第20話 閑話③大賢者とギルド支店長と院長先生(後編)
ミドリは続けて話を始める。
「勇者セインは邪神の企みにまんまと乗せられたのよ。それは魔界門を封印した聖女マリアンヌの復活。セインとマリアンヌは恋人同士だったのよ。」
「それはワシも知っていたが?」
「マリアンヌは魔界門を封印した後、私達4人に魔界門を壊されて砕け散った。体は砕けたけど、魂は別の世界に転移したのよ。それが...「地球」。しかもカズマである神崎一馬とその妻神崎雫の子供として生まれ変わったのよ。」
「それを知ったセインはマリアンヌ復活をされる為に「エデン」を結成して、私達を魔物に変えて「地球」での10年前に「地球」に魔界門を出して襲撃したのよ。」
オリビアは淡々と更に話始める。
「その時、子供を宿した雫の元にセインが現れて雫を殺してお腹の中にいる子供を奪ったのよ。同時に私達の軍勢はある部隊と戦っていた、それが一馬のいた部隊で私達はそこで瀕死の状態に陥ったのよ。その時に私達はセインの封印から解放されて魔界門から此処アストロンに帰還できたわけ。」
「貴方達の行動は「エデン」の計画を阻止しようとした行動なのね。」
ローズマリーはオリビアにそう答えた。
「そうよ。ただ、一つだけ予期せぬ事が起こったのよ。」
「それはどういう事ですの?」
「それはアストロンの神が神崎雫をアストロンに転生させた、つまりシズクさんが神崎雫の生まれ変わりなのよ。」
「「!」」
驚く二人。
「そこでお願いがあります。」
「「なんじゃあ?(お願いって?)」」
「セインは奪った子供の肉体が欲しい為にシズクさんに目を付けた。私はオリビア院長先生として彼女を警護する事に協力して欲しいのよ。バランがシズクを特訓させている事は分かっているけど、シズクさん一人だけではたぶんセインに連れて行けれると思うのよ。そこでローズマリーさんにはシズクさんの保護をバランには帝都に向って調査して欲しい。」
「そういう事ね。分かったわ。」
ローズマリーは即答した。
「ワシは帝都に調査だと?」
「今帝都には王子継承争いが始まっている。そこにセインが絡んでいるのは明白、どの王子に関係しているのかを帝都にいる「殺戮の騎士」と協力して欲しいのよ。」
「分かった。」
「カズマにはバラクーダ...和也がある場所に行くように仕向けたわ。その国は「エデン」の計画が一番早いとされている。そこにカズマをぶつける。多分その相手はカズマの元同僚だからキツイ戦いとなるかもね....。」
オリビアはそう言って淡々と話して行くのだった。
バランはオリビアに驚くべき内容を口にする。
「お主、カズヤとお前の息子に「エデン」を倒すように仕向けたのか?」
「!」
驚くローズマリー。沈黙するオリビア。
「どういう事ですか? 「破滅龍」と「深淵の魔女」との子供がカズマって?」
「なあに、やっと思い出したわ。ローズよミドリの後ろの名は何と言ったかわかるか?」
「ミドリ=カンザキ....。まさか。」
オリビアは思い口を出したのだった。
「私...ミドリ=カンザキは「地球」では神崎緑、カズヤ=カンザキは私の夫で神崎和也つまりカズマ事、神崎一馬は私達の子供なのよ。」
「え?」
「一馬が10歳の時、飛行機事故にあって私達夫婦はアストロンの神によって此処アストロンに転移された。魔王を倒す為にね。そのカズマはどうなったかは分からなかった。「地球」で封印解除した時に、私の息子だとわかった。だってあの子和哉にそっくりだもん。」
「なんで親子を名のなかったのよ!」
攻めるローズマリー。
「だって魔物になった私達が会えないじゃないの!」
オリビアは涙を流して言った。
バランはオリビアに尋ねた。
「シズクがカズマの妻とわかったのか?」
「それは、セインが言ったのよ。『アストロンの神め、余計な事をしてくれたな。まあいいわ。これでマリアンヌの体を見つけた! 面白いぞ! 自分の子供の体を捧げる事になろうとは!』と言っていたからだよ。」
「理由はシズクさんを「エデン」から守る事、恐らく今は手出しは出来ないはず。カズマが邪魔だと思ったから、多分カズマを殺そうと躍起になっているはず。」
「つまりカズマを囮にしてシズクさんから目を離そうとしている事ね。」
「ええ。そのとおりよ。」
「その方が良いかも知れん。カズマに取ってもシズクに取っても。」
とバランはそう言い放った。
するとオリビアは、最後にこう答えた。
「「エデン」の計画を潰すカギはカズマとシズクであるのよ。その二人だけでは先ず負けるだから私達4大魔物とこの世界で信頼出来る人間達と協力が必要なのよ。」
そして三人は意見を言いあった結果、
①ローズマリーとオリビアがシズクを守る。
②バランが帝都に向い今の帝都の情勢を調べる。
③カズマを「エデン」にぶつける。その時4大魔物はカズマを支援する。
④勇者セインを倒す。
以上の事で結論に達したのだ。
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