第14話 私の一番は・・・

「ナイスシュー涼真君!」

「ありがとう!萌の応援のおかげだよ」


シュートを決めた涼真君が私に手を振って笑いかけてくれた。

(山里)涼真君と付き合い始めて早1か月。

最近はお互い名前で呼び合う様になってきたし交際も順調♪(だと思う)


正直、告白にOKはしたものの私じゃ直ぐに愛想をつかされてフラれちゃうんじゃ・・・とかネガティブな想いもあったんだけど、涼真君はちょっと過保護過ぎるんじゃと思うくらいに私の事を大切にしてくれた。

そして、私自身も涼真君と一緒に居ることで、彼の事を知ることで、彼と話をすることで、どんどん彼の事が好きになって・・・

雄二への想いとは違うこの気持ち・・・私は涼真君に恋しているのかなと思うようになっていた。


な~んて、まさか私がこんな少女マンガみたいに恋する乙女になるとは思わなかった。


さて、そんな私と涼真君なんだけど、今日はクラス対抗のスポーツ大会に参加している。毎年恒例のイベントだけど結構盛り上がるんだよね。


私はバスケとバレーボールに参加したんだけど、初戦からバスケ部の多いA組に惨敗してしまった。あそこは、次期部長候補の鮎川さんや大室さんがいるんだもん無理です。。。

ただ、バレーボールは佐和達のB組に競り勝つことが出来た。何気にうちのクラスってバレーボール部多いんだよね。


そして、今は試合が終わった女子全員で男子のバスケの試合を応援している。

涼真君もバスケに参加しているんだけど優勝候補のA組相手にいい勝負をしている。

恩田君や栗田君と女子同様にA組はバスケ部員が多いんだけど、うちのクラスでもバスケ部レギュラーメンバーの堀田君がキャプテンとして場を仕切ってくれていて負けてない。

そして何より涼真君が凄いの!シュートの成功率も高いし、贔屓目じゃなくもバスケ部に負けず劣らずの活躍をしている。もうとにかくカッコよくて♡


「いいなぁ~萌。山里君めちゃカッコいいじゃん」

「へへへぇ~。本当カッコいいよねぇ~涼真君♡」

「もう惚気ちゃって。でもほんといいなぁ~。私もカッコイイ彼氏欲しい!」


別に隠すような悪いことをしてるわけでもないし、涼真君とはオープンに付き合ってるんだけど、春姫や千歳から"涼真君はモテる"って聞いてたから、正直色々と心配もしてた。

でも、意外にも周りは私達に好意的で最近は良く友達にもからかわれる位だ。

春姫曰く私と涼真君の人徳との事らしいけど・・・そうなの?



試合終了。

残念ながら涼真君達は僅差で負けてしまった。

サッカーも負けたから明日行われる次の試合に勧めるのは女子のバレーボールのみだ。


「・・・何だか悔しいな。折角萌が応援してくれてたのに」

「仕方ないよ。でも・・・今日の涼真君カッコよかったよ!」

「ありがとう」


そう言いながら私が渡したタオルで汗を拭う涼真君。

本当悔しそうだ。でも仕方ないよね。勝負なんだから勝ち負けはあるわけだし。


「でもさ、B組は・・・今日の試合勝ったんだよな」

「B組?うん。確か勝ったと思うけど」


雄二のクラスだよね。

それがどうかしたのかな?


「僕さ・・・日吉と・・・あいつと勝負して勝ちたかったんだ」

「雄二と?」

「うん。嫉妬深い奴とか思われちゃうかもしれないけど、やっぱり萌にとって日吉って特別な存在なんだと思うんだ。でも僕は萌の幼馴染にはなれないから・・・」


涼真君・・・そんな事考えてたんだ。

前に佐和や春姫からも言われたな。

確かに少し前の私なら色々と思うところはあったと思うけど・・・でも今は。


「大丈夫だよ」

「え?萌?」


そう言いながら私は不安そうな顔をしている涼真君に抱きついた。


「心配しなくても私の一番は涼真君だよ♪」

「お おぅ・・・あ ありがとう萌」


涼真君照れてる♪

抱きつくとかちょっと大胆だったかな?

でも・・・今の私の正直な気持ちだよ。


ちなみに私が涼真君に抱きついてるところはクラスメイト数名に目撃されていたらしく後で散々冷やかされてしまった。。。

こういうことする時は周りを見てからと心に誓いました。



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<山里 涼真Side>


石橋さんに告白の返事をもらって正式に付き合う様になった。

その後の付き合いも順調で、最近はお互いを名前で呼ぶようになった。

何だか一気に距離が縮まったようにも思えた。


初めての彼女で中学の頃から好きだった人と付き合うことになったんだ。

本当嬉しくて毎日が楽しい。


ただ・・・やっぱり日吉の事が気になる。

萌も日吉も"ただの幼馴染"とは言ってるけど、2人が仲良さそうに話とかしているのを見ると正直嫉妬してしまう。

我ながら何だか小さい奴だなとか思ってしまうけど、2人の積み重ねてきた時間は悔しいけど僕には敵わない。

それだけ僕が萌の事を好きなんだなとも思うけど・・・自己嫌悪だよ。


そんなことを思いつつも萌との交際は順調に続き、毎年恒例のスポーツ大会の日となった。

萌が応援してくれている中、僕は日吉に勝つことを目標に練習も重ね頑張った。

勝ったから何かあるというわけでもないんだけど・・・とにかく何か1つでもあいつに日吉に勝ちたかった。

が、恩田や栗田達にわずかながら力及ばずで、日吉達B組と対戦する前に敗退することとなってしまった。


悔しくて、つい萌に"日吉に勝ちたかったって"話してしまった。

情けないとか軽蔑されるかとも思ったけど・・・


「心配しなくても私の一番は涼真君だよ♪」


と萌は僕を抱きしめてくれた。

本当はここでカッコいいセリフでも言えたらよかったんだろうけど、


「お おぅ・・・あ ありがとう萌」


としか言えなかった。駄目だな僕も。。。


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時間取れれば週末もう1話更新します。

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