第464話 いつの間にか行列が。水着の鑑賞会始まる!?




「おお。ここが件のビーチかね? なかなか壮観じゃあないか」


「そうだろうそうだろう」


 洞窟を抜けるとそこにあるのは切り立った崖に囲まれた砂浜、海。

 奥の崖の一部に水中洞窟が空いており、そこから海水が出入りすることで囲まれているこの場所にも海が浸入してきている。


 また、この水中洞窟は危険なので入らないようメンバーにはあらかじめ厳命してある。あぶないからな。


 そうしてできている地形は、囲まれた入り江にプライベートビーチというまるで秘境のような場所となっていた。

 美しい海、誰も居ないビーチ。そして秘境という雰囲気。

 思わず誰もがテンション上がるだろう。俺も最初来たときはテンション上がったぜ。今も上がっているけどな!


「うむ。この光景を見られただけでもぼくは満足だよ。しかし、そうも言っていられないようだ」


 ニーコがそう言って横を見ると、仲良し三人娘が駆けてくるところだった。


「あーニコちゃんこんなところにいたー」


「もー探したよー。まさかゼフィルス君と2人きりだったなんて、やるなこのー」


「みんな向こうのテントで着替えるみたいなんだ。ニコちゃんも行こう」


 サチ、エミ、ユウカは本当にいつも明るいな。

 正直、これぞ女子高生! という若さとパワフルさを感じる。


「あー。そんなに引っ張らないでくれたまえぇ」


 サチとエミに捕まったニーコは両手を引かれて連れて行かれてしまった。


 それを軽く手を振って見送り、俺もパラソルやら休憩テントの設置をしているメルトとセレスタンに合流する。


「む、ゼフィルス遅いぞ」


「悪いな。手伝うよ」


「では、お食事処とBBQ機器の設置をお願いいたします」


 男3人でビーチに必要なものを設置していく。


 ビーチチェアは……何個あるんだこれ?

 パラソルも多いな。もう巨大タープでも張った方が良いんじゃないかとは思うが、風情の問題だろう。海と言えばパラソル、うむ、海っぽい。


 なんとか女子が戻ってくるまでには完成したが人数が人数なので結構大がかりなものになってしまった。

 女子を炎天下の日差しの下に置くなんて出来ないことなので日陰はしっかりと設置する。

 切り立った崖のせいで今は大きい影が多いが、昼間は太陽さんが上に来るからな。

 油断はできない。


 設置完了後、すぐに俺たちも水着に着替えるが、まだ女子たちは来ていなかった。

 結構時間が掛かっているようだな。


 ちなみに俺たちは全員トランクスタイプの水着だ。


「む、向こうはまだ掛かってるのか」


「女子の着替えは時間が掛かるからな。楽しみに待っておけばいいさ」


 ここまで全力で場をセッティングした。

 企画を組み、場所を決め、水着素材も集め、機器やアイテムの用意なんかもほとんどこっちで受け持った。

 それもこれもこの時のためだ。


 期待が高まるぜ。

 俺たちは海を見ながら女子たちが来るのを待った。

 そしてその時は来る。


「お待たせ」


 この声はシエラだ!


 俺は焦らないよう気をつけながら余裕を持って振り向く。


「おおー」


 俺の余裕は秒で崩れた。


「ちょっと、その感想はどうなのよ!」


「あまり、じっくり見ないでほしいわね」


 振り向いた先に居たのはラナとシエラ。

 その後ろにエステル、シズ、パメラ、ミサトがいる。

 さらに女子たちがぞくぞくとやってきていた。


 いや、ミサトはさささっとメルトの方へ向かったようだ。


 しかし、俺はそれが気にならないくらい目の前の光景に目を奪われた。


 ラナもシエラもビキニタイプの水着だった。


 ラナは水色系を基調としていてフリルがたくさんあしらわれていた。

 下にはチャームポイントだろうか、青いリボンがくっついていていいアクセントになっており思わず視線が行ってしまいそうになる。

 全体的に機能的なイメージがあり、ちょっと活発なラナによく似合っていた。


 シエラは白系を基調としているスタンダード、上は前を紐で結ぶタイプ。下はラナに対抗してか白の羽根飾りが付いていた。

 清楚な感じが出ていてシエラによく似合っていて、これはグッと来る。


 俺はニーコに忠告されたとおり、彼女たちを褒める。


「2人とも、いいな。とっても似合っていて。すっごい綺麗だ。思わず見惚れちまった」


「ちょ、そんなにストレートに褒めないでよ! もう……、照れちゃうじゃない」


「こう、素直に褒められると嬉しいものね。2人ともというのが気になるけど、抜け駆け禁止で一緒に来たのは私たちだし、仕方ないわね」


 しまった、1人ずつ褒めた方が良かったか?

 だが、ラナは顔を赤くして髪をイジっているし、シエラも少し赤くなって視線を逸らしている。ひとまず大丈夫だと思いたい。

 それにそんないじらしい姿を見せられたらこう、まだまだテンション上がっちゃいそうだ。2人とも可愛すぎる!


「ねぇねぇ2人ともー、次の順番が押しているから早く替わってよ」


「そうだよー。私たちもゼフィルス君に褒めてもらいたいんだから」


「私は別にだが、でも2人がそう言うなら、私も」


「……ん?」


 シエラとラナに夢中で見えなかったが、何やら2人の後ろに多くの人影が、どうやらメンバー全員が着替えを終えて戻ってきたようだ。

 それは分かるのだが、なぜ列を作っている? これ、なんの列?


