好きだったんだけど・・・何か？

第4話 私は・・・

その後、私は佐和とバイト上がり（というかサボり？）の春姫に慰められつつ昨日の出来事を話した。

「う～ん。日吉君って結構カッコいいし、好意を持ってもらえるのは普通に嬉しいけどさ・・・」

「っ！じゃ じゃぁ雄二と付き合ってくれる？」

「えっと・・・萌は日吉君の事が好きなんでしょ？」

「私の事は気にしなくていいから！」

「そう言われても・・・ねぇ」

佐和が困ってる・・・まぁそうだよね。

私が好きな人と付き合ってって言われて、わかりましたとは言いずらいよね。

でも、雄二が好きなのは私じゃなくて佐和なんだし・・・

「多分・・・日吉君は幼馴染ってことで萌に甘えてるんだよ」

「え？」

それまで黙って話を聞いていた春姫が私に話しかけてきた。

あ、いつの間にか一人だけケーキ食べてる。

「え？あ、ケーキ？2人の分も後で貰ってくるよ」

あ、ケーキ見てたのは事実だけどそうじゃなくて・・・甘えてる？

「そ その・・・甘えてるって？」

「あ、そっちね・・・あのさ、私も幼馴染と付き合ってるんだけど・・・佐和は知ってるよね」

「うん。鶴間君でしょ」

春姫に彼氏が居るのは知ってたけどあんまり聞いたことなかったな。

鶴間って人は私知らないけど他校の人なのかな？

「大和とは小さい頃からずっと一緒だったんだけど・・・いつの間にか一緒に居るのが当たり前に思っちゃって。私ね凄く我儘に大和を振り回してたの。

　でね。高校入る前に絶交されちゃったの・・・"もう僕に関わるな！"って」

「え？絶交？」

「うん。今にして思えば絶交されても仕方ないくらい酷い事してたと思う。

　大和の気持ちも考えずに私の都合で命令したりして振り回してたんだからね。

　それに私も周りからチヤホヤされていい気になってたのよね。佐和にも随分嫌な想いや迷惑かけたし・・・」

「そうそう。あの頃の春姫って女王様って感じだったもんね～」

「う～　否定はしないけどあの頃は私にとって黒歴史なんだから忘れてよ・・・」

確かに入学当初の春姫って、いつも上から目線で何だか嫌な感じだったかも。

いつも一人で孤立した感じだったし。

でも、確か夏前くらいに急に雰囲気が変わったんだよね。

同じグループで話する様になったのもその頃だし。

「で、話を戻すけど私ね。大和に突き放されて思ったのよ。

　大和が居ないと・・・私は何にもできない駄目な女だったんだって。

　甘えてたんだね私。大和は私の言うことなら何でも聞いてくれるって。

　実際、成績も落ちたし得意だったスポーツでも成績が残せなくなったの。

　それにね、大和の事を好きだって子も出てきたの。

　凄くショックだった。大和は私だけのものだと思ってたから」

「・・・・それで、どうしたの？」

「謝ったよ。恋人になれなくてもいいから・・・せめて一緒に居させて、幼馴染の関係に戻ってって今までの行動を謝ったの」

「・・・恋人になれなくても？」

「うん。私は大和に酷いことしてきたし自分にはそんな資格は無いんだって思ったから。大和の新しい恋を応援しようって思った。

　でも・・・大和は最終的に私を選んでくれた。私の事が好きだって・・・」

「そうなんだ・・・」

「日吉君と萌は私達程拗れてないと思うけど、日吉君は萌が隣に居るのが当たり前でその大切さに気が付いてないと思うのよ」

「で でも雄二は佐和の事が好きだって・・・それに佐和は私よりずっと可愛いし」

「う～ん。佐和が可愛いのは私も認めるけど、萌だって結構男子に人気あるんだよ？」

「え？私が？告白とかされたことないよ私」

そんなの初めて聞いたよ？

それに告白とかもされたこと無いんだけど。

「そりゃ日吉君がいつも隣に居るからみんな遠慮してるんだよ。

　それに私と違って萌は背もそこまで高くないしね」

と佐和。背はあんまり関係ないと思いうけど・・・そうなの？

「とにかく。萌に彼氏を作れとは言わないけどさ、少し日吉君と距離を置けば日吉君も萌の大切さがわかると思うのよ」

「・・・距離を置く」

「そ。絶対日吉君も後悔するって」

「そ そうかな・・・」

結局、その後佐和には雄二とデートをしてもらう様お願いした。

大分渋っていたけど"私の事は気にしないで"ってことで。

だって、雄二には仲を取り持つって約束しちゃったし・・・

でも・・・もしそのデートで雄二が佐和に告白して付き合う様になったら・・・私は雄二や佐和を祝福できるのかな。

それに・・・春姫が言ってた雄二と距離を置くってのも・・・私に出来るのかな。

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<下北 佐和Side>

日吉君が私の事を・・・

正直萌にはああ言ったけど。

ちょっとカッコイイなとは思ってたんだよね。

席も近くて最近は良く話するし・・・

あ～ダメダメ！！

萌は大切な友達なんだ。

その萌が好きな子と付き合うとかありえないよ。

それに日吉君だって本当は萌の事がきっと好きなはずだし。

はぁ～それにしても萌も無茶振りするわよね。

日吉君とデートして欲しいって・・・私どうすればいいのよ。

自慢じゃないけどデートとかしたこと無いよ私。