第5話 デートしてるんだよね

<石橋 萌Side>


「はぁ~ 雄二と佐和、今頃楽しんでるのかぁ~」

「全く・・・そんなに気になるんなら佐和に"デートしてあげて"とか頼まなければよかったのに」

「だって・・・・」


今日、雄二と佐和はデートをしている。

佐和も最初は私に悪いって渋ってたんだけど何気に楽しみにしている様にも見えた。春姫曰く雄二は佐和の好みのタイプらしい。

・・・何よ。それって相思相愛じゃない!!


でもまだ付き合ってるってわけではないし、もしかしたらデートしたけど気が合わないとかあるかもしれないし・・・あぁ~もう気になって仕方がない。

お陰でケーキもう3つ目だよ。。。。

うん。明日からダイエット頑張ろ。


「はぁ~」


ということで朝から溜息ばかりなんだけど、家に1人で居るのも気が滅入ってくるのでランチついでにラウムに来たんだよね。


ここって春姫や小春、それにバレーボール部の湯川先輩もバイトしてたりするから誰かいるかなって。

思った通りで、今日は春姫がバイトに来ていた。

春姫は佐和とも仲が良いし、この間は雄二との事も相談にのってもらったから丁度良かったのかもしれない。


今は昼時で少し忙しそうにしてるけど、また後で少し愚痴でも聞いて貰おかな。




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<日吉 雄二Side>


「いい映画だったね♪」

「そうだね。でも下北さんって何となくだけどアクションものとか大作系の作品が好きなのかなって思ってたよ」

「ふふん。意外だった?恋愛ものが好きとか」

「確かに。でも・・・そういうのも良いと思うよ」

「ありがと♪」


今日は萌がセッティングしてくれた下北さんとのデートの日だ。

川野辺駅前で待ち合わせをして、ショッピングモールからの水族園という川野辺市民定番のデートコース・・・らしい。


デートって実は初めてで、何処に行くか悩んで恩田に色々と相談した結果このコースになったんだけど・・・ショッピングモールも水族園も萌と一緒に何度も来たことあるんだよな。

まぁ来たことがあるところとはいっても、一緒に居るのが下北さんってだけで何だか緊張してるんだけどね。

学校では気軽に話しできるようになったと思ってたけど、いつもの制服じゃない姿が余計に緊張を誘う。

白いブラウスにジーンズと少し大人っぽい服装も下北さんに凄く似合ってて綺麗だ。


萌だったら・・・同じような服を着てもこんなに大人っぽい感じにはならないよな・・・どっちかって言うと可愛い感じの方が似合うよな。

それに萌だったらこんなに緊張することもないだろうし逆に僕を楽しませようと気を遣ってくれてるかもしれないな。


・・・今頃何してるのかな萌。

何となく最近避けられてるし・・・距離を感じる。

やっぱり何か気に障るような事しちゃったのかな。


「どうかしたの日吉君?」

「あ、いや何でもないよ。ちょっと考え事してた」

「そぉ?ならいいけど。次は水族園行くんだったよね。早く行こうよ!」


駄目だな。

今日は下北さんとデートなんだ。

萌の事を考てるなんて失礼だよな。

下北さんとのデートを楽しまないと・・・いや、楽しんでもらわないと。

それに今のところは会話も自然に出来てる・・・とは思うし下北さんも楽しんでくれてる・・・とは思う。

うん。大丈夫だ・・・きっと。


「あ、あぁそうだね。楽しみだね水族園」

「うん♪」




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<下北 佐和Side>


"今日のデート楽しかったなぁ~"


デートの帰り道。

日吉君の家は川北方面ということで、名残惜しかったけど今日のデートは川野辺駅前で解散。

日吉君がバスに乗るのを見送って、私も自宅に向けて歩いてるところだ。


初めてのデート・・・何だか緊張した。

中学の時も告白されることは多かった。

デートに誘われたこともあったけど、部活が忙しいって断ってた。

だから、デートってどうすればいいのかあんまりわかってなかったんだけど・・・今日のデート大丈夫だったかな。

昨日も緊張して正直あんまり眠れなかったし眠そうな顔してなかったかな私。


萌にはああいったけど、やっぱり日吉君ってカッコいいし優しいし・・・

萌が好きになるのもわかる気がする。

今日は告白とかはしてくれなかったけど、そのうち告白とかされちゃうのかな・・・そうしたら・・・どうしよう私。

などと考えているとラインが着信した。


[ピン]

"ん?誰かな?"

[今日はありがとう。楽しかったです。下北さんも楽しんでもらえた?]

"って日吉君?"

さっき別れたばかりだから、まだバスの中かな。

私もあわてて返信を送った。

[もちろん楽しかったよ♪私こそありがとうね]

直ぐに既読が付いて返信が来た。

[良かった。また今度遊びに行こうね]


また今度遊びに行こうねか。

つい顔がほころんでしまう。

嬉しい気持ちがある反面、この間の萌の悲しそうな顔も思い出されてしまう。


私、また日吉君とデートしちゃっていいのかな・・・萌

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