第16話 レックス山脈

次の日、カズマは冒険者ギルドの支店長室にいた。

其処には支店長のローズマリーが紅茶を飲んでいたのだった。


「それでロシーナの魔族は全滅したのだな?」


「今の所はそうなるよ。それで教えて欲しいのだが?」


「言ってみて。」


「破滅龍のバハムートの居場所だが、ここらで大きな山ってあるのか?」


「あるわよ。確か北に馬で2日ぐらいでレックス山脈があるわよ。あそこって結構魔物が出る地域だから、今はワイバーンが多いかも。」


「なるほどね。そこで間違いないだろう。それよりシズクさんの様子はどう?」


「あの子マジですごいわ。全属性使えるし今なら災害級の魔法も使えるみたい。」


「そうか。それなら此処は問題ないか。」


「カズマ君。もしかしてこの件が終わったら出ていくつもり?」


「ああ。出ていくよ。一人でね。」


「約束したでしょう? 此処にいるって。」


「いいや。実は俺の一番のやるべき事が出来たからな。」


「理由を教えてよ。」


「俺は元いた地球で「悪魔」を倒してきたんだ。ここで言う「魔族」と言う物に。しかも、俺が知っている奴がこの世界にいるって事に。だからここを出て他の国に行こうと思っている。場所はまだ決めていない。」


「カズマ君には教えないと行けないね。この世界は4つの災害級の魔物がいたのよ。「破滅龍」と「深淵の魔女」と「殺戮の騎士」と「壊滅王」ね。」


ローズマリーから4つの魔物について話を始めた。


「50年前、4つの災害級魔物がこの世界を襲撃されて半分以上の人が死んでいったのよ。そこに「勇者」と呼ばれる異世界人がこの世界に召喚されてその4大魔物と戦い、最後に魔界門を封印したのよ。」


「その「勇者」は、その後どうなったのだ?」


「魔界門を封印するのに人柱になったのよ。」


つまり、50年前、この世界に魔界門が発現してその魔界門から4大魔族が世界を襲撃して帝国が勇者を異世界から召喚して、各国から優秀な人物を一人ずつ出して勇者パーティを結成した。勇者と聖女。帝国の最強戦士と最強獣人と大賢者と精霊魔法が使えるエルフ王全部で6人。

そのパーティが4大魔族を撃退して勇者が魔界門を封印したのだった。

だか、その戦いで勇者パーティも大打撃をしていた。

勇者は魔界門の人柱となり、

聖女は行方不明、

帝国戦士は4大魔物を倒す途中で死亡、

生き残ったのが

最強獣人とエルフ王と大賢者バランのみであったのだ。

その後、50年の間にエルフ王が治める国と最強獣人が治める国が一緒になってドライセン連邦となり、大賢者バランはローレシア王国の最高魔導士となったのだった。しかし、約5年前突如魔物が各地に大量発生して各国は魔族が復活していると考え各国の優秀な人物を集めて発生場所に派遣すると、


「そこに魔界門があったのよ。地下にね。」


「そのパーティはどうなった?」


「一人残して全員死んだわ。その一人が私よ。」


「その魔界門は何処にあるのか?」


「この世界の中心にある島で名はバイエルンって言うの...。これは私が帝国の帝王様に言っても信じてくれなかったのよ。魔界門から出てくる魔族を指揮していたのがね。」


「それは誰だ?」


「それは.....。行方不明だった......聖女だよ....。」


「なんだと!」


衝撃が走った。

理由は分からないが聖女が魔界門の封印を解いてここを攻めて来ている事に。

ローズマリーは更に驚くことを言い放つ。


「これは私の想像だけど..。たぶんバランさんも分かっているかと思う。」


「支店長の想像を教えてくれないか?」


「私の想像はシズクさんがこの世界の鍵を握っているかと思うのよ。あの子の魔力量って半端じゃあないもん。しかも孤児院に拾われた前の記憶がないみたいなの。それはシズクさん本人から聞いたのよ。」


