第149話 ハンナ〈ユニークスキル〉解禁! 本領発揮!




 カルアとリカは二人とも職業ジョブLV18だった。二段階目のツリー解放までもう少しという所。

 これで〈ナイトゴブリン〉に勝っちゃったのか。凄いな二人とも。


 早くLVを上げさせてやりたいが、ボス周回が出来ないのが辛いところだ。

 ボス周回をするための強力なスキルを、二人ともまだ持っていないからな。仕方ない。

 ボス周回が出来れば、もっと効率よくLVアップ出来るんだが、強力な攻撃スキルなんて3段階目のツリーかユニーク辺りじゃないとなかなか無いからなぁ。


 そのため彼女たちにはまだボス周回の存在すら打ち明けていないのだ。早く教えてあげたいぜ。


 ま、しばらく〈野草の草原ダンジョン〉にダンジョンアタックをしてもらうとしよう。

 〈エデン〉がEランクになったくらいでちょうど彼女たちも職業ジョブLV20に届くはずだ。そしたらスピードアップだな。


 そのため今回はSUPの振り方だけ伝授し、SPに関してはメモの通り2段階目のツリー解放まで貯めておいてもらう。



「ありがと、ゼフィルス。またね」


「ご教授感謝する。ゼフィルスたちの最後の初級上位ダンジョンの攻略とEランク試験の突破、切に願っている」


 そう言ってカルアとリカは笑顔で〈野草の草原ダンジョン〉へ向かっていった。

 一人になったギルド部屋を見渡すと〈幸猫様〉にお肉のお供えがしてあった。どうやらリカとカルアが置いたらしい。

 うむ。良い事だ。きっと良いドロップが出ることだろう。


 ちなみに彼女たちがここにいたのはリカの毎日の日課が原因だ。毎朝〈モチッコ〉ぬいぐるみに触りたいんだとさ。

 俺も触ってみる。なんか、モチッとしているな!


「あ、ゼフィルス君。おはよ~」


「おう、おはようハンナ」


 そこへハンナがやってきた。実はここで待ち合わせをしていた。


「俺たちも職業ジョブLV40を超えたからな。早速3段階目のツリーを振っていくぞ」


「うん。お願いね」


 と、理由はそういうことだ。



 まずハンナから。


 ――――――――――


名前ネーム:ハンナ

人種カテゴリー:「村人」「女」

職業ジョブ:【錬金術師】LV35→LV41

SUPステータスアップポイント:合計14P獲得

制限:〈DEX+5〉

【HP 30/30】(+60)

【MP 380/380】


【STR 10】

【VIT 10】

【INT 10】

【RES 155→209】

【AGI 10】

【DEX 235→265】


【SUP 0P→84P→0P】

【SP 10P→16P→0P】


《スキル》

『錬金LV10』『調合LV10』『素材返しLV10』

『迅速錬金LV1』new『迅速調合LV1』new

『簡略生産LV1』new『大量生産LV1』new

『薬品質上昇LV1』new『薬回復量上昇付与LV1』new


『幸運』


《魔法》

 未取得


《ユニークスキル》

『すべては奉納ほうのうで決まる錬金術LV10』new


《装備》

〈マナライトの杖〉両手

『空きスロット』

〈フレムロッド魔能玉〉『ファイヤーボールLV5』『フレアランスLV3』『アイスランスLV1』

〈戦小狼の魔女折れ帽子〉頭

『HP+40』

〈アーリクイーン黒〉体①

『打撃耐性LV2』

〈希少小狼のケープ〉体②

『斬撃耐性LV3』

〈バトルフグローブ〉腕

『HP+20』

〈バトルフシューズ〉足

『移動速度上昇LV3』

〈節約上手の指輪〉アクセ①

『MP消費削減LV3』

〈火のお守り〉アクセ②

『火属性威力上昇LV2』

 ――――――――――



 念願の職業ジョブLV40超えだ! やったなハンナ!