 仲良し3人娘が先頭に並び、なぜかラナとシエラを急かしていた。


「仕方ないわね。もうちょっと味わいたかったわ」


「少し残念ね。ゼフィルス、後でまた時間を頂戴ね」


「あ、ああ。構わないぞ」


 残念そうにするラナとシエラが素直に横に退くと、後ろに並んでいる仲良し三人娘、サチ、エミ、ユウカが前に出た。


「じゃん! どうかなゼフィルス君」


「感想聞かせて!」


「その、私もできれば」


 完全に水着を褒めてもらう気満々な3人だった。


 サチは赤系のビキニだ。サチは胸が大きいのでビキニがすごく似合うな。

 エミは黄色系ビキニ。慎ましやかだからか胸にたくさんのフリルが付いている作りだ。

 ユウカは青系のビキニ。ユウカはスタイルが凄くいい、スラッとしていてかっこよく感じた。


「3人ともかわいいよ。凄く明るくて綺麗だ」


「「「きゃー!!」」」


 あまり褒め言葉に自信が無かったが、どうやら満足いただけた模様。

 3人とも黄色い声を出して顔を寄せ合っている。


「「「ゼフィルス君ありがとねー、また後でねー」」」


 三人娘からなぜかお礼を言われた。お礼を言いたいのはこっちだというのにな。

 手を振って見送ると今度はルルとシェリアが前へ出る。


「ゼフィルスお兄様、ルルの水着はどうですか?」


「余すことなく褒めてあげてください。ルルの可愛さは世界一です」


 へ? これってもしかしなくても水着を褒められるための列なのか?


 目の前のルルとシェリア、そしてその後ろに並ぶ女子の列を見て目を瞬かせる。


「ゼフィルスお兄様?」


「ああいや、なんでもない。ルルもかわいいな。その水着自分で選んだのか?」


「あい! シェリアお姉ちゃんも褒めてくれたのです!」


 ルルの水着はスクール水着タイプだった。

 所謂いわゆる白スク。胸の所に『るる』と書かれているのが愛らしい。

 ちなみに名前はマリー先輩のオススメだそうだ。グッジョブと言いたい。


 シェリアはなぜか競泳水着だった。ルルに合わせたのだろうか?

 黄緑を基調とし、脇だけ白のアクセントが入っていて、スラッとしているシェリアによく似合っている。


「シェリアも似合ってるぞ」


「ありがとうございます。なるほど、確かに自分が褒められるのも嬉しいですね」


 シェリアはそう納得するかのように頷くと、ルルの手を引いてパラソルの一つに入っていく。2人が横に退くと今度はリカとカルアの番だった。


 なんで君たちまで並んでいるのか。というか全員並んでいるのか?


 リカは赤と白を基調としたビキニタイプだった。シンプルな感じに近い。

 さすがあのフィリス先生の妹なだけあって結構なものをお持ちだ。


 カルアは紺系のボーイレッグタイプだった。上はラッシュガードのような物を着ている。

 ショートパンツの一部に穴が空いておりそこから尻尾が出ていた。

 俺の好みとか言っていたので身構えていたのだが……、んん? 色気もへったくれもないぞ。あれ? 俺の好みってなんだっけ?

 しかしカルアにはよく似合っている。褒めると満足そうにしていた。…………まあいいか。




 さらにラクリッテ、ノエルと続く。


 ラクリッテはグレー系のフレアビキニだった。上下にフレアが付いたタイプで、下はスカートのようになっている。

 恥ずかしがり屋、というか緊張しがちなラクリッテに合っている水着だと感じた。


 ノエルは赤系で大胆に胸元を強調したビキニだった。下は透けているパレオをまとい、アイドルっぽい衣装的なセンスを感じる水着だ。

 スタイルが凄いなノエルは。髪をアップにしているのも魅力が高かった。


 続いてはリーナとアイギス先輩だった。

 この2人は司令塔と騎馬ということで相性が良く、例の合宿のゴブ拠点攻め以来仲が良い。

 なぜかすっごく緊張した様子で前に来た。


「い、いかがでしょう?」


「えっと、どうでしょうか?」


「いかがでしょうもどうでしょうも無い。素晴らしいの一言に尽きる」


 リーナは白系に赤い紐のビキニだった。紐に小さめのフリルがあしらわれている箇所があり、ただでさえ大きめの胸なのに、胸の下にフリル付きの紐が背中に伸びていることもあって胸を強調。思わず凄いと思ってしまった。


 アイギス先輩はピンク色を基調とした、優雅で大人なパレオが入ったビキニだった。

 頭には大きめな麦わら帽子を被り、ヒマワリのリボンが付いていて大人な魅力が出ている。


 2人とも気合いの入れ具合がすごい。


「リーナもアイギス先輩もすっごく魅力的だな。とてもよく似合っているぜ」


「あ、ありがとうございます。嬉しいですわ」


「み、魅力的と言われちゃいました。やった」


 喜んで貰えたようで良かったよ。

 名残惜しそうに2人が横にずれると、次はカイリ、アルル、そしてニーコの番のようだ。


 カイリはさすがボーイッシュでスポーツ少女。紺の競泳水着タイプ。その場で一周回るとキメポーズを決めてきた。背中はフリーバックだ。水泳部かな?


 アルルは、ロリ体型だからだろうか、なぜかキッズ水着のようなタイプを着ていた。フリルがふんだんにあしらわれていて可愛さが増し増しの水着だな。

 マリー先輩は小さいのを気にしていたが、アルルは気にしないようだな。堂々と着こなしている。


 そしてニーコだが、意外にも可愛い系の水着だった。水色を基調とし、上はオフショルダーの服系を着ていて、おとなしいニーコのイメージに合う水着だった。


 えっと。今何人だ?



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