第12話 大賢者バラン

次の日の昼頃、カズマとシズクとローズマリーは支店長室にいた。

カズマが言っていたある方の所に行くのだ。


「二人共準備いいか?」


「良いですよ。」


「こっちも準備良いわよ。それはなあに?」

ローズマリーはカズマが持っている水晶を見て尋ねた。


「これは転移の魔道具だけど一回しか使えないのだよ。それじゃあ行くぞ。」

カズマは水晶に念じると全員が光ってそして消えていった。

カズマ達は、ある場所に着いたのだった。

其処は森の中であって先に進むと湖の近くに一軒の小屋があった。


「あそこの小屋にある方がいる。」


カズマ達は小屋に着くと、扉から一人の老人が出てきた。


「カズマかあ。どうした?」


「お久しぶりです。バランさん。」


「ロシーナはどうじゃあ? ....そこの隣の女性達は?」


「隣の女性はシズクとロシーナのギルド支店長の...」


「お主...ロリババアのローズか?」


「誰がロリババアだよ...ってあんた! バランじゃないか?」


「お主がギルド支店長だったとはのう...。カズマ。このローズは見かけは少女みたいだが中身は300歳のロリエルフだからな?」


「中身は15歳だよ。このモウロク爺め。」


「二人ともお知合いですの?」

シズクは二人に尋ねた。


「まあ。このローズは俺の弟子だ。」


「この爺さんは70ぐらいに見えるが実際には400歳のハーフエルフだよ。」


カズマとシズクはビックリした。

ローズマリーの師匠がバランさんって?

と思いながらカズマ達は中に入っていったのだった。


「カズマよ。此処に来た理由は?」


「実はシズクさんに魔法を教えて欲しいのですよ。」


「なるほど。魔力量が膨大だが使える魔法は全く無いって感じかのう。」


「私。カズマさんの役に立ちたいのです。お願いします。」


「私からも頼むよ。師匠。」


「それで期間は?」


「出来るだけ早くで。」


「そうじゃな。あれを使うか? 以前にそこのロリババアに使った物がある。それを使えれば2か月あれば行けるはずじゃあ。」


「あれを使うのか? マジで?」


「おおマジじゃあ。」


「それはどういう物ですか?」


「それはこの水晶だよ。」

バランは一個の水晶を取り出した。


「この水晶は隔離魔法具だが、この水晶に入ると外の1日が水晶の中では1か月経過する魔道具なのだ。中には小屋もあり食糧庫もある。まあ一面平原になっていて魔法の練習するにはピッタリだと思うが?」


「それでシズクさんをそこに入って魔法の特訓をする訳ですね?」


「そういうことじゃあ。中には教員人形もいるのでその人形に教えて貰う様にしようかのう? どうじゃ、シズクさんとやら。」


「その水晶の中に私一人で入るのですか?」


「そうなるのう。教師人形とメイド人形もいるから大丈夫のはずじゃあ。」


「私、一度入った事があってね....。大変だった....。」

ローズマリーはしみじみと言うのだった。


「なら。お願いします。バラン様。」


「それでは明日から始めるとするのかのう?」


「俺はその間、調べたい事があるので明日ロシーナに戻るよ。支店長は?」


「私は此処に残るよ。一応副支店長に業務を引き継ぎしたから問題ないわい。あとその水晶の中には私も入るよ。」


「この水晶は2か月後に解除されるようにしておくよ。」


「ありがとうございます。バランさん。」


「しかし。カズマ君。あの「閃光の賢者」バラン..いやモウロク爺と知り合いだったとは知らなかったわよ。」


「モウロクで悪いなロリっ子め。」


「シズクさんとローズマリーさんは水晶の中で魔法の特訓で。俺はロシーナに戻って領主と教会の内容を調べるとするよ。そういや聞き忘れていたけど、シズクさん。」


「はい。何でしょうか?」


「院長先生のお名前は?」


「院長先生のお名前は...確か...オリビア=マーガレットと言います。」


「ほほう。オリビアちゃんが院長先生ね。」


「知っているのか? 支店長。」


「支店長って言うのは止めてね。ローズで良いわよ。オリビアちゃんは元帝国の筆頭宮廷魔法士だよ。」


「そうだったんだ。」

シズクは少し驚いた。


「オリビアちゃん。よっぽどシズクちゃんに魔法を教えたくないみたいだね。」


「そうなのですか?」


「まあ。そこは本人に聞かないとね。」


「今日は此処で泊まりなさい。」


カズマ達はバランの家に泊まったのだった。



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