第313話 ボスの説明。役割分担して戦闘開始!
「ここ、〈食材と畜産ダンジョン〉のボスは特殊で、3体のボスがいる。鶏型の〈ボスコッコ〉、豚型の〈ボスプビィ〉、そして牛型の〈ボスモーギュ〉だ。それぞれが
まずボスについてを語る。
何度も語るのは非効率なため全員が集まっている今、通達しておく。
「今回初めての複数ボスだが、複数ボスというのは非常に厄介だ。タンクは複数のボスを受け持たなくちゃいけない。タンクが崩れれば当然だがパーティ全体が崩壊する。ヒーラーもいつもよりタンクを気に掛けて欲しい」
そこまで説明すると、若干だがメンバーがざわめいた。
今回は複数ボスだ。同じエリアに3体のボスがいる。
3体のボスと同時に戦わなければいけないのだ。中々に
その代わりドロップは「ボスドロップ」枠が3倍貰えるけどな。つまり15個だ。これは美味しい。食材も最高級品なので美味しいが2倍だ! 素晴らしい。
ちなみに「通常モンスタードロップ」枠は無く。宝箱は1個が報酬となる。
これはエクストラダンジョンのボス特有の現象だ。
エクストラダンジョンの報酬はそのダンジョンごとに変わるのである。
おっと脱線した。ボスの話に戻ろう。
今までボス戦はお供がいる場合はあれど、複数のボスがいたことは無い。
〈エデン〉のメンバーだって初挑戦だ。
しかも2体ではなく、初の複数ボスなのに3体が相手だからな。
パーティに2人タンクがいたとして、どっちかは2体を受け持たなくちゃいけない。
ざわめく気持ちも解る。
しかし、ここで質問してくるメンバーはいない。俺が、あらかじめ全部聞いてから質問してくれと言っていたからだ。
ざわめきが落ち着いてきた辺りで説明を続ける。
「ではボスの行動パターンを説明していくぞ、しっかりと覚えてくれ、タンク担当は特にだ」
全員が真剣に聞いていた。さすが〈エデン〉のメンバー。
ボスの情報がどれだけ大事か、みんなとてもよく分かっているな。
「ボスは3体とも初級上位並の強さだが、中級ボスのように〈スキル〉を使ってくる。特に豚の〈ボスプビィ〉は二足歩行なうえに動きがやたら速いから注意してほしい。ただの豚だと舐めて掛かったら痛い目に遭うからな―――」
3体のボスを順番に説明していく。
ボスの行動パターンの説明が終わると、そのまま攻略の手順に移っていく。
「基本的にボスでも弱い奴から屠るのが常道だ。3体の中では〈ボスコッコ〉と豚の〈ボスプビィ〉が弱いな。牛の〈ボスモーギュ〉だけはやたら硬いから後回しにした方がいい。タンクを2人以上は確定でパーティに入れ、1人が牛を抑えている隙に、まず鶏か豚を狩るのがセオリーだ。そうすればだいぶ楽になるからな」
その後も端的に注意事項、アドバイスなどを送り、説明を終了する。
次は質問会だ。
あまり情報をバラしすぎるとボスの攻略が面白くなくなってしまうかもしれないので、俺はいつも、いくらか情報をセーブしている。
何でも説明すればいいってものじゃない。時に楽しさが半減してしまう時もあるからだ。
ただ、全滅するのは絶対遠慮したいので注意事項だけは絶対周知するが。
それ以上の情報を知りたいのかは基本メンバー任せとしている。
そのための質問形式だな。
質問してボスの情報を引き出すも良し、情報を引き出さず自分で確かめるも良しである。
とはいえ今回のボスは初の複数ボスだ、さすがに何人かから手が挙がる。
順番に、一番手が挙がるのが早かったシエラから促した。
「じゃあ、シエラから」
「ええ。相手は魔法や遠距離攻撃は使ってくるのかしら?」
「いいや、基本的に物理攻撃による近距離だけだな。範囲攻撃はしてくるが」
「なるほど……。分かったわ」
ちょっと考える仕草をして頷くシエラ。
シエラのことだ、俺の言わなかったことも十分伝わっていそうだな。
複数ボスなので、ちゃんと弱点や攻略手段というものが用意されていたりするんだ。
そうじゃなきゃ複数ボスを初見で攻略することなんて難しい。
シエラは第二陣のリーダーなのでどうやって攻略するのか、考えているのだろう。
第二陣のタンク役はシエラとセレスタンだからな。
その代わりに遠距離が得意のラナ、シズがいて、素早いカルアもいる。
なかなか面白そうなパーティだ。
ちなみに言い忘れていたが、第三陣は当たりを引けなかったハンナとエステルが確定として参加。残り3枠は、他のメンバーから参加者を募る。複数希望があればまたくじ引きだな。枠はタンク2枠とアタッカー1枠なのでタンクくじとアタッカーくじでも作っておこう。
また、リーナは〈『ゲスト』の腕輪〉を使い、ボス戦を見学をすることに決まった。
その後もいくつかの質問に答え終わると、ここで解散だ。
役割通りに分担、ラナたちは畑エリアや畜産エリアへと向かい、俺たちは最奥の門を潜った。
「あれがボスなのです? 大きいのです!」
「なるほど、アレは動物ではなくモンスターなのですね」
奥に鎮座していたボス達、鶏型の〈ボスコッコ〉、豚型の〈ボスプビィ〉、そして牛型の〈ボスモーギュ〉。
その大きさにルルは驚き、シェリアは何かに納得したようにその姿を観察する。
シェリアの言うとおり、ボスは確かに動物型だが動物ではなく、れっきとしたモンスターである。
見た目はそれぞれ3mはあり、〈ボスコッコ〉は目を真っ赤に光らせ翼を拳の形にして構えているし、〈ボスプビィ〉は完全二足歩行で前足をペロペロと舐めていた。〈ボスモーギュ〉に到っては四足歩行はそのままに鎧で体を完全武装している。兜の角がカッコイイ。
端的に言って動物らしさはまったく感じなかった。
「では早速ヘイトを稼ぐデース! リカさん、鶏さんと牛さんをお任せしてもいいデスか? 私ボス2体の受け持ちは、ちょっと自信ないのデース」
「構わない。ボス2体は私が引き受けよう。パメラは〈ボスプビィ〉を頼む」
パメラとリカが素早く前に出るが、パメラが自信の無さを吐露する。まあパメラは避けタンクだからな。これは仕方ない。
リカもその辺を分かっているのですぐに了承し、役割を分担した。
戦闘開始だな。
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