第19話 閑話②大賢者とギルド支店長と院長先生(前編)

シズクの特訓が後一週間で終わる頃、カズマが破滅龍バハムートと戦いをしている最中、バランとローズマリーは、バランの小屋でお茶を飲んでいたのだった。


「今カズマ君は破滅龍との戦いをしているのね。バラン様。」


「そうだろうな。あ奴は表向きはクールな顔をして分からないが、中身は純粋に相手を思う気持ちでいっぱいだったと思うぞ?」


「まあ。そこが不器用ではあるけどね。」


「ローズよ。シズクさんを特訓させて良いのか?」


「もう、しているのじゃないの? そうしないとシズクさんの思いを踏みにじると思うのよねえ。」


「そうなのかもしれんのう。」

2人はカズマとシズクの関係をどうすると思っていた時に、一つの影が2人の後ろに表れて、


「お久しぶりね。二人とも。特にバランは50年ぶりかしら?」


「オリビア院長先生じゃありませんか?」


「これはギルド支店長のローズさんではございませんか。」


オリビアはそういうとローズは


「貴方....一体誰? 」


「オリビアですよ。孤児院の院長先生の。」


「久々だのう「魔法使い」のババアめ。」


「さすが、バランね。私の事がわかっているわね。」


「それで「魔法使い」いや「深淵の魔女」がシズクに何用かの?」


「え?」

青ざめるローズマリー。


「バラン様。どういう事ですか? このオリビア院長先生が「深淵の魔女」?」


「オリビア自体はもういない、だろ?」


「そうよ。オリビアは2年前に死んでいるわ。だって私が殺したのよ。」


「それで「深淵の魔女」が私達に何か用なのか?」


「協力して欲しいのよ。「元勇者パーティ」大賢者バランとして。」


「バラン様、私達ではあの方にはキツイと思います。カズマ君が来るまで耐えるしかないのですね。」


「ローズよ。それは違う。お主、記憶が戻ったのか? ミドリよ。」


「ええ。私とカズヤも記憶が戻ったわ。5年前に「地球」でカズマと戦ってね。」


「そうなると、カズマの戦っている相手は破滅龍ではないな。」


「ええ。例の「エデン」の使徒よ。」


「残りの2人は? 「破滅王」と「殺戮の騎士」は元に戻っているのか?」


「あの2人も元に戻っているよ。まあ。お話を聞いて欲しいのだけど?」


「分かったわい。ローズよ。こやつは私達に危害を与えないから大丈夫だ。それよりミドリよ。ローズも一緒にいても構わんか?」


「むしろ、ローズマリー支店長にはいて貰わないと行けないのよ。あの子を....シズクさんを守らないと行けないから。」


オリビアことミドリは2人の前の椅子に座って、話を始めるのだった。


「ミドリよ。先ずはお主達がもうやって元に戻ったのか、教えて欲しいのとローズにお主らの本当の名前を教えていいか?」


「いいわよ。ローズさんと言わせていただくね。」


「いいですよ。ミドリさんと言ってもいいのかしら?」


「そうね。ミドリよりオリビアと言ってくれない? 今後の事もあるから。」


「わかりました。オリビア院長先生。」


バランはオリビアことミドリの事を話始める。


「先ずローズよ。四大魔物は知っているよな。」


「はい。「破滅龍」バラクーダ。「深淵の魔女」ミストラン。「殺戮の騎士」ドライセン。「破滅王」オーディーンですよね。」


「そうだ。その四大魔物は「勇者パーティ」である「黄金の剣」のメンバーでつまり元人間だ。」


「え?」

ローズマリーは驚いて口からお茶を噴出した。


「先ずは其処のミストランが「大魔法使いミドリ」でバラクーダが「剣士カズヤ」でドライセンが「帝国騎士団長」カイン=バトラーでオーディーンが「獣国騎士団長」シリウス=ゴールドレオだ。」


「それってどういう事ですか?元勇者パーティ4人が4大魔物なんて?」


「そうね。此処からは私から話すわ。少し長くなるから聞いてね。それとバランにもわからない事があるから。」

とオリビアは話を始める。


それは50年前勇者パーティが魔王と倒した直後から始まる。

勇者パーティ「黄金の剣」は7人パーティであった。

勇者で王国の第一王子 セイン=ベルモント

聖女で帝国の第三王女 マリアンヌ=レイモンド

帝国騎士団長 カイン=バトラー

獣国騎士団長こと獣国第二王子 シリウス=ゴールドレオ

帝国宮廷魔法士団長 バラン=ローレーン

異世界から来た剣士 カズヤ=ケンザキ

異世界から来た魔法使い カズヤの妻 ミドリ=ケンザキ

以上7人。

その中でたった一人バランだけが生き残った。


「私達は魔界門の中にある魔王の城「エデン」に攻め込んで魔王を倒したのよ。セインが魔王と相打ちとなって倒れながらね。私達もバラン以外は瀕死状態だったの。そこでバランを除く全員がバランだけ魔界門の外に出して魔界門を破壊する為に残ったのよ。」


「魔界門の中で、セインは魔王を自らの体を触媒として魔王を封じ込めて、マリアンヌは魔界門を封印する為に自らの体を触媒として封印した後、私他4人が封印した魔界門を破壊したのよ。そこから私達の地獄が始まったのよ。」


「私達は虫の息になっていた時、黒く光る人物が私達を魔物に変えて行ったのよ。その人物が....邪神「ベリアル」...。」


「ベリアルって神話で出てた邪神ですね。」


「神話ではなく本当にいたのよ。私達は魔物に変えられ記憶も封印されていった。ただ、1人だけ記憶を封印されずにいた人がいたのよ。」


「それは誰ですか?」


「...それは、勇者セインよ...。」


「勇者セインは魔王と合体してしまったのよ。そこから始まったのよ。」


「始まったってどういう事ですか?」


「この世界『アストロン』を壊滅する為にね...。」

ミドリは黙々と話をするのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る