第20話 カエルは踊る

「くそっ!」

ニナナは吐き捨てる。

勇者イノウエのライトニングフレアが洞窟に張った氷を消しとばす。

大正解。突破法は何でもいい。ブラックホールで水を吸い出しても、無敵魔法で潜水しても。地下に続く唯一の洞窟。そこが、

ボス部屋の入り口だ。


落下。カンダンサはフローズンウィンドを、イノウエはライトニングフレアを使い続け、水の張った洞窟に風穴を開けた。そして洞窟は一本道。上がり下がりを繰り返すと間も無く視界が開けた。

「グォーオッオッオッオッオ!!よくぞ現れたゲロ!!勇者ども!!」

汚らしい声で広けた洞窟を震わせるのは王冠を被った巨大なカエル。2倍ほど大きい点と体中が泥水で塗れている点を除けば入り口のカエルの像とそっくりだ。

「余輩は泥の魔王!ログサルオス2世!!いざ尋常に、勝負!!」


その声を引き金に、勇者が攻撃を開始した。

「魔法!フローズンウィンド!!」

カンダンサの両手から放たれる冷気が魔王の全身を冷凍、しなかった。

「グォーオッオッオ!!泥は氷なんぞには負けぬぞよ!!」

2人は互いを見合う。泥属性。新種の属性だ。その隙に。

「来れ!余が眷属ども!」

ログサルオスの全身の泥から7匹のカエルが出現。洞窟を縦横無尽に踊り回る。

「魔法!フレイムリング!!」

イノウエの追尾攻撃が1匹のカエルを追いかけ、直撃。しかしカエルは意に関せず。

泥属性の相性が分からない!

「オッオッオ!踊れ踊れい!」

ログサルオスも踊り始め、洞窟は狂気に満ちる。踊りながらの突進攻撃。イノウエは避け、カンダンサは反撃する。

「魔法!ポイズンウィンド!!魔法!サイレントキル!!魔法!ウォーターハザード!!」

イノウエが魔法を乱射する隣でカンダンサはカエルに物理攻撃を続ける。これでは埒があかない。その時。

1匹のカエルの突撃が死角からイノウエに直撃。バランスを崩したその隙に。

「余が魔法を喰らえ!ライトニングドロップレット!!」

雷が天井から降り注ぎイノウエに直撃。

「グォーオッオッオッオッオ!!」

イノウエがダウン。

「魔法!テオキュア!!」

カンダンサの復活魔法。しかし一定時間のスタン効果が残る。内心の舌打ち。

「魔法!ライトニング!!」

一か八か。光魔法最低レベルの攻撃。威力は低い。しかし。

「ガッグオーッッ!」

ログサルオスに直撃した光魔法は泥属性に高ダメージ。今だ。

「魔法!アイスエイジ!!」

強制冷凍。氷が巨大なカエルの全身を包む。

「うぉ!うぉのれぇえ!!」

イノウエが復帰。カエルの子分の攻撃がカンダンサをダウンさせる代わりに、イノウエはすかさず走り出し、カエルの顔面目掛けて跳躍。

「魔法!ライトニングフ・・」

「なんてな。」

氷が巨大な音を立てて割れ、ログサルオスの両手がイノウエを包み込み、

バヂーーーン・・・

イノウエは叩き潰し攻撃に倒れた。

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