなによこれ!」
ラナがそれを見てびっくり驚き、そしてキラキラした目で見つめ出す。
そこに鎮座したのはまさに玉座。
名前の通り、白を基調とし、石のような素材を削って作られた迫力ある姿。
太陽のような意匠が画かれ、それが神々しさを演出していた。
端的に言えば凄くカッコイイ椅子だ。
「ふわー、凄くかっこいいわね、これ!」
「ラナもこれのかっこよさが分かるか! そうだ〈白の玉座〉はかっこいいんだ!」
石を削って作り出した見た目というのがポイントだ。石の椅子ってなんでこう、かっこよく見えるんだろうな。不思議だぜ。
「〈白の玉座〉! これ、上級装備じゃない! 私が使ってもいいの!?」
「ああ。夏休み中、1ヶ月も公務を頑張ったラナへのご褒美だ」
「えっ?」
ビックリという顔で俺を見つめるラナ。
「覚えていてくれたの?」
「もちろん。約束したからな」
ラナが帰ってきたあの日、ご褒美を上げるって約束したからな。
ついでに3泊4日の合宿に連れて行けなかったお詫びも入っている。
俺は約束を守る男だぞ。
「ぜ、ゼフィルス……」
感極まったラナが両手を胸に持っていきじわっと目を潤ませた。
「気に入ってくれたか?」
「うん。とってもね!」
「そいつは良かった」
慣れない交渉をした甲斐があるってものだ。チラッとセレスタンを見つめると、柔らかく微笑みながら控える執事がいた。静かに俺たちのやり取りを見守っている。
さすがセレスタンだぜ。
もじもじしているラナをこのままジッと見つめていたいところだが、なんだかさっきから視線を強く感じるので、惜しいが先へ進めたいと思う。
「……ラナ。〈白の玉座〉を装備してみてくれ。そして〈天聖の宝玉〉を使えば【大聖女】の発現条件は揃うはずだ」
「分かったわ」
この夏休み中に〈特殊条件〉だった〈攻略者の証〉は集め終えている。スキルも俺がプロデュースしたのだ、問題は無い。これミスると詰むからな。合計SP25必要とかマジ難易度がヤバいぜ。
そして今渡した〈天聖の宝玉〉を使えば準備は完了だ。
「エステル、これちょっと持っててもらえる?」
「はい。こちらで保管しておきますね」
〈白の玉座〉はアクセサリー装備枠を2つ使う。
ラナは元々装備していた〈光の護符〉と〈
「これ不思議ね。石作りに見えるのに座っても痛くないわよ。触っても固い感触なのに」
「装備だからな」
装備不思議現象だ。俺も〈サンダージャベリン号〉の助手席によく座るが、座席がいくら揺れようと、風が当たろうと、なんならモンスターの攻撃が当たろうともなんともない。
痛みも寒さも感じない素敵空間だ。
〈白の玉座〉にもそれが適応されている様子だ。
「ラナ、次に宝玉の使用だ」
「分かったわ。これ、本当にドキドキするわね」
ラナはそう言って〈天聖の宝玉〉を見つめ、魔力を流す。
するとシエラの時と同じように光の粒子となってラナの体に吸い込まれていった。
ラナが手を翳し、粒子が踊っている様子を見つめている光景が、なんだか幻想的に見えた。
「ふう。これでいいかしら?」
「おう、完璧だ! これで〈竜の像〉に触れてみてくれ」
「いよいよね」
ラナは俺に確認を取ると、一切の躊躇もなく、ゆっくりと〈竜の像〉の頭に手を乗せた。
現れた一覧表には、しっかりと【大聖女】の名が発現していたのであった。
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結局ラナ〈
明日から、今度こそ1話につき1人ずつ〈
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