第5話 想喰姫

(1)想喰姫

 想太くん。

 こんな私に優しくしてくれてありがとう。

 幸せな夢を見せてくれてありがとう。

 私は貴方に甘えていました。

 貴方が私と一緒にいてくれるのを良いことに、ずっと貴方に甘えていたのです。

 貴方といられることが嬉しかった。貴方の傍を離れたくなかった。

 いつかさよならを言わなければならないと分かっていながら、

 ずっと貴方を見ていたかった。

 でも、それも終わりです。

 私は鬼です。元いた場所に帰らなければなりません。

 優しい貴方を傷つけてしまうことは、ひとりでいるよりもずっとつらいから。

 さようなら、想太くん。

 もう二度と会うことはないでしょう。

 ほんの少しの間でも、貴方と一緒にいられてよかった。

 どうか幸せに。

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