第13話 もしかしたら私も。
「ここ?」
「僕も雑誌で見ただけなんだけど、ここでいいはず」
学校帰り。
山里君の誘いで、いつもとは逆方向となる横川方面のバスに乗って到着したのは、小高い丘の上にある山小屋風のカフェレストランだった。
「凄く素敵なお店だね」
「うん。思った以上たよ。今日はまだ明るい時間だけど、暗くなるとリバーランドのイルミネーションとかも見えて凄く綺麗らしいよ」
「そうなんだ!見てみたいなぁ」
「今日はまだ時間が早いけどまた今度、もう少し遅い時間で一緒に・・・あ、とりあえずお店に入ろ」
「うん♪」
市街地から少し離れたお店だけど店内は、意外にも学生が多く私達も違和感なく入ることが出来た。
場所的に川野辺大学も近いし、横川の周辺にも高校や大学があるからかなと思ったけど、山里君曰く雑誌に載ったというスイーツを食べに遠征してくる人も居るんだとか。”映える”らしい。
ということで私達ももちろんそのスイーツを頼んだ。
そして待つこと10分。
「お 大きいね。食べきれるかな・・・」
「食べきれなければ僕も食べるから大丈夫だよ」
今私の前に置かれているのは雑誌に掲載されたというジャンボパフェ。
メニューの写真ではあまり大きさがわからなかったけど花瓶?って思ってしまうサイズの器にこれでもか!ってくらいにフルーツやアイスが入っている。
まぁこれで普通サイズのパフェより少し値段が高い位と考えるとコスパは良いのかもしれないけど・・・まぁ山里君も食べきれなければ手伝ってくれるみたいだし大丈夫かな?
とか思ったけど意外と食べられるもので、いつの間にかアイスやフルーツは食べきり、後は下の方に入っているコーンフレークのみとなった。
量は多かったけど甘さも抑えてあるし生クリームやバニラアイスと絡めて食べると普通に美味しいのよね。
う〜ん。幸せ♪
と、幸せを感じながらパフェを食べていると、山里君が私の事をじっと見ているのに気がついた。
しまった!パフェに夢中になり過ぎて山里君と会話できてない!!
駄目じゃん私!!
「ご ごめんなさい。何だか食べてばかりだったよね」
「あ、大丈夫だよ。暇してないし。それに石橋さんって、美味しそうに食べるなぁ~って」
うん。だって普通に美味しいし。
でも、なんだか食べてるとこ見られてるのは恥ずかしいな。
「なんだか恥ずかしいな。大食い女とか思ったでしょ?」
「そ そんなことないよ」
私が言うと、山里君は慌てて否定してきた。
そんなに慌てなくても大丈夫なのに。
「そう?でもこんなに食べるとかイメージ崩れちゃった?」
「いや、その、可愛いなって・・・」
「ま またぁ」
なんだろ。顔が熱いというか、ずるいよ真顔で可愛いとか言うの。
言われ慣れてないんだから本気にしちゃうぞ私。
その後、パフェを完食した後もお互いのクラスの話や部活の事とかの話で盛り上がった。
高校に入ってから、山里君と話しする機会ってあんまり無かったけど、聞き上手なのか私の話もちゃんと聞いてくれるし話していて凄く楽しく過ごせた。
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話はつきなかったけど、いつの間にか結構時間も経ったので私達はカフェを出てバスで駅まで戻った。そして暗くなりはじめた道を他愛もない会話をしながら一緒に歩いた。
前も感じたけどこの感じは嫌じゃない。
それに付き合うことになってから色々と話をするようになったからかもしれないけど前よりも安心感というか、落ち着いた感じもした。雄二とはまた違った感じだ。
そして、前と同じく自宅近くの交差点に到着。
駅からってこんなに近かったっけ?という位あっという間に時間が過ぎたようにも思えた。
「今日はありがとう♪凄く楽しかったよ」
「そ そう?それならよかった。
僕さ、こういうデートとかって初めてで、、、」
「そうなの?山里君ってこういうの慣れてるのかと思ったよ」
うん。モテるって聞いてたし。
今日だって
「そんなことないよ。今日だって正直なところ誘ってはみたけど石橋さんが楽しんでくれるか凄く不安だったんだ。でもよかったよ」
「ありがとう。色々気を使ってくれたんだね」
私のためにとか思うと凄く嬉しい。
それに・・・何だか山里君を見てるとドキドキする。
「あ、あのさ。良かったら今度の週末。また会えないかな?」
「え?週末」
「ほら、昔石橋さんが好きだって言ってた漫画が原作の映画って今週末からだよね」
「あ、覚えててくれたんだ。うん。私も楽しみにしてたんだ。佐和達を誘って行こうかと思ってたんだけど一緒に行ってくれるの?」
「もちろん! そ その・・・じゃあいいかな一緒に」
「うん♪」
「ありがとう!じゃあまた後で連絡するよ!
じゃ気を付けて!」
「うん。また明日学校で」
手を振りながら歩いていく山里君。
また、デートに誘われちゃったな。
週末かぁ・・・洋服何着て行こう。
春姫に相談してみようかな?
って、なんだろう凄く楽しみだ。
雄二とは2人で出掛けたことは何度もあったのに・・・こういうドキドキというか・・・気持ちになったことはなかったかも。
もしかしたら・・・・私も。。。
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