第363話 〈ダン活〉の経験値は、銀色系モンスター。
「ギガァァス!」
「パメラさん、そっちに行きましたわ! 『号令』!」
「任せてくださいデース! 『豪炎斬波』デース!」
「ギガ!?」
豪腕を振りかざす
背中の直刀が火属性を帯びてズバンと斬る光景。むちゃくちゃかっこいい!
「ゼフィルスさん、余所見は厳禁ですわ! 次が来ますわよ! 『指揮砲』!」
リーナの声に前を見ると3体の
「おっし任せとけ。『シャインライトニング』!」
『シャインライトニング』で3体を攻撃しヘイトを稼いでタゲを奪う。リーナの『指揮砲』のおかげでなかなかのダメージが出たと思われる。
リーナのスキル『指揮砲』は、効果時間はかなり少ないが、攻撃力、魔法力、を上昇させる。瞬間的に強くするバフといったスキルだ。パーティに掛けることができる。
「『フリズド』!」
俺のほうに向かっていた
やったのはメルトだ。
氷属性の魔法は『アイス』系が普通であるが、メルトが使ったのはその一段上の『フリズド』の魔法だな。
ちなみにこれが火属性なら普通級は『ファイヤー』、一段上は『フレア』となる。
「ギガァァス!」
「ゼフィルスくん回復するね! 『ヒール』! あと『プロテクバリア』!」
「サンキュ! これで最後だから決めちまうな! 『
「ギ、ギガ! ギギギ……」
ミサトから回復魔法と防御力バフ&バリアをもらい、前へ出る。
受け持った2体が攻撃してくるが、これも慣れたもので付与されたバリアと〈天空の盾〉で防ぎつつ攻撃が終わったタイミングで反撃し、これを撃破した。
「『メガフリズド』! こっちも終わったぞ」
「お疲れ様」
メルトが最後の一体を倒してようやくダンジョンのギミックがクリアできた。
「やっと終わったね。でも
「本当ですわね。モンスターは弱かったですが、それでも数があれほどとなるとそれなりの立ち回りが求められますわ」
ミサトとリーナが今のギミックについて話し合っていた。
現在〈道場〉の〈ランク4〉を攻略中なのだが、ここ〈道場〉は他のダンジョンとモンスターの出現の仕方がかなり違う。
先ほどのは〈ランク4〉のギミックの1つ〈
次々と現れるゴーレムをじゃんじゃん倒しまくり経験値を大量獲得していくのだ。
リーナが言ったとおり
しかし、それが100体ともなると中々手ごわい。
とはいえ、一度に現れる
そして、経験値は大変美味しいのである。
「でも私たちの装備なら結構余裕あるね!」
「ミサトはゼフィルスに感謝するんだぞ」
「わかってるよメルト様! ゼフィルス君、装備貸してくれてありがとう! すごく助かってるよ」
「おう。気に入ってもらえてよかったよ」
ミサトからの礼に手を上げて返す。
現在のミサトは、以前オークションで落札した防具、〈
見た目は名前の通り、全体的に桜をイメージした桃色の魔法使い系の装備で、桜の意匠を巡らせた桃色ローブ。白と緑と桃色を基調としたワンピース風の服。スカートの中には隠れたホットパンツ。白をベースに桜のデザインが入ったグローブ。白をベースに桜のデザインが入ったオーバーニーレングス。
という5点セットのシリーズ装備だ。ミサトにはこの桃色がよく似合っていた。
能力は魔法力の上昇や各種耐性、最大MPの増加などがあり、シリーズ効果では『植物キラーLV4』や『対植物耐性LV4』、INT×1.1倍にする『魔法ブーストLV2』などを持つ。
『植物キラー』はそのまんま、植物系モンスターへの特効効果だ。ダメージが2割増しになる。『耐植物耐性』は植物モンスターからもらうダメージを2割減少してくれる素敵効果だ。
INTが常時1.1倍というブースト、これまた素晴らしいスキルを持つ。
まあ、ミサトは攻撃魔法をあまり持っていないヒーラーなのでちょっと宝の持ち腐れ感はあるものの、
ミサトは以前から防具がちょっと難ありだった。以前まで初級にいた〈天下一大星〉に加入していたため防具の更新が間に合っていなかったのだ。
そのため相談し、装備を買うミールが貯まるまでの間〈エデン〉から防具を貸与することにした経緯がある。
ちなみに、武器はワンド系の小さな木製杖だ。これは〈エデン〉の〈金箱〉産ドロップの1つをミサトが買い取って使っていた。
「メルト様は、よく中級でも使える装備を持ってたね」
「俺は元々Bランクギルドに居たからな。一応〈金色ビースト〉から格安で譲ってもらった装備だ」
メルトは〈エデン〉に加入した時【賢者LV18】だったが、装備だけは中級でも活躍出来る物を持っていた。それは単純にBランクギルドだったから必要で購入したらしい。
通常の中級ドロップ産の装備だが、シリーズなどでは無く結構バラバラの装備だ。
なお、バラバラの装備はしっかり〈デザインペイント変更屋〉によって整えられ、合わせてもダサくなく、むしろカッコイイ感じに仕上げられている。
メルトから言わせれば装備を手に入れる度、サイズ変更もしなくちゃいけないため〈デザインペイント変更屋〉に行くことは必須なんだとか。
メルトも苦労しているな。
メルトの見た目はまさに賢者という感じで藍色のローブに黒をベースにした服装備。武器はメルトの身長に近いほど大きな木製杖である。
これで髭でも生えていたらメルトは長老とでも呼ばれていたかもしれない。
それはともかく、今は経験値だ。
やっと第1ウェーブが終わったんだからどれだけLVが上がったのか、確認してもらうとしよう。
「みんなお疲れ様。それぞれステータスを見てくれ」
「オーケー! ――わっ! LVが4つも上がってるよ!」
「わたくしもですわ」
ミサトが驚きの声をあげリーナも声こそ出していないが目は大きく見開かれビックリしているのが分かる。
モンスターを100体倒した程度でLVがかなり上昇しているのである。
まあ、当然だな。
「これが〈道場〉の効果だな。普通のダンジョンよりLV上げの効率が何倍も違ってくるぜ」
そのカラクリは、いやカラクリと言えるのかは分からないが銀色系モンスターの撃破にある。
〈ダン活〉では金系モンスターはレア、銀系モンスターは経験値と認識されている。
え、お金はだって? 〈ダン活〉ではモンスターはミールを落とさないんだ。だから無しである。
この〈道場〉では銀系モンスターしか登場しない。
普通のダンジョンなら1日掛けて普通に攻略した場合、適正なダンジョンでLV1上がるかどうかくらいである。
〈公式裏技戦術ボス周回〉を利用したとしても1日ではLV4から、頑張ってLV5くらいしか上がらないだろう。
それが〈道場〉の場合、QPを支払えば5日程度でLV0からカンストまで持って行く事も可能である。これはヤバイ。お高いけど。
今のギミックも終わってみれば1時間程度戦っていただけだ。これを2度3度繰り返せば簡単にLVは上限まで上がりきってしまうだろう。
〈道場〉はそれほど経験値効率がいいのだ。さすが、QPを馬鹿食いするだけの事はある。
俺はこれを使い、今日中にはリーナ、ミサト、メルトをLV40まで上げる予定だ。
ここ〈ランク4〉は適正LV30~LV40のエリアであり、最大LV40までしかレベルが上がらない。
LV40になれば無事カンスト。ノルマ達成だな。
俺とパメラは残念ながらすでにLV40は超えているので〈ランク4〉ではLVは上がらないが些細なことだ。
リーナ、ミサト、メルトがLV40になったら切り上げる。
それまではここでLV上げだ。あと二回も周回すれば終わるだろう。
ちなみにだが、今の100体ウェーブが終わっても少しすればまたウェーブが開始されるので転移陣に乗り直す必要は無い。QP1万でこの部屋に常時入り浸りだ。
またこの部屋は道場風の一室で地面が畳に見える石素材が使われ、一部屋につき1パーティのみ使用できる、他の入場者は別の部屋へ転移するらしいと聞いた。そのため他のパーティと会うことも無く、経験値リソースを奪い合うこともない素晴らしい部屋である。
そう告げるとミサトとリーナが目を輝かせた。
メルトも心なしか表情が緩んでいる気がする。
そりゃLV40とか今日中にたどり着けると言われたら嬉しいだろうな。
1年生ではLV40に至っているのは〈エデン〉と〈マッチョーズ〉、あと〈天下一大星〉だけだ。
「さて、そろそろ第2波が来るぞ! ガンガンレベルを上げような!」
「「「おおー (デス)!」」」
俺の掛け声にリーナ、ミサト、そしてパメラが手を高々と上げて応えてくれる。
メルトは1つ頷いただけだが、やる気だな。
俺たちは門を潜って出てきたシルバーウルフを撃破していったのだった。
あ、ちなみに毎回ウェーブの度に銀系モンスターは変わるぞ。
今回はシルバーウルフだな。
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