第9話 わたしでいいの?

「えぇ!!!山里君に告白された!?」

「ちょ春姫!声大きいって」


翌日の昼休み。

中庭のベンチで春姫と千歳、それに佐和との楽しいランチタイム♪

春姫達とはクラスが分かれて少し疎遠になっていたけど、最近またお昼を食べたり遊びに行ったりと一緒に行動することが多くなった。

まぁきっかけはあれだけど・・・私としては嬉しかったりもする。


「っていうかどういうこと?萌って山里君と接点あったっけ?」

「う~ん 正直あんまり話したことなかったんだけど・・・中学の頃から好きだったって」

「そっか萌とは中学が一緒かぁ~」

「うん」

「うゎ~そっか~ でも山里君って人気あるから泣く子が沢山いそうだなぁ」

「そうなの千歳?」


だよねぇ~ まぁ普通にカッコいいしモテるよね。


「テニス部内でも結構人気あるよ。特に1年のファンは多いかな。

 まぁ一番人気は次期部長の有坂だけど、あいつって若菜ちゃん一筋でしょ?

 山里君はフリーみたいだからって結構狙ってた子も居たはずだよ」

「そ そうなんだ・・・」


やっぱり人気なんだ。まぁ何となくわかるけど。

それなのに私でいいの?

そんなことを考えていると今度は佐和が話しかけてきた。


「そ その・・・萌は告白OKしたの?」

「え、う~ん。保留中・・・かな?」

「保留なの?それってやっぱり・・・」

「あ、雄二の事は関係ないよ。何というか急だったしさ」

「そ そう・・・」


そうそう。雄二の事が全く気にならないって言ったら嘘かもだけど、急だったから戸惑ってるのが本当のところ。だから佐和は気にしなくていいの。


「え~何で?山里君って紘一と仲いいから何度か私も遊んだことあるけど裏表ないし性格も良いよ?絶対付き合った方がいいって」

「そうなんだ」


そういえば千歳の彼氏の望月(紘一)君もテニス部か。

確かに中学の頃とかよく山里君と一緒に遊んでたもんな。

でも、そんな人が私の事が好きって言うのが猶更謎よね。


「前も言ったけど萌って結構モテるんだよ?」

「う~ん・・・」

「なんでそんな自己評価低いかなぁ」

「自己評価ねぇ」


そう言われても今までのモテたこと無いから実感が・・・


「そうそう。萌って明るくて話しやすいっていうか、男女問わず誰とでも気軽に話すでしょ?そういうところが良いのよ。それに普通に見た目も可愛いと思うよ」

「そんなに持ち上げないでよ・・・可愛くもないし」

「ふふ 照れちゃって可愛い♪あ、でも本当の話だからね」

「春姫~」


普段褒められ慣れてないんだから、そんな持ち上げないでよ。。。

まぁお世辞でも嬉しいけどさ♪



-----------------

<山里 涼真Side>


半ば勢いみたいなところもあったけど石橋さんに告白してしまった。

結果は保留にされてしまったけど石橋さんは僕の事どう思ってるんだろう。

最近はそんなに接点もなかったし変な奴とか思われなかったかな?


でも、日吉と別れたとか聞いたらじっとしていられなかった。

ただ・・・石橋さんは日吉とは付き合ってなかったって言ってたけど多分石橋さんは日吉の事を・・・


****************

中学1年の夏休み明け、僕は川北に転校してきて彼女と同じクラスになった。

人見知りな性格もあって自分から周りに話しかけられずにいた僕にクラス委員をしていた石橋さんは親切にしてくれた。

石橋さんは覚えてないみたいだったけど沢山話しかけてくれたし凄く嬉しかった。

その後は望月と遊ぶようになって男友達も増えた。

そして望月に誘われてテニス部にも入ったあたりから色々と付き合いも増え石橋さんとも話す機会も減ってしまった。

ただ・・・彼女の事は気になっていつも彼女を目で追っていた。


でも、彼女の隣にはいつも日吉が居た。

日吉は男の僕から見てもいい奴だと思えたし、あいつが石橋さんの相手なら諦めるしかないとも思っていた。

前に望月に相談したときに"そんなに好きならダメもとで告白すりゃいいじゃん"と軽く言われたけど勇気が出せなかったしね。


そしてその後も接点ないまま中学を卒業。

高校は同じ川野辺高校に進学出来たけど1年の時のクラスは別だった。

日吉は石橋さんと同じクラスなのにだ。


石橋さんとは縁が無いのかなと思っていたけど2年のクラス替えで僕は石橋さんと同じクラスになった。それに日吉は別のクラスだ。


石橋さんとまた仲良くできるかもと思いつつも中々話しかけられず何事もないいつもと変わらぬ高校生活を送っていたわけだけど、昨日親戚の家へ用事で出かけた帰り道で偶然石橋さんに出会った。

ただ、その時の石橋さんはいつもみたいに明るく振る舞ってはいたけど、少し雰囲気が違かった。

それに散歩とは言ってたけど絶対に違う。泣いてたみたいだし・・・


気の利いたセリフも言えず、ぶっきらぼうな感じになってはしまったけど久しぶりに石橋さんと会話が出来たのは少し嬉しかった。

これをきっかけに明日はもっと話が出来るかもと思い翌日学校へ行くと望月が慌てた様子で僕に教えてくれた。

"日吉と石橋さんが別れたらしい"って。



***************

どうでもいい裏設定ですが、"僕は彼女が嫌いなはずだ"の最初の方で春姫達に連絡先の交換しようと話しかけてきた男女は本作の萌を含む川北中卒業グループだったりします。萌と春姫達との付き合いはそのあたりからです。

石橋グループ 石橋、吉岡、栗平、船橋、下北、望月、日吉 ※山里は別のクラス

有坂グループ 有坂、栗田、恩田、富田、大室、鮎川、山下 ※渋沢はボッチ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る