第21話 二層のドロップはタダの肉!
さて、二層についた。
このダンジョンはフィールド型と言われるダンジョンで、一層が草原地区になっており道がまっすぐ延びている。
二層目は森林地帯だ。木々が鬱蒼と…いやところどころにポツリポツリと生えている。
見渡しやすい。そして道がまっすぐ延びている。
この道を進む限り迷う心配は無い。分かれ道も無いし。
さすがチュートリアル。安心設計だ。
「さて、二層に着いたわ。ここからはモンスターが替わるから注意してね」
フィリス先生が優しく注意を促してくれるが、
この階層に出現するモンスターを知っている俺からすれば何に注意すればいいのか分からない。
「ここには何が出るのですか?」
ハンナが
「二層に登場するのは、角の無いホーンラビットよ」
もうそれただのウサギじゃね?
チュートリアルだからって攻撃力を奪えば良いってもんじゃねぇぞ!
ツッコミたい、しかしツッコんだら負けな気がする。
俺は絶対に突っ込まないぞ。
「それただのウサギじゃないですか?」
「ブハッ!」
ハンナが行ったー!
必死に耐えていたのに思わず吹き出しちまったじゃねぇか!
「そうね。タダのウサギと思って良いわよ。お肉を落とすわ」
フィリス先生も認めた。
やっぱりただのウサギだよな!
何故かフィリス先生のタダのニュアンスが違うような気がしたけど、きっと気のせいだろう。
しかしそれと別にタダ肉は良いな!
「よし。ハンナたくさん集めるぞ」
「うん!」
ハンナも気負うことなく頷いた。もう緊張はどこにも無い。
お互い肉を目当てに捜索しながら歩きだすと、突然俺の『直感』が囁いた。
なんとなく危険な予感がする!?
「そこか!?」
側面からの奇襲。
跳びかかってきたウサギを確認すると、左手のバックラーでガードした。
ゴツンッ! と盾から鈍い音がする。
まるで頭に拳骨を食らったかのような音だ。
「キュゥ……」
バサッとウサギが地面に落ちてそのまま動かない。
なんかピクピクしている。
頭を強く打って気絶したのかもしれない。隙だらけだ。
え? これって斬ってもいいの? なんかダメな気がするんだけど?
「フィリス先生! ウサギが跳びかかってきました! 斬ってもよろしいですか!」
一応今は授業中だ。勝手に斬るとなんやかんやあるかもしれない。ここは先生に振るのが正解だ。
別に躊躇したわけではない。
「ええ。ウサギはシチューにするのが先生のおすすめよ」
おお、フィリス先生の中ではすでに食卓に上がることまで決定していたらしい。
というかフィリス先生やけに食いつきがいいな。完全に
斬っても良いってさ。
ということで、すまんなウサギ俺たちの夕食になってくれ。
許可が出てしまったのでピクピク痙攣して動かないウサギをショートソードで一閃する。
光の粒子が散ってお肉がドロップした。ラグー肉だってさ、何故かパッケージ済みの。
「お肉ゲットー!」
ドロップした肉をわし掴むと高らかに持ち上げて叫んでみた。
特に意味は無い。
テンションが上がっただけだ!
でもテンションって、すごい大事!
そこへハンナが羨ましそうにやってきた。
「いいなぁゼフィルス君」
「まあハンナもすぐに見つかるって。ただやっぱりモンスターだから攻撃してくるのは気をつけろよ?」
「うーん、大丈夫な気がするけど」
まあそうだろうけどさ。
角の無いホーンラビット。体長20cmほど。
あまりにちっちゃ過ぎて脅威にもならない。当たったところでダメージを食らうことも無いだろう。
ハンナの意見も分かる。
「これは練習なんだから、本番気をつけるための練習だと思っておいた方がいいぞ?」
「そっか。そうだね。ゼフィルス君ありがとう」
少し危機意識が薄れすぎているように見えたハンナにアドバイスを送る。
なんかハンナ、モンスターに慣れすぎて怪我でも負いそうな気がしたのだ、が。
その後にハンナを襲ってきたウサギは簡単にぶっ飛ばされている光景を見ると、心配なかったかもしれない。
一層より二層の方がやや距離が長い。
その分モンスターも多く最終的にお肉各種は28個になった。
中々の量だ。ホクホクである。
レベルも上がった。
俺とハンナはLV7になり、獲得したSPで俺は『直感LV5』に、ハンナは『調合LV2』に上げた。
そうして一行は次の第三層、第四層と順調に進んでいく。
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