第151話 最後の初級ダンジョンは毒キノコだらけだ。
Eランクギルド昇格試験、その最後の一つの条件である初級上位ダンジョン。
名称〈毒茸の
鍾乳洞のような岩洞に様々な毒キノコが生えまくっている、ちょっと紫色の洞窟だ。毒々しい。
地形によるスリップダメージもこのダンジョンから本格的に発生するので通る道は注意して選ばなければならない。
ちなみに〈乗り物〉に乗れば大体のスリップダメージは無視出来る。
早く〈乗り物〉出来ないかなぁ。あ、そういえばテンション高くって〈乗り物〉の作製依頼をしたことギルドメンバーに報告するの忘れてたな。ま、帰ってからすれば良いか。
「毒よ。毒があるわ! あ、あそこにもあるわ! みんな注意して進まなきゃダメよ。もしダメージを受けたらすぐ言いなさい、私が回復してあげるから!」
先輩風のようなものを吹かすラナが辺りを見渡しそう忠告してきた。まあ見れば分かる。
しかし、何故かラナに言われると和むのは何故だろうか? ポンコツッ子が頑張って皆に注意を促している光景って、なんかホッコリするんだよなぁ。不思議だ。
「この床を歩けばHPに5ポイントの固定ダメージを受けると伺いました。あまり踏みすぎますとHPの低いラナ様、ハンナさんは非常に危険です。お気を付けなさいますよう」
エステルの言うように、後衛組はHPが低いので注意だな。特にハンナなんて装備で少しだけ底上げしたとはいえHPは90しかない。
ラナは何気にHP200近くあるのであまり心配はしていないが。
「岩洞と言うからもう少し神秘的な場所かと思っていたけど、まったくそんな事無いわね。むしろ〈幽霊の洞窟ダンジョン〉を思い出すわ…」
シエラが少しイヤそうに辺りを見渡す。つまり怖いという事だろうか?
確かに幽霊でも出そうな風景だが、まあ安心してほしい。
「このダンジョンでは
シエラを安心させようとそう言うと、彼女がこちらに振り返って言う。
「私が聞いた話ではオバケモンスターが出ると聞いたのだけど?」
「え! このダンジョンはお化けが出るのですか?」
シエラの真剣な声にハンナも便乗する。
「あ~、オバケな。あれ確かにオバケだけど、違うっていうか…」
要は某有名ゲームで出てくる「おばけキノコ」みたいなモンスターである。
植物と違って毒々しいキノコが動く光景ってなんでオバケに見えるんだろうな。
ここに出てくるモンスターはただ毒々しいキノコ型であってオバケではない。と二人に言い聞かす。
「あ、なんだ。びっくりしたよゼフィルス君」
「なるほど、キノコ型モンスターなのね。なら大丈夫かしら」
シエラはこう見えて
ハンナは、幽霊は叩けないから嫌いとかそんな事を言っていた気がする。お察しだな。
「あと、あのダメージ床だが『採取』も出来る。毒素材がゲットできるぞ。ハンナ、やってみな」
俺は液体保管用の小瓶アイテムと〈優しいスコップ〉を持ってハンナにやり方を教え、やってみてもらった。
〈ダン活〉ではダメージ床は採取ポイントでもある。しかし特殊な素材なためこうしてそれ専用の保管用アイテムが必要なので持ち忘れに注意が必要だ。
普通の『採取』だけでは持って帰れないのでダメージ床が採取ポイントであると割と知られていない。
「わ、凄いね、これ」
「いいぞ。これで毒アイテムが作れるな。レシピも用意してきたから後で錬金してみよう。もしかしたら【錬金術師】でも新たな戦い方が開拓出来るかも知れない」
確か〈ダン活〉以外では【錬金術師】が爆弾や毒薬やらを作ってモンスターと戦うゲームとかもあった気がする。要はあれの真似だな。上手くいくかは分からないが。『スロー』系のスキルが付与された腕装備を付けたら、案外行けるのではないかと思っている。
「あ! モンスターを発見したわ! みんな戦闘準備よ!」
第一モンスター発見だ。ラナの声に全員が武器を構える。
「マ、マ、マ」
ラナが見つけたのは〈毒茸の岩洞ダンジョン〉のオーソドックスなキノコ型モンスター〈ポイズンマッシュ〉だった。
毒々しい紫のキノコに口だけ付いた見た目をしている。あと、何故か二足歩行だ。
全階層に出てくるのだが、毒にしてくる以外あまり強くもないモンスターだな。
「一体ね。ヘイトを取る必要も無いかしら? 『シールドバッシュ』」
「マ!?」
シエラが軽くひねった。
〈ポイズンマッシュ〉が「マジかよ!?」と言いたげな声を出して転倒、スリップダウンしたのでそこに俺とエステルで通常攻撃を掛ける。
「ママ…」
第一モンスターとの
エフェクトに消えていく〈ポイズンマッシュ〉の声には無念がこもっていたような気がしなくもない。多分気のせいだな。
「弱かったわね!」
「そりゃあ
たくさん周回したからなぁ。
ちなみに
ボスに挑戦する適正LVは
そのかわり経験値が微々たるものになってしまうため、一般モンスターではLV上げが難しくなってしまう。
要はボス部屋までさっさと行った方が効率的というわけだ。
〈乗り物〉の登場が願われるな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます