第403話 マリー先輩の後輩ちゃん? ドワーフ娘が加入!




 ここまでのサブメンバー。

 アイギス【姫騎士】。

 ノエル【歌姫】。

 ラクリッテ【ラクシル】。

 サチ 【魔剣士】。

 エミ 【魔本士】。

 ユウカ【魔弓士】。

 ニーコ【コレクター】。

 カイリ【シーカー】。

 計8人がここまで自己紹介してくれた。

 あと2人だな、その内の片方が席から立ち上がる。


「やっとうちの出番な!」


 その姿は、またもロリ。

 このギルドロリ度高くないかと思う。

 ただ、今回のロリはそこらのロリとは違う。何が違うのかというと、この子はこの体型こそが種族の標準体型なのだ。


「うちはアルル。種族は「ドワーフ」や。こんななりしてるけど普通に標準体型だからその辺よろしくな。所属は〈鍛冶課1年1組〉、職業ジョブは【炎雷鋼ドワーフ】LV19。生産職特化型で育成してる鍛冶師だからダンジョンにはあまり行きはせんけど、その代わり武器の作製、強化、メンテナンスなんかは任せてな」


 そう、彼女アルルは「ドワーフ」だ。

 ゲーム〈ダン活〉では様々な需要にお応えし、「ドワーフ」もしっかり登場する。

 ラノベなんかで登場するドワーフと基本的に同じ体型で、男子キャラは高校生なのにもっさり髭を蓄えており褐色肌、背は小さく小太りから力士に近い体型だ。

 女子キャラは髭はもちろん無し。高校生だけどロリが標準でハンナとメルトよりも小さい。ルルよりは大きいが。褐色肌で、女子はドワーフのシンボルとして小さなハンマーやハンマーのアクセサリーなどを身に付けている。


 ちなみになぜ女子だけシンボルハンマーを身につけているかというと、「ドワーフ」女子は言われなければ人間と見た目が変わらないためだ。耳が少し尖っているが、それだけではロリ「エルフ」とも間違われるので女子だけシンボルとしてハンマー系の何かを持っている仕様だった。


 アルルは赤毛の髪を背中に届くくらいのツインテールにして水色のリボンで留めており、髪と同色のパッチリと大きな瞳をしている。

 装備はかなり涼しそうな作業服、なぜか彼女だけ制服ではなく装備姿だった。

 肩で留めるタイプを着て腕と脚はかなり露出度が高い。それ作業服なの? とも思うがHPが仕事をしてくれるので火花が散っても肌が傷つかないのだろう多分。

 頭には目を保護するためのゴーグルを付け、腰の作業ベルトポーチには金槌などの作業道具が入っていた。根っからの鍛冶職人のようだ。


 アルルが言ったように彼女は【鍛冶師】だ。

〈ダン活〉では人間が就けるただの【鍛冶師】もあるが、実は1種類しか職業ジョブがなく、しかも中位職で、ドワーフ鍛冶師には劣るという性能だ。

 そのため【鍛冶師】系の生産職を入れる場合は「ドワーフ」を使えというのが〈ダン活〉プレイヤーの常識だった。


 アルルの職業ジョブはそんなドワーフのカテゴリーの中でも高位職、高の上に分類される【炎雷鋼えんらいこうドワーフ】。

 育成によって戦闘型にも生産型にも両方の使い手にも到達できる「ドワーフ」最強の職業ジョブだ。

 戦闘職に育てるなら、魔法、物理どちらもいけるし、タンクとしても活躍できる。

 火属性と雷属性に特化しておりかなり強かった。


 だが、アルルが選択したのは生産特化だ。この生産とは鍛冶という意味になる。

 鍛冶特化だな。

 金属製の装備品を、炎を使って作ったときに得られる補正や数値は【炎雷鋼ドワーフ】が一番高かった。これは絶対ギルドに欲しいと思っていたんだ。

 いなければ誰かスチル見た目のいい「ドワーフ」に〈転職〉を持ちかけようとしていたのだが、まさかアルルがそのまま〈エデン〉に加入してくれることになったのには驚いたな。


 どうしてか聞いてみたところ、実はアルル、マリー先輩と同郷で、しかも姉妹のように仲がいいらしい。どうりでなまり口調が似ているはずだ。体型も似てい――ゲフンゲフン、マリー先輩は人間だ、それは関係なかったな。

 まあその関係で、マリー先輩の口利きによりミサトに紹介してもらったという経緯がある。

 マリー先輩ありがとう!



