第275話 初の授業終了。講師の仕事ってすごく楽しい!
「なんか、すごかったね【勇者】君」
「うん。真剣な顔にキュンときちゃった」
「それも分かるけど勉強しなよ! 結構すごいこと言ってたんだよ?」
「それは分かるんだけどスケールが予想以上に大きかったというか。目指す目標が高すぎているって言うか」
「多分〈エデン〉もこのやり方を採用しているのよ。1年生〈ギルド〉で未だ戦闘不能経験無しなんてどういう実力しているのかずっと気になっていたのだけど、こういうことだったのね」
「そりゃ他のギルドじゃ勝ち目ないわね。昨日のギルドバトルでも同じ1組のギルドに圧勝したって聞いたわ」
「でもぉ、どうして【勇者】君は〈エデン〉の独占にしないで教えてくれたのかな?」
「聞いた話だと対抗馬というかライバルが欲しいからだという噂よ。ほら〈エデン〉に追いつけるギルドが今はいないのよ」
「それで貴重な情報を公開しちゃう【勇者】君がマジパナイ」
「分かる。しかも私たちと同じ歳で講師までしちゃう【勇者】君にすごくときめくの」
「結局そこに回帰するのよね」
「ミーハーな子も多いけどさ、この授業って多分かなり貴重なんだよね。おそらく国家クラス並みに」
「え?」
「それは大げさじゃない?」
「大げさなんかじゃないよ。だってここに参加している50人、絶対他より頭一つ飛び出るよ」
「確かに。ゼフィルス先生が言っていたようにLVには成長限界があるわ。つまりLV的には目上の方に追いつくことは可能なのよ。そしてその時の私たちは周りから飛びぬけて強いはずなの」
「マジか。宮廷魔道師とか騎士団長なんかになるのも思いのままってことじゃん!」
「そうなるわ実力主義だもの。それに、もしかしたら上級ダンジョンすらクリアできるかもしれないの」
「上級ダンジョン!?」
「え? それ歴史に乗っちゃうクラスのやつじゃない?」
「歴史に乗っちゃうクラスのやつだね。だから国家クラス並みだって言ったのよ」
「【勇者】君が国家の重鎮を次々生み出そうとしている件」
「むしろ現在進行形で生まれまくっているかもしれない件」
「というか国家クラス並みの情報をほいほい授業で公開していいの!? それってもっとこうさ、しかるべき場所に提出するものじゃない!?」
「それじゃライバルは作れないじゃないの」
「なんていう【勇者】!」
「痺れちゃうし憧れちゃう!」
「はいはい。さて、問題はこの情報普通に扱っちゃっていいのかという部分」
「そうね。良いのだと思うわ。【勇者】君の夢を皆でかなえてあげましょ」
「あ、2コマ目が始まるわね。じゃあみんな各自恨みっこ無しで頑張りましょ」
「シーユー」
1コマ目が無事終わった。
初めての授業にしてはそこそこ良かったんじゃないかと思う。
少なくとも、〈ダン活式育成論〉の基本的な考え方は分かってもらえたんじゃないかと思う。
ただ、1コマ目が終わったとたん女子がすごい勢いで一箇所に集まったときは何事かと思った。
数少ない男子たちがポカンとした顔をしているぞ?
そしてなにやらすごく盛り上がっている様子だ。
何、この45人の女子は全員友達なの? 友達の輪デカくない? 普通いくつかのグループに分かれるもんじゃないのか?
「共通の話題があるとき、女子の垣根は取り外されると聞きます」
「むしろ垣根のかの字も無かったぞ」
セレスタンが俺の心境を読んで言う。あまり読まないでほしいところだ。
とりあえず次の授業の準備をするか。
俺の〈育成論〉は6コマフルタイムで入っているので今日一日はこのメンバーで変わらず授業を行う予定だ。
早速セレスタンから出席簿を貸してもらい一応目を通しておく。
そういえば単位はどうやって与えようか。テストを作る予定は無いから出席率だけでいいか。
そんなことを出席簿を眺めながら考えているとあっという間に休み時間が終わる。
2コマ目だ。
「授業を再開するぞ。まずはこれを見て欲しい」
ここからは例として、俺や他の〈ダン活〉プレイヤーが考えた最強の完成体のステータスを見せながら教えていく。
様々な完成体の例を見せて自分流の最強完成体を研究してもらうのが狙いだ。
教科書も無いので紙媒体で作ってコピーしたものを全員に配る。
ちなみに『コピー』や『複写』はスキルで存在する。アイテムもあるけど今回はスキルの方で頼んだ。
また、さすがに全ての例を持ってくるのは不可能なので、今回は無難に【ソードマン】や【黒魔道師】【白魔道士】【シールダー】【シーフ】など、一般的な中位職の〈育成論〉を書いておいた。
これらをベースにして物理アタッカーの育成や魔法アタッカーの育成の仕方など。
なぜその数値にステータスを振るのかを解説するなどして授業を進めていった。
次のコマではその逆に、ではこんなステータスの【ソードマン】や【黒魔道師】がいた場合どうやって倒すか、などを題材にする。
そんなことをしながら進めていくと時間はあっという間に過ぎていき、気がつけば6コマ目が終わる時間となっていた。
「もうこんな時間か。では今日はここまでとしようか。みんな各自、自分の
こうして初めての臨時講師としての仕事が終わった。
一日講師をした感想。〈ダン活〉の知識を語るのってすごく楽しい!
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