第274話 ゼフィルス先生の~〈ダン活式育成論〉講座~!
「今日から臨時講師に就いたゼフィルスだ。この選択授業では〈育成論〉について教えていこうと思う。授業の途中に質問タイムを設けるから分からないことがあったらドンドン聞いてくれ。では、よろしく頼む」
教室の壇上で俺がそういうと至る所からザワザワとした囁きと少々の黄色い声が聞こえてきた。
「きゃあ! 本物よ!」
「【勇者】君が臨時講師するって噂は本当だったのね!」
「来て良かったよ~」
「私も。これだけで週末まで頑張れるわ」
「見て、補佐の人もすごくカッコイイ」
「知ってるわ「微笑みのセレスタン」でしょ」
「本当あの2人が一緒にいると絵になるわ」
「これからこの2人に手取り足取り教えてもらえるのね。捗るわぁ」
「2人っきりになれる機会もあるかしら」
「それよりも自己アピールして〈エデン〉に引き抜いてもらうのが重要でしょ!」
「ちゃんと勉強して心証を良くしておかないとね!」
多分、受け入れられている、よな?
俺とセレスタンがやって来たのは〈戦闘課〉の校舎の一室だった。結構大きく、収容人数50名くらいの大きな教室だ。
今日からこの教室で〈育成論〉の選択授業を行なう。
基本的に〈ダン活〉はダンジョンを攻略することをメインにおいているため、〈ダンジョン攻略専攻〉のどこかの校舎で授業を行うことに決めていた。
セレスタンがいくつかの候補の教室を見繕ってもらい、同じ校舎と言うことでこの〈戦闘課〉の校舎を学園に希望した形だ。
教室に入ってみると、驚いたことに満席だった。
50席あって全てが埋まっている。あと、なぜか女子の比率が高い。男子は…1人2人、5人しかいないな。少な!
しかし20人来ればいいなと思っていたところにまさかの満席だったのは嬉しい。
気を取り直して早速自己紹介から行った。
選択授業は一期しか学ぶ機会がないため学生側の自己紹介はカットだ。これだけの人数がいると自己紹介だけで1コマつぶれてしまいそうだしな。1人1分、50分だ。
あと、補佐のセレスタンも紹介しておく。
セレスタンのほうを見ると出席簿と書かれたノートに何やらサッサッと書いている。
あれ? それって名前を呼んで手を上げてもらってから書くやつじゃない?
何セレスタン、彼女らの顔と名前全部一致しているの? 嘘だろ?
「初日は欠席者ゼロですね」
違ったらしい。全員出席に○を書いていただけだった。
さすがのセレスタンもマンモス校の学生全員の顔と名前が一致しているわけではないようだ。逆になんかホッとした。
というか出席簿なんてあったんだな。その辺の準備は全部セレスタンに持っていかれたので今まで知らなかった。
後で俺も見せてもらおう。気になる子はチェックしておかなければならない。
もちろん変な意味ではないよ。ほんとだよ?
ちなみに俺の知り合いは、3人ほど見覚えのある女子がいるがそれ以外は知らない顔だった。
3人は同じクラスの女子だ、数回話しをした覚えがある。一応クラスメイトには宣伝していたのでその効果だと思われる。俺の講義を聞きに来てくれて嬉しいね。
早速授業を開始した。
「まず、世の中にはこんな言葉がある。「
俺の講義が始まると全員が静かになった。
先ほどの浮ついた空気が鳴りを潜め、皆真剣な表情で俺の言葉を聞いている。
いいね。〈育成論〉とは〈ダン活〉を進めていく上で基本的な考え方のことだ。
この世界の育成のやり方は、憧れの成功者を目標にしてステータスを振るやり方であり、それ自体は間違ってはいないのだが、もっと、もう一歩上のやり方が存在する。
この講義を真剣に聞き、〈育成論〉をしっかりと身につけた者はLV限界時に相当差が出るはずだ。
俺の講義を聞きに来てくれた皆には、是非身につけてもらいたい。
「この〈育成論〉の授業とは、要は考え方を教えていくことになる。
〈ダン活式育成論〉とは考え方だ。育成をどういう方針で進める、のではなく。
すでに最終形態が決まっていて、そこに向かってただ突き進むことを指す。
つまり、「自分が考えた最強のキャラクター」、これを考えることが〈ダン活式育成論〉の真骨頂だ。
これをリアル風に置き換えて説明していく。
「〈育成論〉は何になりたいとか目指したいではなく、
誰々のようになりたいでは、甘い。
その誰かを超えたい。超えるためにどういうステータスが要求され、どういう完成体なら倒せるのかを考える、それが〈ダン活式育成論〉の考え方である。
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