第304話 初のダンジョン週間に突入! 作戦会議だ!




 〈転職〉について学園長に熱く語った翌日。

 5月も下旬に入って初の土曜日、本日25日である。

 今日からダンジョン週間が始まる。

 本来なら今週が第四週なため、ダンジョン週間は先週から行なわれるのが正しいのだが、5月だけは1年生が初の授業に取り組み、初級ダンジョンに挑めるLV10までレベル上げをするためにダンジョン週間は最後の週になっていた。


 つまり今日から9日間学業がお休みだ!

 めいっぱいダンジョンアタックして過ごすぜ!

 ということでギルド部屋に突入する。


「おはようみんな! いい朝だな! とてもいい朝だ! 素晴らしいダンジョン週間の幕開けにふさわしい朝だ!」


「おはようゼフィルス! ダンジョン週間を楽しみにしすぎだわ!」


「それはラナもだろ?」


「当たり前でしょ!」


 我が〈エデン〉のギルド部屋に到着してテンション高めに挨拶するとラナからもウキウキとした返事が返ってきた。


 何しろダンジョン週間である。

 楽しみじゃないはずが無い。

 今日から9日間学業がないのだ。つまりはプチ春休みみたいなものである。

 授業がなくなってしまうのは少し残念ではあるが、時間がフルに使えるというのは素晴らしい。


 俺もラナもウキウキが止まらないのだ、パチンとハイタッチを交わす。

 そこへジト目のシエラが話かけてきた。


「ちょっと落ち着きなさいよあなたたち。今からそんなテンションで、後でバテても知らないわよ?」


「そう言いつつシエラは助けてくれることを俺は知っているぞ!」


「……迷惑を掛けないようほどほどにしなさいよね」


 そう言ってそっぽ向くシエラの耳がうっすら染まっているのを俺は見逃さない。

 つまりは助けてくれるということだ。

 いつの間にシエラはツンデレに目覚めたんだ?

 いやシエラはツンではなくクーデレが正しいか? なんか可愛い反応だぞ?


「それよりゼフィルス、昨日また何かやったそうじゃない?」


「おお、ルルもシェリアもおはよう。いい朝だな!」


 このままシエラに絡みに行くか悩んでいたら、素早くジト目に早変わりしたのでルルとシェリアの方に方向転換して誤魔化した。

 え? 昨日? 俺にはなんらやましいことは無い。無いが、なんとなくこの話は進めてはダメな気がするんだ。


 ルルとシェリアにも朝の爽やかな挨拶を交わしていると、ギルドに入ってきたリーナが声を掛けてくる。


「おはようございますゼフィルスさん、今日はよろしくお願いしますわ」


「お、リーナおはよう。今日はガンガン教えるから頑張ってくれよ」


「はい! ゼフィルスさんの教えですもの、わたくし頑張りますわ!」


 今日はリーナとパーティを組む予定だ。

 【姫軍師】に就いて2週間、LVも23まで上がり〈最強育成論〉にしたがって順調に育成が進んでいるリーナ。

 しかし、ここ最近他のことばかりにかまけてリーナの相手がまったくと言っていいほどできなかった。

 これは由々しき事態。


 俺は彼女を参謀、は言いすぎかもしれないが司令塔にはしたいため、ダンジョンやギルドバトルのことについて多くのことを教えていきたいと思っていた。

 前回〈ビリビリクマリス〉の〈パーフェクトビューティフォー現象〉で出たあのアイテムのこともある。

 今日は彼女に付きっ切りで勉強会を開催する予定だ。ダンジョンでな。


 他のメンバーにも挨拶をしていると全員が集まったので朝のミーティングを行なう。シエラはずっとジト目だったが、多分大丈夫だ。説教は回避できたと思う。


「〈学園長クエスト〉の最後の素材、レアボス〈陰陽次太郎〉の撃破は今日が期限だ。シエラ、ハンナ、ルル、シェリア、パメラ、頼むぞ」


「任せて」


「うん!」


「やるのですよ!」


「了解しました」


「頑張るデース!」


 今回の〈陰陽次太郎〉の討伐に俺は参加しない。

 シエラたちのパーティに任せることにしていた。

 先週、頑張って周回し〈竹割太郎〉の素材をたくさん取ってきてくれたシエラ、ハンナ、ルル、シェリア、パメラのパーティ。それを差し置いて俺が最後だけ奪うわけにはいかない。

 実力的にもなんとかなりそうなので、今回もこの5人に任せることにした形だ。


「シエラには後で〈笛〉を渡しておくから、安全第一でやってほしい」


「分かったわ。何かあったらチャットで連絡するから」


「了解。それと、俺はリーナとダンジョンで勉強会の予定だ。ラナたちは」


「私たちは残りの女子メンバー連れてサボテンかキノコでも狩ってくるわ! シズがLV40を超えたら中級下位チュカのどこかに行きたいわね!」


 ラナは、カルア、リカ、シズ、エステルのパーティでシズのLV上げを行なうつもりのようだ。

 シズはリーナの育成で先週LV上げできなかったためLVは38で止まっている。

 数回ボスを周回すればすぐに40に届くな。中級下位チュカの入ダンはLV40以上が必要だ。

 エステルがメンバーに居るので最奥まではすぐだろう。


「了解。周回中を見られないように気をつけてくれよ。しかし中級下位チュカに行くのか? どこに行く予定なんだ?」


「カルアがいるし大丈夫よ! そうね、丘陵のきょりゅ、恐竜ダンジョンと〈六森ろくもり雷木いかずちもくダンジョン〉両方の上層で明日の肩慣らししたいわね! シズの新スキルも見てみたいわ。行けるのなら10層のFボスも倒したいわね」


 途中恐竜のところで噛んだラナだったが、あれは仕方ないな。あのダンジョンは噛みやすい。別名〈早口ダンジョン〉なんて揶揄られてたからな。

 ラナのパーティは肩慣らしがメインらしい。

 シズには〈最強育成論〉を渡してあるが、どうやらじっくりステ振りさせてはもらえないようだ。ラナの目がワクワクに燃えている。


「とりあえずこれで全員の今日の予定が決まったな」


 最後に残ったセレスタンだが、今日は用事があるらしく不参加であるらしい。

 セレスタンも働き者だが、リーナを除いたメンバーの中でLVが一番低いのが心配だ。

 今度LV上げを手伝ってやろうと決める。


「では解散!」


 ミーティング終了。

 今日はリーナを連れ、〈ウルフ〉を相手に統率の何たるかから学ぼうか。




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