第315話 ルルがすごくカッコイイ!世界一のヒーローだ!
少し時間は巻き戻り、もう一つの戦場ではリカが〈ボスコッコ〉、〈ボスモーギュ〉を引き連れパメラたちから引き離していた。
「ここまで来ればいいだろう。お互いが干渉することもない。『戦意高揚』! 我が名はリカ、いざ尋常に勝負、『名乗り』!」
「コッケーーーーーー!!」
「ブォォォ!」
「『上段受け』! 『受け払い』!」
リカはボスが2体にも関わらず前に出る。
2本の刀を構え、『戦意高揚』で自分にバフを掛け、挑発スキルを使ってヘイトを稼ぐ。
先に動いたのは〈ボスコッコ〉。『
続いて〈ボスモーギュ〉の『猛牛の角』で突進攻撃をしてくるが、こちらも『受け払い』で見事に捌いていた。
『受け』系の防御スキルは、パリィなどの防御勝ちが非常にシビアな分、相殺は起こしやすい。リカは序盤でこの『受け』系をよく使い、ボスの行動パターンを見極め、そして『切り』系の防御スキルでパリィを狙うのだ。
リカは冷静にボスの動きに対処し、2体に挟撃されないよう立ち位置を変えていく。
「コッケーー!!」
「それはさっき見たな。『切り返し』!」
「コキャ!?」
「そこにルル登場なのです! 『ロリータタックル』!」
再び『鶏拳』を使ってしまった〈ボスコッコ〉にリカはチャンスとばかりに寸分の狂いなくパリィを決めた、防御勝ちだ。
そこにルル登場し、『ロリータタックル』を使って突撃した。
パリィでノックバックした〈ボスコッコ〉に避ける暇は無く、直撃。
「コッ!?」
ロリによる『ロリータタックル』は
マンガならちょうど主人公の鳩尾か大事な部分にロリのおでこが直撃し、主人公を悶絶させる、恐ろしい技だ。
鶏に鳩尾があるかは知らないが。
しかし苦悶の声を出しながら〈ボスコッコ〉の赤く光る目が白目になり、その場に崩れ落ちる。クリティカルダウンだ。ヤバい。いきなりの大チャンスである。
「今なのです! 『ジャスティスヒーローソード』! 『チャームポイントソード』! 『ヒーロースペシャルインパクト』! 『セイクリッドエクスプロード』!」
「続きます。『精霊召喚』! 『エレメントブースト』! 『エレメントジャベリン』! 『エレメントランス』! 『エレメントアロー』!」
「コケッ!?」
「むう、私も参加したいが、無理か」
「ギリギリ行けそうだ! 『ライトニングバースト』!」
ダウンした〈ボスコッコ〉にルル、シェリア、そして俺から総攻撃が入る。
アタッカーの狙いは鶏型の〈ボスコッコ〉。
3体のうち1体をパメラがほぼ単体で受け持ち、残り2体をリカがタンクで押さえ、その内鶏型を最優先で倒す作戦だ。
俺が振り向いたときには〈ボスコッコ〉に見事にリカとルルのコンボでダウンを取り、大きくHPを削ったところだった。
すげぇ。
今の流れは良かった。凄く良かった。
リカがパリィしルルがダウンを奪い、総攻撃を叩き込む。
理想的な戦術だった。
俺の指示が無くても、皆すでに戦術は身についているようだ。
リカは〈ボスモーギュ〉からの攻撃で総攻撃に参加できなかったようだが、その代わりしっかり1体を受け持っている。
連携も良い感じだ。皆が目覚ましい成長をしている。
ルルは三段階目ツリーもかなり使いこなせている様子だ。
ルルはデバフに拘りすぎず、三段階目ツリーで解放される強力な攻撃スキルを臨機応変に叩き付けられるようになっていた。
【ロリータヒーロー】の三段階目ツリーで解放される攻撃スキルはどれも強力だ。
シェリアもブーストしてからの精霊魔法を叩き込んだし、俺も遠距離から『ライトニングバースト』を飛ばして参加したが、〈ボスコッコ〉に入ったダメージの多くはルルのものだった。
「おっと、よそ見している場合じゃ無かった。『オーラヒール』!」
俺は今回ヒーラーなのでリカとパメラの中間の位置で待機なのが口惜しい。俺も総攻撃に全力で参加したかったぜ。
徐々にダメージを受けているリカに回復を送る。
パメラは、あっちはまだ大丈夫そうだな。
状況確認が終わると共に〈ボスコッコ〉のダウンが終わる。
「コ、コケーー!!」
ダウンから復帰した〈ボスコッコ〉が狙ったのは、ルル。
ダウンを取ったことによりタンクのリカのヘイトを超えてしまったのだ。
大きく
――しかし、
「『片手ヒーロー』!」
「コ……ケ……?」
気がつけば『鶏拳』はルルの左手に受け止められていた。どう見ても小学生低学年のルルに片手で受け止められて困惑する〈ボスコッコ〉。
端から見ると体格差がマジでヤバいな。そしてほぼ真上からの攻撃に左手を挙げる形で受け止めるルルの絵が超カッコイイ件!
「捕まえたのですよー! 『ロリータオブヒーロー――――」
左手で〈ボスコッコ〉の腕を捕らえながら右手の剣を振りかぶってエフェクトを宿すルル。
これは! 大技が、来る!
〈ボスコッコ〉も危険と判断したのか残った左拳で追撃しようとするが、
――ルルのほうが、早い。
「コッ!」
「――スマッシュ』!」
「――――!?」
ズドンッ、と衝撃。
ルルから繰り出されたのは突きだった。
【ロリータヒーロー】の大技『ロリータオブヒーロー・スマッシュ』が見事に決まったのだ。
まるで細剣を振り抜いたような形で制止するルルと―――悲鳴も発せず放物線を描いて吹っ飛ぶ〈ボスコッコ〉。
少年漫画の必殺技みたいなシーンがそこにあった。
ヤバい。何故俺は今スクショが撮れないのかと3回自問自答を繰り返す。
仕方ないので網膜に焼き付ける。
ルルが超カッコイイ!!
もう一度言う。
ルルが超カッコイイんだ!!
思わず拍手を送りたくなった。
いや送る!
「やったのです!」
「素晴らしい! 素晴らしいよルル! ルルは世界一のヒーローだ!」
俺は大きな拍手でルルを褒め称えた。
そして俺の隣では、シェリアも同じくルルに猛烈な拍手を送っていた。
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