「だから、シズクさんはカズマ君に預かってもらおうと考えたのよ。」


「それは無理だ。」


「なんで?」


「多分だけど、俺が此処に来た理由に関係しているかと思う。その理由が分からないからシズクさんと一緒に行くのは危険だと判断したんだ。それはバランさんに伝えてある。シズクさんの特訓が終わったらバランさんは此処に留まってシズクさんを守る話にしている。」


「つまり、ロシーナで?」


「ああ。理由は此処の魔族を倒したのが俺だとわかれば絶対に俺に襲ってくる確率が高い。しかも俺が此処をでたら、この街を襲う必要がないからな。」


「それでシズクさんを守るために出ていくのね。」


「そういう事になるな。」


ローズマリーは黙っていた。

カズマは続けて話をしていく。その話はローズマリーには衝撃を走った。


「今戦う相手は多分「破滅龍」ではないが、既に支店長が言っていた4大魔族は既にここに来ていると思う。」


「それってどういう事?」


「俺達の世界にその4大魔族の「破滅龍」がいたんだ....。」


「.......。」


「だから、そのために「破滅龍」バハムートに聞こうと思っている。」


「わかったわ。それと一つ気になる事があるの。」


「気になる事って?」


「カズマ君が教会の魔族とあの子悪党の司教を殺した後、孤児院の院長先生が行方不明になっているの。」


「それなら問題ないぞ?」


「どうして分かるの?」


「それは、俺達の味方だからさ。理由は聞かないでくれないか?」


「わかったわよ。」


「そこで支店長には、シズクさんの保護を頼む。多分バランさんと一緒に行動するのでそれの支援を頼みたい。」


「わかったわ。」


「それじゃあ。行ってくる。多分此処には戻ってこない。」


「此処でお別れね。」


「ああ。今まで支援ありがとうな。」


「いいのよ。」


とカズマはローズマリーと別れてギルドを後にしたのだった。


カズマはロシーナを出て北1キロを進むと、足の魔道具を使用して北にあるレックス山脈に向って飛んでいくのだった。

約1時間後、山脈の頂上に着き周りを見渡していくと大きな洞窟の入り口があった。


「多分、あそこだな?」


カズマは洞窟に入って行く。洞窟は地下に続いていたのだった。

奥まで進んで行くと東京ドーム10個が入る大きさの場所に着いた。

其処にはワイバーンが100体以上群がっていてその奥に大きな龍が座っているのだった。隣には一人の男が立っていたのだった。その人物はグラゼルだとカズマは思ったのだった。

すると、龍がカズマに声を出して


「我は「破滅龍のバハムート」であるぞ。お前は誰だ?」


「俺はカズマと言う冒険者だ。お前に聞きたい事がある。」


「言ってみろ。お前の最後の頼みと思って聞いてやる。」


「お前、「破滅龍」ではないな? 俺のいた世界で富士山にいた銀龍だろ? 俺にやられて此処に来たんじゃないのか? 逃げて。」


「お前....。この世界の人間ではないのか?」


「ああ。魔界門から此処に来た「地球」の兵士だ。まあ、あの時は全身装備して顔も分からないみたいだからな。俺はお前を知っているぞ? お前の両翼を切り落としたのは俺だからな。」


「!」

驚くハバムート。


「しかも、お前は「破滅龍」の配下だろう? 俺は本当の「破滅龍」を知っているのだからな。あいつの片目を亡くしたのは俺がだからな。お前にはそれがない。」


「何を言っているのだ? 我が本当の破滅龍バハムートだ!」


「それじゃあ。戦ってやるか。いくぞ偽物!」

カズマはバハムートに向って行くと、バハムートは


「その前にこのワイバーン120体を倒したら戦ってやるわ。あはははは。」


「分かった。」

カズマは魔法銃を取り出して両手に装備してワイバーンの中に突入して行くのだった。





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