第469話 遊びつくし、夕日が沈む。海もそろそろ終わり。
スイカ割りは大好評で終わった。
結局スイカはSTR初期値組には割ることは出来ず少しヒビの入った程度で終わった。続いて割りにいったのはそれなりに育っているSTR持ち、だが、予想通りオーバーキルする形になってしまった。その後、俺たちが美味しくいただきました。
スイカ割りの後は様々なビーチで遊ぶ系の定番で盛り上がった。
まずはビーチとくれば、ビーチフラッグだろう。
ビーチに旗を立て、離れたところで反対向きにうつ伏せになってスタート待機、ゴーサインと共にダッシュして旗を先取した人の勝ちだ。
一応注意点として、旗は必ず乾いた砂に立てること。
ヘッドスライディングする人も多いからな。濡れた砂は意外に硬いので水着でスライディングを決めると怪我をするんだ。
まあこの世界では防御力とHPが仕事をしてくれるので怪我はしないかもしれないが、一応な。
また、うつ伏せでスタート待機をする時は熱い砂の上でやらせちゃダメだぞ。火傷しちゃうからな。
濡れた砂浜でやらせるのだ。
構図としては海側に人、旗は陸側に立てる感じだな。
これ、ビーチフラッグをするときのお約束。
さて、スイカ割りではSTRのほにゃららで決めたが、今度は競争なのでAGIが近い人対決をさせた。
AGIは誰しも少なからず育てているのでなかなかに見ごたえがあったぞ。
あと、ただフラッグを取って遊ぶだけでは物足りないので勝った人には賞品をプレゼントだ。まあお菓子やジュースだけどな。
なぜかAGI初期値であるはずのハンナが賞品貰っていたのには驚いたよ。
続いて恒例のビーチバレーもやった。
普通の2対2だ。
これはもう凄かった。
なぜかは知らんが予想を180度振り切った大迫力だったんだ。
エステルが跳ぶじゃん、スマッシュを決めるじゃん、ビーチボールが海の奥の壁まで飛んでいったんだよ。火力が高すぎる。
ビーチバレーということでエステルにやって貰ったが、
思わずそっち!? ってなったな。アレは貴重な体験だった。
これが〈ダン活〉風? さすが対象年齢B(12歳以上)対象のゲームだぜ。
残念ながらビーチバレーは無しとなり、ビーチボールでパスだけして遊んだ。
砂浜に隠されたお宝探しもやった。
砂の中に隠されたカードを集めてポイントを競うゲームだな。
大勢で海で遊ぶときなんかの定番だ。海と言えば宝探しをしたくなる不思議。
ルールは普通のカードには数字が書かれてあってそれを時間内に集めればいいだけのシンプルなゲームで得点を競う。
エリアの中に大人数が解き放たれ一斉に
そうして集めた数字の合計が多い人順に豪華景品が与えられる感じだな。
まあ、これは地域によって様々なローカルルールがある。
またカードには特殊なものもあり、例えばクイズが書かれてあってそれに正解すると大量ポイントが貰えたり、景品カードと言って、お菓子などと交換できるカードが入っていたり、中には普通に商店で使える割引券が紛れ込んでいることもある。
俺もマリー先輩の店で使えるタダ券を一枚、サービスで入れておいた。
これに関してはステータスは当てにならないだろうみんな平等なので全員参加となったが、
「ここ、ここも、ここにもある」
「カルア、ちょっと待とうか。『直感』持ちは退場だ」
「……にゃー」
スキルの使用は禁止だがパッシブは別だった。
なぜか何かが埋まっていることを『直感』が教えてくれるのでカルアと俺は退場になってしまった。そういえば『直感』ってお宝にも反応するんだったな。
カルアには後でお詫びに美味しいカレーでも食べさせてあげよう。
ちなみにタダ券を見つけたのはリーナだった。
おめでとうと拍手と言葉を送ると凄く照れたような顔をしたのが印象的だった。
あとラナやハンナ、アイギス先輩の羨ましそうな視線も……。
そんな感じで遊んでいたらもう夕方だ。
時々海にも入りキャッキャ遊んでいた女子たちもすっかり落ち着き、みんな思い思いに休んだり、浮き輪の上でぷかぷか浮いていたりしている。体力の無いニーコなんてビーチチェアで熟睡しているほどである。
「さてゼフィルス、早めの夕食を食べて夜に備えるとしよう」
「ふっふっふ、夜はアレが待っているからな! メルト、セレスタン、準備を手伝ってくれ」
「かしこまりました。では食材の下ごしらえはお任せを」
男子はまだまだ体力が余っていたのでこういう準備はお任せあれだ。
あのメルトでさえもまだ体力は余っている。
まあ、女子たちの空間に上手く入り込めなかっただけかもしれないが。
メルトは純情だからかあまり女子と積極的に遊ぶってことをしないんだよなぁ。
ちなみに夜はシーフードカレーだ! 午後の自由時間中にメルトとセレスタンが何やら大量に食材(海鮮)をゲットしてきたので贅沢にこれを使った。
みんな身体も冷えてるだろうし、あっつあっつカレーで腹を満たすぜ。
やはり最後はカレーだよ。
でも帰ったら海鮮丼が食いたい。
それはともかく、これを食べて夜のイベントの体力を回復してもらおう!
そんなことを考えながらカレーを用意すると匂いにつられて猫が釣れた。
フィィィッシュ!
「にゃー」
「おうおう腹が減っているのか? よしよし、このカレーをたんとお食べ。おかわり自由だぞ」
「ゼフィルス、大好き」
カルアが猫っぽく鳴いたのでシーフードカレーをあげたら大好きいただきました。
みんなも集まってきて夕食です。
「あー、これ食べ終わったら海も終わりかー」
「もっと遊んでいたかったよね。というか明日も遊びたい!」
「楽しかったね。私もまた来たいよ」
仲良し三人娘が名残を惜しむように話していた。
もう日も沈みかけているからこれから海に入るのはもう終わりだ。
アイギス先輩がみんなにこれからのことを案内している。
「これ食べ終わったらみんな着替えますよ。あ、最後のイベントがあるらしいので装備を整えてくださいね」
そう、最後のイベントがまだ残っているのだ。
海は終わってしまったが、イベントはまだ終わっていない。
食べ終わると即席の、〈シャワー〉というまんま風呂に付いているシャワーだけが持ち運び可能なアイテムをその辺の影に設置して体を流し、服を着る。このアイテムは貯めた水を放出できるというだけのアイテムだが、お湯を貯めておいて、そのまま時間の停止する〈
〈スッキリン〉を使ってもよかったが、海に入ったらお湯を浴びたいというのが人情というもの。そのため、学園からのレンタル品だがこちらを採用した形だ。
ちなみに女子に大好評だった。
シャワーの後は着替えて後片付けを行ない、女子たちが戻ってくる前にイベントの準備を進めておく。
あと、ここら辺が暗くなってしまうので〈照明ライト〉は付けておく。
これは所謂ナイターなどもできるもので、夜でも昼間のように明るく照らしてくれるアイテムだ。
あまりに明るすぎるのでちょっと遠めに配置だな。
おっと、人の気配が近づいてきたぞ。
「ゼフィルス、お待たせしたわ」
シエラの声に俺は優しく振り返る。
さて時は来た。
〈夜のモンスターハント〉もとい夏のエクストラダンジョン〈海ダン〉名物。
――夜の
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