第314話 『必殺忍法・分身の術』!【女忍者】の戦法!
「ふふふ、3段階目ツリーが解放され、真の女忍者になった実力をとくとご覧あれデース! 『暗闇の術』!」
「おお!」
まずパメラが豚型の〈ボスプビィ〉に躍りかかったかと思うと、初手に選んだスキルは相手を〈暗闇〉状態と命中率ダウンのデバフを付与する『暗闇の術』だった。
その選択は大正解だ。思わずパメラの成長に唸る。
〈暗闇〉の状態異常を受けた敵は命中率がガクンと落ちる。状態異常の付着に失敗したとしても命中率ダウンのデバフは通る。2つ共通れば万々歳だ。
回避盾、つまり避けタンクにとって非常に重要な一手と言えるだろう。
初手に挑発系スキルを使うと狙われてしまうため、続く『暗闇の術』などにスキルを繋げることが難しくなる場合がある。
攻撃すれば自然とモンスターのヘイトを稼げ、タゲも取れるので、まず初手に選ぶのはデバフ、状態異常を引き起こす『暗闇の術』というのは【女忍者】メインタンクのセオリーだった。
確かまだパメラにはその辺を教えていなかったはずだが、自力でたどり着いていたらしい。真の女忍者。言うだけのことはある。
しかし今回は〈暗闇〉は付着しなかったようだな。残念。
〈ボスプビィ〉がパメラに向く。
「ブア゙?」
「怖いデスこの豚さん! ガンくれてますよ!? ええい、続いて『お命頂戴』! 『軽業』!」
「ブアアッ!!」
「ふふふ、どこを攻撃しているデース!」
パメラが背中の刀で突きを入れ『お命頂戴』でヘイトを稼ぎ、すぐにアウェイして『軽業』を使う。
〈ボスプビィ〉が腕を振るうがすでにパメラは離脱済みだった。
『お命頂戴』は単体挑発攻撃スキル。3段階目ツリーのスキルなのでがっつりヘイトを稼げるスキルだ。
もう一つのヘイトを稼ぐスキル『目立つ』は範囲型なので〈ボスコッコ〉と〈ボスモーギュ〉のタゲまで取ってしまう、使わなくて正解。
さらに『軽業』により自分の回避率をアップさせ、万全の態勢となる。
〈ボスプビィ〉が、お前モンクか? という
腕を上げたなぁパメラ。
〈ボスプビィ〉は素早い攻撃を繰り出すため回避盾との相性はそんなに良くない。
しかしパメラはしっかりと〈ボスプビィ〉の相手が出来ていた。攻撃をどんどん回避していき被弾は今のところ1つも無い。成長を感じる。
さあ、続いての手は?
「ふふふ、これを使う時がやってきたのデース! ユニークスキル『必殺忍法・分身の術』!」
パメラがそう言った瞬間、ユニークスキルによりパメラが4人現れた。
おお! こ、これがリアル分身! 生の分身の術!
パメラが5人居るぞ!
「四方から切り刻むのデース! 行くのデース!」
「「「「行くのデース!」」」」
「ブギャアァ!? ブアアァァァ!!」
1体のパメラ(?)がまず正面から突っ込み、側面から2体、後方に1体のパメラが回り込んで刀で連続攻撃を放つ。四方からの連続攻撃である。
分身体の攻撃力は〈スキルLV1〉の時でも本体の6割もあるため、四方からの連続攻撃は相当なダメージとなるだろう。
一瞬ノックバックをする〈ボスプビィ〉だったがすぐに『豚暴れ』の周囲範囲攻撃で一掃しようとタメをつくった。しかし、
「そうはさせないのデース! 『暗闇の術』! 『忍法・幻影』!」
パメラは再度命中率ダウンの『暗闇の術』、そして幻影を作り相手の攻撃を〈
〈ボスプビィ〉の顔面に煙幕のような物を浴びせ、そして分身体が陽炎のように揺らめいた。
「ブアアア!!」
「「「「〈
〈ボスプビィ〉の攻撃が周囲にむちゃくちゃに飛ぶが、全て〈
分身体は4体とも健在だ。
マジ?
見れば〈ボスプビィ〉のHPバーに〈暗闇〉のアイコンが付いていた。
「大チャンスデース! 斬って斬って斬りまくるのデース!」
「「「「斬るのデース!」」」」
「ブア、ア、アァァァ!!」
やばい。完全に【女忍者】の戦法がぶっ刺さってる。
誰も援護なんてしていないのに一方的にどんどん減っていく〈ボスプビィ〉のHP。
これが【女忍者】の力。三段階目ツリーが解放された今、
いやぁ、しかしゲーム〈ダン活〉時代も思っていたが、【女忍者】はぶっ刺さると本当に強いな。
ユニークスキル『必殺忍法・分身の術』。
敵の攻撃を受けなければ2分間存在し続ける分身体が、延々と攻撃し続ける強力なスキルである。
〈スキルLV〉がカンストしていれば本体の1.2倍の攻撃力を持つ分身体が4体、2分間ずっと攻撃し続けるのだ。これがぶっ刺さればとんでもないダメージになる。
【女忍者】のメインタンク戦法としては、初手『暗闇の術』、二手挑発系、三手『軽業』と続き、大体六手目か七手目という早い段階で『必殺忍法・分身の術』とする事が多い。仲間のサポートがあれば二手目で発動することもある。
これは【女忍者】の挑発スキルが『目立つ』と『お命頂戴』しか無いのが起因しており、他のアタッカーにヘイト稼ぎで負けるからだ。
そのため【女忍者】も早い段階で『必殺忍法・分身の術』を発動し、ダメージを与えまくってヘイトを稼ぐ必要があるのである。
パメラはその辺、よく分かっているようだ。
しっかり分身体を守ることは、攻撃だけではなく、ヘイト稼ぎにも重要な意味を持つ。
とはいえ、分身体が全て生存するのは結構運が良い。今回のパメラは乗りに乗っているな。
と思ったのも束の間。
「あ! 私1号がやられたデース!?」
パメラの叫びに前を見れば、正面を担当していた分身体が運悪く『蹄ストレート』を食らってエフェクトに消えていた。たとえ〈暗闇〉状態でも命中率がダウンしていたとしても、食らう時は食らう。
分身体の装甲は紙なのでスキルが直撃すると消えてしまうのだ。
「ならば正面は私が相手デース! 『お命頂戴』!」
「ブアアア゙!!」
パメラが空いた正面を担当するようだ。
ボスの側面と後ろにいる分身体が攻撃し続ける中、パメラは『忍法・空蝉』や『忍法・身代わり』などを使い冷静に回避していく。
その姿は安定力があり、どこか安心出来る力強さがあった。
未だ被弾はゼロ。
ヒーラーの俺の立場よ。
まあいい。そのまま〈ボスプビィ〉の足止めをお願いしよう。
俺はパメラから視線を外して2体のボスを受け持っているリカに向いた。
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