第411話 Dランク試験、開始。初動の差が明暗を分ける。
〈エデン〉Dランク昇格試験。
ギルドバトル―――開始。
空中のスクリーンから開始のブザーが鳴り響くと同時に俺たちは2つのチームに分かれて本拠地から飛び出した。
今回、初動で相手チームと取り合う巨城は2箇所。
故に2チームに分かれ、まずは〈中央東巨城〉と〈中央西巨城〉の先取を目指すのがセオリーだ。
メンバーは10人しかいないため、他の巨城は全て後回し。
最初はこの2箇所の巨城先取に全力を尽くす。
相手チームがどう出るのか、観客席が邪魔で見ることはできないが、おそらく同じ行動を取っているだろう。
〈エデン〉は5人ずつに分かれ〈中央西巨城〉を狙うAチーム、俺、リカ、カルア、ルル、シェリアと、
〈中央東巨城〉を狙うBチーム、シエラ、ラナ、エステル、シズ、パメラの2チームで先取を狙う。
ちなみに
あのダンジョン週間から今日のことを見越してチームの連携を温めてきたからこそのこの配置だ。
〈中央東巨城〉はシエラたちに任せ、俺たちは〈中央西巨城〉を担当する。
まずツーマンセルでカルアとタッグを組んで一気に巨城の隣接を取らんとするが。
相手チームを見ると、5人が足並み揃えて巨城を目指すタイプの進行のしかたを取っており、かなり出遅れていたのが目に入った。
それはダメだ、悪手だな。
初動の際、どれだけ移動速度が速いかが焦点になる。
一番足が遅い人に合わせて全員で足並み揃えて進むというのはあまり推奨できない。
いや、メリットは大きいのは分かるけどね。
保護期間が張られていないマスは対人戦し放題だ。
初動でいきなり相手のチームを対人戦で潰すという手が使えるため決して悪い手ではない。
しかし、それの対策で初動に足並みを全て揃えるのは悪手だ。
ちなみに俺たち〈ダン活〉プレイヤーの対策は、相手が追いつけないスピードでぶっちぎれ、である。
だってそうしないと、
「カルア、相手の巨城ルートを潰すぞ」
「ん、がってん!」
「「ああ!」」
スピードが遅いと巨城を囲まれて隣接が取れなくなってしまうから。
俺とカルアが巨城の攻撃を後回しにして巨城の隣接マスを取り始めると、〈
俺とカルアのコンビは〈エデン〉の中で最速。
足並み揃えて走る相手が巨城に着く前に隣接マスを取り尽くしてインターセプトするなんて朝飯前である。
隣接マスが取れなければ巨城へ攻撃することはできない。
もう〈中央西巨城〉は〈エデン〉が貰ったようなものだな。
「リカ、ルル、シェリア。1分以内に落とすぞ!」
「うむ、遂行する!」
「あい!」
「わかりました。いきます、『古式精霊術』! 『大精霊降臨』! 『グラキエース』!」
〈中央西巨城〉の隣接マスの保護期間が残り1分ちょいというところでリカたちが合流し、巨城に総攻撃を仕掛ける。
「く、ここはもうダメよ! 〈南西巨城〉へ行くわ!」
「「おお!」」
〈
うむ、素早い判断だ。
初期の〈天下一大星〉なんて保護期間の壁を殴りながら巨城が落ちる瞬間まで見ていたからな。
いや、あれは初心者だったし比べちゃダメか。
「よし、巨城が落ちたぞ!」
「やったのです!」
リカの最後の一撃で巨城のHPを削りきり、これで〈中央西巨城〉は〈エデン〉が先取となった。
ルルが両手を挙げて喜ぶ姿が尊い。
「よし、〈北西巨城〉へ向かうぞ」
「ん、ゼフィルス。南の城は?」
俺が次の狙いとして〈北西巨城〉を目指すと告げると、カルアが逆方向にある〈南西巨城〉とそこに向かって走る〈
おそらく、今から走れば〈
確かに俺とカルアの足なら追いつけるだろうが、追いつけるだけだ。追い抜くことは多分できないだろう。
リカたちは当然ながら追いつけないので巨城の差し込み合戦になる。
俺たち2人に対し、相手は5人だ。
〈ジャストタイムアタック〉戦法はある程度数が集まらないとあまり意味が無いので2人だけだと厳しいだろう。
これが、追い抜いて、さらに巨城を囲む事が出来るならば〈南西巨城〉を目指しても良かったが、2人で敵陣とも言える南に行くにはリスクがある。
今回は無難に〈北西巨城〉取得で問題無いと判断した。
生徒たちが見てるしね。
「いや、今回は北西に行こう。南西はいい」
「ん。わかった」
カルアは聞き分けがいい。
時間もないので説明を
その後、俺たちAチームは無事〈北西巨城〉も先取した。
スクリーンを見ればさらに4000Pが入っており、Bチームも無事〈中央東巨城〉〈北東巨城〉の先取に成功したようだ。
ポイント〈『白8,550P』対『赤4,520P』〉〈ポイント差:4,030P〉。
〈巨城保有:白4城・赤2城〉
〈残り時間33分38秒〉〈残り人数:白10人・赤10人〉
最初の出だしは順調だな。
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作者から後書き失礼します。
近況ノートに〈四角形(障害物)〉フィールドのイメージ図を添付しました。
よろしければ見てみてください。
タイトル:『〈ダン活〉第411話 進行状況イメージ図』↓
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