第15話 なにさ今更
「萌も大胆だよねぇ〜」
「う〜言わないでよ春姫。自己嫌悪中なんだから・・・」
スポーツ大会で私が涼真君に抱きついていた件は思ってた以上に目撃されていて、ちょっとした話題になりあちこちで冷やかされることになった。
まぁ好意的な冷やかしが多かったけど、なんだか涼真君に申し訳ないというか・・・恥ずかしいし。
ということでいつものメンバーとのランチタイムでも色々とからかわれている状況だ。
「でも、いいんじゃない?2人共付き合ってるんだしさ。
それに山里君って結構奥手みたいだから萌が積極的な方がいいのかもよ」
「べ 別に積極的にというか話の流れで、ああなっただけで・・・」
「そんなもんよ。まぁ私は人前で抱き合ったりはしないけどね♪」
「う~千歳の意地悪~」
千歳。
・・・絶対面白がってるでしょあんたは。
まぁ騒ぎがあまり大きくならないように上手く立ち振る舞ってくれている望月君と千歳には感謝してるけど・・・酷いぞ。
「あ、そういえばさ佐和。雄二とはどうなの?何か進展あった?」
そんな千歳との会話から話題を変えようとサンドウィッチを食べている佐和に雄二との事を聞いてみた。
最近、雄二との事は話題に出てなかったけど順調なのかな?
「日吉君とは・・・教室でよくおしゃべりするし、あれから何度か一緒に遊びには出掛けたりしたけど・・・それだけかな」
「え?もしかしてまだ告白とかされてないの?」
「うん・・・やっぱり私じゃダメなのかも・・・何だか自信なくなっちゃったよ」
いやいやいや。
むしろ佐和みたいに可愛い子が雄二と付き合う方が勿体ないくらいだよ。
佐和にこんなに心配させて・・・何考えてるんだろあいつ。
「全然そんな事ないって。雄二のやつ何考えてんだろ」
「でもさ最近、萌と山里君の例の話題が出始めてから、日吉君もボーっと何か考え事をしてることが増えた気がするんだよね。やっぱり萌の事が気になってるんじゃ?」
雄二が私の事で考え事?
そんな、まさかね。
「そ そんなことないよ。
きっと身内として"何みっともないことしてるんだよ"くらいの感じだよ」
「そうなのかなぁ~」
「そうそう!あ、佐和のことはさ、今度私がビシッ!と言っといてあげるよ」
「・・・うん。ありがとね萌」
雄二の奴。
なにさ今更・・・・・
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<日吉 雄二Side>
「ねぇ。日吉君聞いてる?」
「え?あぁもちろん」
「もぉ 何だか最近ぼーっとしてること多いよ」
「そ そうかな」
「そうだよー」
ボーっとしているか・・・理由はわかっている。
萌と山里の件だ。
2人が付き合い始めたというのは直接聞いて知っていた。
そのことについては、萌が遠くに行ってしまったような気がして、寂しく感じながらも祝福する気持ちはあった。
あの時も・・・萌から山里との交際を直接聞いたときも"おめでとう"とは言ってあげるつもりだったんだ。
でも、萌があまりにも山里と帰ることを嬉しそうに言うから・・・結局言えなかった。
ずっと一緒に過ごしてきた萌が他の男と楽しそうにしているところを見て・・・嫉妬?それともやきもち?だったのかな。
そんな想いを持ちつつも何とか"友達"として萌や山里とも普通に過ごせてきたつもりだったけど・・・スポーツ大会の後、2人が抱き合っていたという話を噂で聞いたとき・・・何だか胸が痛んだ。
萌の事はただの幼馴染で家族の様な存在だと思っていた。
時には口うるさい姉であり、手のかかる妹であり、楽しい時も辛い時もいつも一緒だった大切な家族。
この気持ちそのものは間違いじゃないと思う。
だから、萌に恋人が出来て、その関係性が変わって少し寂しくなって・・・そう思っていた。
でも・・・萌には異性として意識したことなかったって言ったけど、もしかしたら僕は萌の事を異性として好きだったんじゃないか?
だから山里が現れてモヤモヤした気持ちになっているんじゃないか?
何だかよくわからなくなってきた。
「多分・・・萌と山里君の事だよね。日吉君が考えてるの」
「え?」
「だってさ、あの二人の噂聞いてからだよ。色々と考えこむようになったの」
「そ そんなこと・・・」
「無理しなくてもいいよ。
私だってもし仲が良かった幼馴染に彼女とか出来たら気になるもん」
「下北さん・・・」
「気になるんでしょ萌の事が」
「ごめん・・・」
駄目だな僕は。
下北さんにまで心配かけて。
「謝ることないよ。もっと自分に正直にね♪」
「そう だね」
「うん♪ 私は・・・その・・・待ってるからさ」
「ありがとう・・・」
****************
話が長くなったので2話に分けました。
今晩続きでもう1話アップします。
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