 また、生産職のアルルを採用した理由だが、もうすぐ〈エデン〉は上級ダンジョン進出することになる、しかしここにちょっとした問題があった。

 ゲーム〈ダン活〉時代は普通の店やC道の生産ギルドで普通に加工し生産してもらっていた上級装備。

 しかしだ、リアルではそれを行なえる人材がほぼ皆無という非常事態が発生していた。


 上級ダンジョンの装備やレシピを加工し作製できるのは、上級職だ。

 上級職の生産職でないと上級ダンジョンの素材を満足に弄る事は出来ない。いや出来なくは無いが品質は低下し、能力は下がり、出来上がる装備はあんまり強くはない。本来の強い装備は作れない。下手をすれば失敗し素材が減るだけの結果になることもある。

 それでは素材が勿体無いということで、ゲーム〈ダン活〉では上級ダンジョンで手に入れた素材は上級職で加工するというのが常識だった。


 しかしこの世界では中級上位ダンジョンがほぼ最高峰。

 生産職は下級職でも十分通用し、さらに生産職はダンジョンに行かないため〈上級転職チケット〉も手に入らない。

 つまり、上級職の生産職がほぼ皆無かいむなんだ。この世界は。


 これからは、生産職の上級職も自分のギルドで育て上げなくてはならないかもしれん。いや、かもでは無くマジでそうなるだろう。

 これは大変だと慌ててミサトに「ドワーフ」も頼むと依頼し来てもらったのがアルルであった。マリー先輩、あとでいっぱい素材持っていきます! 喜びそうなやつを!


 ちなみにアルルはCランクギルド〈ドワーフの集い〉という〈ワッペンシールステッカー〉に勝るとも劣らないエリートギルドで期待のルーキーだったらしく、しかもドワーフ目線ではかなりの美少女だったようで、それはそれはあの手この手で引きとめられたそうだ。

 しかし、アルルの「髭校生とか、ちょっと守備範囲外なんよ」というドワーフ女子とは思えない発言で髭男子たちを撃沈し、〈エデン〉に加入した猛者である。


 補足するとアルルの好みは聞いていない。なぜか聞こうとしたら『直感』が警報を鳴らしたのだ。未だになぜ『直感』が作動したのか分かっていない。


 本人からの自己紹介が一段落したので俺からもアルルを紹介する。


「アルルは〈ドワーフの集い〉ギルドで将来を期待されていた飛び切りの【鍛冶師】だったんだ。将来的には〈上級転職チケット〉を使って上級職に転職し、上級装備を作製して〈エデン〉を支えてもらう予定だ。きっと最高の武具を作ってくれるだろう。本当に、なんで下部組織ギルドに入ってくれたんだってくらい優秀だそうだ」


「むふふ。そう褒められるといい気になるようち。まあ、〈エデン〉に来た理由は単純なんよ。マリー姉がよく言ってたん。ゼフィルス兄さんは、いや〈エデン〉は素材の鬼だって。そんな場所で素材に一切の不自由なく鍛冶ができたら最高やん?」


「ああ、なるほどな」


 どうやら考えが逆だったようだ。素材を大量に集める〈エデン〉だからこそ、優先的に素材を供給してくれるので下部組織ギルドに入ったというのが理由らしい。


 さて、9人目は生産職だった。


〈エデン〉の下部組織ギルドはまだ生産職はアルルだけだが、今後は少しずつ増やしていきたいと思っている。


 次が最後だな。

〈アークアルカディア〉で唯一の男子だ。




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