第465話 水着の行列が終わる。みんなが可愛いです。




 続いて俺の前に現れたのはメルトに水着を見せびらかしてご満悦なミサトだった。


「ねえねえゼフィルス君聞いてよ! メルト様ったら照れちゃってさ、私の悩殺水着を直視できないんだよー。たはは、可愛くない?」


「ミサト……そんなにキュッとしてほしいならしてやるぞ。勢い余ってその頭の上についているものを取ってしまうかもしれないな」


「きゃー、メルト様に捕まっちゃうー」


「待てミサト!」


 いつも通りの2人だった。

 どこの恋人だって感じで砂浜で『私を捕まえてみなさいごっこ』をやりだした。

 しかし、残念ながら純魔法アタッカーのメルトと「兎人」のミサトでは余裕のあり方が全然違うらしく、メルトは本気で走っているっぽいのにミサトは全然余裕のようだ。


 ちなみにミサトは普通のブルーのビキニだった。いや胸だけは貝殻模様のやつだ。

 ミサトは小柄で細身な体つきをしているのに胸は結構ある。走るたびにポヨンポヨン揺れるそれにメルトが直視できない理由が分かるな。

 メルトは意外にも、いや、見た目通り純情なのだ。


 とりあえず俺は手を振ってそれを見送った。

 メルトよ、頑張れ。


「行っちゃいましたね」


「うん。じゃあ私たちの番だね、ゼフィルスくん。どうかな?」


 おっと、振り向くと次の順番に並んでたのは、〈エデン〉の助っ人組の2人、マリアとメリーナ先輩だった。


 2人もなぜ並んでいるのか。

 しかし、その姿は、正直言ってとてもいい。


 マリアはしきりにメガネの位置を気にしながら目を泳がせている。かなり恥ずかしがっている様子だ。

 その姿は白を基調とした花柄のバンドゥビキニだった。なかなかに攻めた可愛い水着だ。

 その姿に自信が無いのか、はたまた恥ずかしいのか、俺が視線を送るとだんだんと顔を赤くするマリア。


 なんか可哀想なくらい赤くなっていたのでメリーナ先輩の方に移る。

 メリーナ先輩は黒のハイネックビキニだった。ハイビスカスを飾った麦藁帽子を被っている姿はとても年上っぽい雰囲気を醸し出している。


「マリアはとても魅力的な水着だな。メリーナ先輩は凄く大人っぽい感じがする。2人とも凄く似合ってるよ」


「う、あ、ありがとうございます! な、なんだか凄く恥ずかしいのに嬉しくて、て、照れますねこれ! 失礼します!」


「あーマリアちゃんー? 行っちゃった。――うふ、でもゼフィルスくん、褒めてくれてありがとね、また後で一緒に遊ぼうねー」


 顔を真っ赤にさせたマリアがすぐに海へ離脱すると、メリーナ先輩も苦笑しながら歩いてそれを追いかけていった。


 さて、さすがに褒め言葉の手持ちが空だ。次はどうしようか。

 そう思っていると、パメラがエステルとシズを両手に引いてやって来た。


「ほらほら、私たちもゼフィルスさんに見てもらうデースよー!」


「え? 私たちもですか? い、いえ。そんな、このようにお見苦しい姿を見せるなんて」


「ちょ、パメラ強引ですよ。そんなことをしなくても私たちはラナ様にお褒めいただければよいではありませんか」


「ダメデース! 2人とも、水着素材はゼフィルスさんたちが集めてきたのですからしっかり見せてあげるのデース!」


 うむうむ、パメラはよく分かっている。よく分かっているな!

 俺がなんのために頑張ったのか、まあみんなに楽しんでもらいたかったからだが、それだけならみんなで素材を集めたらよかった。

 こっちは女子の水着姿を見せてもらえるのだ。男ががんばるのが筋というものだろう。

 少なくとも俺はそう思っている。


 拒否られたら、残念だが仕方ない、とは思っているができれば見てみたいというのが心情だ。


 パメラの心意気、嬉しく思うな。うむ。


「……そうですね。ゼフィルス殿が集めてくださった素材を使わせていただいているのですから。――その、ゼフィルス殿、お礼になるかは分かりませんが、このような姿であれば存分に見てください」


