第412話 とてもカンペキ(笑)なイチコロ計画進行中?
時は少し巻き戻り、ギルドバトルのスタート前。
私は〈
私たちが所属するギルドは女の子しか加入していない、
主に剣士系などの前衛職が多いギルドで、剣や刀を使う子が多いギルドだわ。
そういう話が合う子ばかりが集まってできたのが始まりね。
本当は昔男子もいたのだけど、なんというか、トラブっちゃって。
前衛を任せると女子へのアピールが多くて……。
「ここは俺に任せろ」とか、「俺が前に出る、後ろは任せたぞ」とか、いいところばっかり魅せようとするのよ。
それはそれで乙女心的には満更ではなかったのだけど、私たちのギルドは女子も前衛職の多い武闘派みたいなところがあって、いいポジション、活躍できるポジションを取る男子に不満を持つ子は一定数いたのよ。
それである日とうとう不満が爆発。
どちらが前というポジションに着くかで揉めたのよね。結果は女子の勝利。すると男子は居場所がなくなっちゃったのよ。
今思えば私も若かったわ。もう少し話し合いで妥協点を見つければよかったのにね。
それで結局男子は全員脱退。
そしてそれ以来、なぜか私たちのギルドは男子禁制な女子ギルドなんて噂が流れるようになってしまったのよ。
悲劇だわ。
女子たちはそれから、もう男子に飢えていて、なんとか男子獲得に乗り出すのだけどなぜか「前衛は私たちが勤めるから後衛を募集します」と言って集めても全然集まらないの。なんでかしら?
きっとメンバーの彼氏が欲しいという欲望が男子を遠ざけるのよ。まったく、少しはあの子達も自重してくれないかしら。
でも3年生は今年卒業だし、早く男をゲットしたい気持ちも分かるのよね。私も早く彼氏が欲しいわ。
でも、それ以外なら私たちのギルドも中々優秀なのよ。
これでもDランクの中でもそれなりのところに位置しているわ。学園からの信頼も厚くて重要なクエストが学園からまわされることもあるの。
その一つがDランク昇格試験の相手を務めることね。
Eランクの子たちがDランクに上がるとき、かなり濃いギルドバトルを行なう必要があるのだけど、私たちのギルドは手加減が得意だし、女子しかいないギルドということで安心感があるとかでよくお相手に選ばれるの。
お貴族様の子息や息女のお相手はしょっちゅう勤めているわね。おかげ様でそちらの覚えはよくって就職活動なんかは考えなくてもいいのは皮肉だわ。
男子はギルドに入れたい、でも入れたら女子ギルドという安心感がなくなりクエストも回ってこなくなるかもしれないジレンマよ。
でも一度、ギルドに入れても大丈夫そうな男子がいたのよ。あの時【勇者】君をギルドにゲットできていれば。
今でも無念でいっぱいだわ。あの時もっとハーレムを強調していればよかった。
でもね、あの勧誘合戦以来、【勇者】君は自分でギルドを作るし、近づくと黒服の親衛隊が出てきてしょっ引くしで近づけなくなって諦めていたけれど、なんと今回、いつものDランクの昇格試験の相手を務めるクエストが来たのだけど、そこが【勇者】君がいるギルド〈エデン〉だったのよ。
こんな偶然、すごいと思わない?
【勇者】君はいろいろ学園に貢献しているし、学園からも学生からも注目されているし、私たちのギルドにもし引き抜ければ安心感そのままに男子をゲットできるというわけよ。
しかも【勇者】君は顔良しスタイル良し、
この機会、逃せないわ。
計画はこうよ。
Dランク昇格試験で私たちの〈
他の子たちには今回ばかりは手加減する必要は無いと言っておかなくちゃ。
〈エデン〉ほどのギルドなら手加減抜きくらいがちょうど良いわ、と言っておけば大丈夫でしょう。
そうだわ、参加メンバーを二年生に変えておかなくっちゃ。同期に取られたらたまらないもの。私は当然ながらメンバーに入れて、二年生を7人。残りは、裏切り者の彼氏持ち2人を加えておきましょう。
これで私がとても印象深く残るはずよ。
メンバー選びはギルドマスターの特権よね、ふへへ。完璧すぎる計画だわ。
サブマスターに「顔がきしょい」と言われても特に気にならないくらい気分がいいわ。
他のメンバーにも「顔がブスい」と言われても気にならな―――ちょっと待ちなさいよ! 誰がブスよ! 危うく聞き流すところだったじゃない! 誰よ今笑ったのは、出てきなさいよ!
ふう。色々あったけれど。あなたたち、全て許してやるわ。
その代わり【勇者】君を私が貰っても許してね。オホホホホホ!
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