 まずステータスは【RES】に極振りだ。〈マホリタンR〉で火力に出来るからな。

 振らないわけがない。〈制限〉で強制的に振られるポイント以外は全て【RES】行きだ。


 そして、とうとう〈ユニークスキル〉『すべては奉納ほうのうで決まる錬金術』、通称:『奉納錬金』が解禁された。

 一般職であり、下級職の中の中ランクというザ・普通の位置にある【錬金術師】。しかしゲーム時代から俺は必ずと言って良いほどギルドに在籍させていた常在じょうざい職業ジョブだった。

 その理由がこの〈ユニークスキル〉である。


 効果は〈奉納したアイテムによって、『錬金』で生み出されたアイテムが変化する〉。


 要はにえである。アイテムを溶かし、『錬金』の効果を高めるスキルと考えてほしい。


 具体的に普通のポーション(下級)を『錬金』する際にこれを発動したとする。溶かすアイテムは中級ダンジョンの〈銀箱〉産アイテム、つまり格上のレア級。これを捧げた。

 すると結果、〈ハイポーション〉×20個が出来上がったりするユニークスキルだ。


 びっくりするだろ? 俺も初めてやってみた時凄いびっくりした。

 どういうことかと思ったよ。


 これがなかなか面白くて、単にアイテムを格上げ、つまり上位転化させるスキルというわけでもなく、希少価値の高いアイテムを奉納するほど量がすんごい大量に増える効果もある。

 1個作って20個になるなんてざらだ。〈金箱〉級を奉納すると100個になる事もある。

 格上の希少アイテムや素材なんて使ったら一段上のアイテムに転化し引き上げられたりもする。ポーションの素材だったのにハイポーションが出来ちゃったり、とかだな。


 全ては奉納するアイテムの価値次第だが、俺はこれを大量生産によく使っていた。


 何しろ1個作るための素材で最大100個作れるぶっ壊れスキルである。

 さすがにポーション100個作るために〈金箱〉級を奉納することはちょっと無いが、素材の大きな節約になるのは大きい。そしてそれに伴い時間短縮の大きな手助けになっていた。

 何しろ素材を節約出来るということは、採集の手間を大きく削る事が可能だからだ。イコール時間短縮である。


 おそらくだが、開発陣もそれを見越してこの〈ユニーク〉を作ったのだと思う。

 〈ダン活〉は、とにかくいろんなものが大量にあるゲームだった。

 素材の種類だってドロップの種類だって意味わかんないほど種類が多い。

 まあ意味は分かるけどな。職業ジョブが多いからそれに適合した素材が多いんだ。世界観も全部ダンジョン資源で世界が回っている仕様だしな。

 故に、目的の物の採集にものすごい時間が掛かる。むちゃくちゃ時間掛かる。


 俺は〈野草の草原ダンジョン〉で〈魔力草〉を集めていたが、一日がかりで集めた〈魔力草〉も数日のボス周回で簡単に溶けてしまう。

 もっと大量に、もっと効率の良い方法でMPポーションを生産しなければ学園卒業タイムアップまでに遊び尽くせない。楽しみ尽くせない。


 それ故に開発陣は大量生産が出来る職業ジョブを隠れて用意していたと思われる。

 皆が高位職や「人種」カテゴリーにばかり目が行っている隙に、普通の職業ジョブにこんなとんでもない隠し球を用意しておく。さすがだぜ開発陣。とってもいきはからいだ!


 これで今後、MPポーションを気遣う事無くじゃんじゃん使っていけるだろう。

 〈銀箱〉産アイテムを奉納するのでさじ加減を間違えると赤字にもなる事もあるが、その辺は俺がよく分かっている。ずっと使い続けてきたからな。


 どういうことかというと、MPポーション(下級)20個を作るため〈銀箱〉産を奉納したとして、回復量は400ポイント~600ポイント。そのMPを使い切る前にボス戦で〈銀箱〉をドロップしなければ赤字、と凄く単純に言えばこういう事である。(実際には違います)


 ま、こちらには〈幸猫様〉が付いている。問題は無いな。

 面白くなってきたぜ。ふはは!



 さて、だいぶ〈ユニーク〉に気を取られたが、普通の〈スキル〉も少し紹介しよう。


 ハンナに取ってもらった3段階目の〈スキル〉は6つ。

 『迅速錬金』『迅速調合』『簡略生産』はその名の通り生産速度が上がるスキルだ。


 『大量生産』も意味は同じだな。


 『薬品質上昇』はポーション系や毒薬系の品質が上がる。〈高級品〉などにいたると回復量やダメージ量も上がるのでなかなかに有用だ。

 『薬回復量上昇付与』は回復薬ポーション系特化型だがその分効果は高い。『薬品質上昇』の〈スキル〉と重複するので回復量を大きく上昇させる事が出来る。

 この二つはアイテム節約に使えるので今後優先的にLVを上げていきたいスキルだな。


 とりあえずはこんなところだ。

 あとは装備に付与された〈スキル〉が5つと〈魔法〉が3つだな。こうしてみるとハンナ〈スキル〉多くなったな! 前は一番少なかったのに。



 さて、次はようやく俺の番だ。




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