第364話 リーナ、メルト、ミサトの三段階目ツリー到達!




「これで最後だ。『メガフリズド』!」


「ゴブ!?」


 メルトの魔法により最後のシルバーゴブリンのHPが全損し、エフェクトに還っていく。

 これでこのステージもクリアだ。


「お疲れ様。みんなLVはどうだ?」


 すでに〈道場〉に入って3時間が経過している。

 今クリアしたのが3ステージ目だからこれで上限のはずだ。


「ゼフィルスよ。俺の【賢者】はLV40に届いたぞ」


「お! やったなメルト、おめでとう!」


 毎回1ステージをクリアするごとにレベルが3から4上昇していたメルトはここの限界値であるLV40に届いたようだ。


「ねぇねぇ私も私も! 今回ので【セージLV40】になったよ!」


「わたくしもですわ。【姫軍師LV40】ですわ!」


「おおー、2人ともおめでとうデース!」


「ミサトもリーナもおめでとう。これで全員目標達成だな!」


 ミサトとリーナからもLV40報告が届いた。

 全員が同時か、いやぁ素晴らしい!

 お祝いの言葉を贈る。


「たはは~。いやー、でもすごいねここ」


「本当ですわね。まさかこんなに早くLV40に届くとは思いませんでしたわ」


 ミサトは照れたように体をくねらせながら感心したように言う。

 リーナもその言葉に同意見のようだ。


「ま、その代わりQPが結構掛かるけどな。それに途中で全滅すると塔の外に吐き出されるから2人くらい適正LV以上のメンバーを連れて来たほうが安定する。特に崩れないタンクが必要だな」


「なるほど。確かにパメラのタンクは見事だった」


「そんなに褒められると照れるデース」


 メルトが1つ頷いてパメラを褒める。俺は?


 こほん。まあいい。確かにパメラのタンクはかなり素晴らしい仕上がりになっていた。

 三段階目ツリーが解放されて避けタンクとしてのスキルを多く取得したパメラ。

 避けながら攻撃し、アタッカーとしても活躍する【女忍者】は間違いなく強ジョブだ。


 ただ【女忍者】はヘイトを稼ぐスキルが『目立つ』と『お命頂戴』しかないため、タゲを奪われることがままあるのがネックなんだ。

 あとはダメージを稼いでヘイトを稼ぐしかないので、【女忍者】のみをメインタンクにしているとダメージディーラーによってはタゲを奪えなくなってしまう。

 そうなればダメージディーラーが狙われてパーティが崩れてしまう。ハマれば強いが、ミスると簡単にパーティが崩壊してしまうので【女忍者】は上級者向けの職業ジョブなんだ。


 そんな【女忍者】の職業ジョブをパメラはだいぶ使いこなせるようになっているようだった。


 リーナのヘイト管理の指示もよく、メルトにダメージを稼ぎすぎないよう指示する光景も見られた。

 リーナもかなり成長している。


「ねぇねぇ、私は?」


 ミサトが片手をピンと挙げてメルトに自己主張していた。耳までピンと伸びている。

 あの耳触ってみたいなぁ。


「ミサトはゼフィルスに聞け。むしろ回復はゼフィルスにしか掛けてなかっただろ」


「メルト様が冷たい! ――ねぇゼフィルス君私はどうだった?」


「回復ありがとなミサト。次は三段階目ツリーが解放されるからバリア系も積極的に使っていこうか」


 ミサトはぴょこぴょこしていて、なんか癒される。

 回復とはつまり癒しだ。ミサトは癒やし担当だったんだな。できればモフらせてもらいたい。

 そんなどうでもいいことを考える。


 その後、3人は三段階目ツリーにSPを振っていった。

 ミサトとメルトは自分たちが作った育成論をベースに俺の最強育成論を大きく参考にして作ったスペシャルな育成スケジュールのとおりに振っていく。

 リーナは完全に俺の最強育成論の通りに振っている。


 本当は帰ってからゆっくりSPを振ればと言ったのだが、せっかくだからここで練習したいとのことなのでリーナたちの要望を叶えた形だ。


 確かに、〈道場〉に入る機会は、ほぼ無いと言っていいだろう。

 モンスター100体、次から次に押し寄せてくる体験はそうそうできはしないからな。

 新しい三段階目ツリーの試運転にはちょうど良い相手かもしれない。


「終わったぞ」


「こっちも終わったよ!」


「わたくしも終わりましたわ」


 育成スケジュールのとおりに振るだけなのですぐに準備も終わる、それを待っていたかのように門の奥からモンスターが出てきた。

 今度のモンスターは、シルバーオークだな。




「プギー!」


 第4ウェーブは、まずシルバーオーク12体が出迎えてくれた。

 熱烈な歓迎に心なしかメルトたちの表情が高揚している気がする。

 早く三段階目ツリーが試してみたくて仕方ないんだな、分かります。


「半分は引き取るぜ、『アピール』!」


「了解デース! 『暗闇の術』! 『目立つ』デース!」


 まずはヘイト稼ぎ。

 これで後ろの後衛3人にはシルバーオークは向かわない。

 存分に〈スキル〉〈魔法〉を試してみてくれ。と思っていたら。


「ねぇゼフィルス君! なんの魔法使えばいいの!?」


 ミサトの言葉にずっこけそうになった。

 まあ、最初は何したらいいかわかんないよな。うん。

 とりあえずアドバイスを送る。


「適当でいいぞ、まずは自分が今使える〈魔法〉がどんなものなのか把握するところから始めるんだ」


「なるほど。分かった、やってみるね! えっと『リジェネプロテクバリア』!」


 ミサトがまず使ったのは『リジェネプロテクバリア』だった。

 『リジェネ』と『プロテク』と『バリア』が合わさったものだ。『プロテクバリア』の上位ツリーだな。

 一度に3つの強化回復を掛けられるうえ、〈魔法LV〉を上げれば3つ全てが強化されるため使い勝手がとても良い魔法だ。


 シルバーオークが拳を振り上げて攻撃してくるが、


「プギー!」


「プギー!」


「プギー!」


「おお、全然ダメージ無いわ。ちょっと食らってもすぐ全回復だな」


 『バリア』で2撃が無効化され、3撃目を〈天空の盾〉で防御するも『プロテク』の防御力アップのおかげでほとんどダメージを負わず、さらにその少し受けたダメージも『リジェネ』の継続回復ですぐに満タンまで回復してしまう。

 タンクにはかなり嬉しいサポートだ。


「次、攻撃もしてみるね。えっとユニークスキル、『サンクチュアリ』!」


 ミサトのユニークスキルにより、俺を中心にして地面が大きな円形に光った。

 これはエリア魔法だな。ラナの『光の柱』に似ているが、『サンクチュアリ』の効果はエリア内にいる味方は継続回復、敵には継続ダメージが入るユニークスキルだ。

 しかもこのユニーク、維持時間がかなり長く、LV10にもなると約1分以上展開されていたりする。

 ボス戦には非常に心強いスキルである。


「プ、プギャー!」


「プギャー!」


「プギャー!」


「んん、効いてる効いてる。少しずつダメージが入っていってるな」


 シルバーオークの鳴き声が「プギャー」に変わった。

 ダメージを受けている証拠である。

 プギャー。


「次はわたくしの番ですわ!」


 次はリーナか。よし、どんどん試していこう!



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