 いやいやエステル、このような姿って、あなた〈エデン〉で一番発育がいいじゃないですか、と言いたい。


「はあ。エステルは潔いですね。ですが、一理あります。――ゼフィルス殿、水着ありがとうございます」


「ありがとうデース! いっぱい水遊びするの、今から楽しみデース!」


「おう、どういたしまして。俺としてもせっかく集めた水着素材だ。活用して貰えて嬉しいよ」


 エステルとシズもパメラの言い分に納得したように礼を告げてくるので、俺もそれに応える。


「こらパメラ、遊ぶだけでは無くラナ様の護衛もするのですよ」


「いひっ! 分かっているのデース!」


 シズはこんな時でも厳しいな。モンスターも出ないのだからバカンスを楽しんだらと一応伝えてみたが、効果は無いようだった。


 また、彼女たちの水着だが、


 エステルは赤を基調とし、アクセントに少々のフリルがついたビキニを着ている、フロントでリボンを結ぶタイプのようだが、現在その上に白系のパーカーを着込んでいるため全体の詳細は不明だ。

 上の方のボタンが外れているのは、きっとその大きなものを収納できなかったからだろうと思う。

 そして、右手には大きな空色の浮き輪を持っている。これはラナの護衛に必要な物らしい。

 楽しむ気マンマンだな!


 シズは紺系と白系の……メイド水着? とでも言うのだろうか、上は普通のビキニだが下のパレオがとてもメイド服のスカートっぽい色合いと形をしている。それと白のメイドカチューシャを装備していた。シズとしてはこれは外せないのかもしれない。ここでもメイドをする気とは恐れ入る。

 シズは肩掛けバッグタイプの〈空間収納鞄アイテムバッグ〉を持っており、ラナをサポートする体制は万全の様子だ。


 パメラは普段のピンクとは打って変わって橙色のビキニだ。しかし上はなぜか白の長袖を羽織るように着ている。胸の下で結ばれていて胸を押し上げている格好だ。

 元気溌剌はつらつ、という言葉が似合う水着だな。

 ちなみにパメラは腰にポーチ型〈空間収納鞄アイテムバッグ〉を装備している。


「3人とも凄くいいな。エステルはパーカーなんか脱いじゃってもいいんじゃないか? その方が魅力的だと思うぞ」


「そ、そうですか? では、ラナ様が海にお入りになるときは脱ごうと思います」


「そのラナならすでに海だぞ?」


「……はい? ――ハッ! こうしてはいられません! ゼフィルス殿、失礼します!」


「失礼いたします!」


「失礼するデース!」


 海でみんなとキャッキャと遊ぶラナを見てエステルが焦った声を上げた。

 ちょっと目を離した隙に護衛対象が海である。そりゃ焦る。


 3人は少し慌てたように海へと向かっていった。

 エステルは早速パーカーを脱いでシズの〈空間収納鞄アイテムバッグ〉に収納してもらう、が。

 その脱いだ瞬間、海にいた多くの女子が動きを止めエステルに注目していたのはさすがだった。

 こちらからだと背中しか見えない。何があったのかは想像に任せるとする。


 そしてとうとう最後。


「え、えへへ。ゼフィルス君、どうかな、この水着」


 最後はハンナだった。

 色は白と黄色のしましま水着。スタンダードビキニタイプで上は前で結び、下は横で紐をリボンに結んでいる。頭には貝殻の髪飾りとハート型のサングラスを掛けていて、手には透明なガラスの水筒を持っていた。


 さ、さすがハンナ。

 身体はロリ体系なのに一部とても大人なので、非常にビキニが似合っている。

 それになんだろう。さっきまで様々な水着を見てきたが、ハンナの水着姿が一番和むんだ。

 これはハンナの雰囲気から和み成分が出ているのだろうか?


「最高!」


「ふえ、ええ、えへへ~」


 恥ずかしいのか赤い顔で身体をくねらせるハンナが最高です。


「みんなとてもいい水着を作ってもらったんだな」


「うん! マリー先輩に感謝だよ。あとゼフィルス君も。水着ありがとう。今日は楽しませてもらうね」


「おう! まずは遊ぶか!」


 ハンナの手を掴み、そのままみんなのいる海へ駆け出した。




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