第9話  地下迷宮

次の日、カズマ達は朝食を食べた後、ロシーナの通用門に向っていた。

通用門に着くとギルド支店長のローズマリーと護衛の冒険者4名が立っていたのだった。

「カズマ君達。迷宮に行く前に紹介するわね。私の他に迷宮の外の護衛をしてもらうDランク冒険者パーティの「暁の風」です。」

とローズマリーは「暁の風」を紹介した。

ガッチリした筋肉を持っている戦士で名はロベルト。

白いローブを纏った10代半ばの女性神官で名はミランダ。

黒いローブを纏った仮面の魔術師で名はジルーバ。

最後に大きい盾を持った20代半ばの男ガーディアンでしかもリーダーであるフランコ。

「僕が「暁の風」のリーダーでフランコと言うんだ。よろしく。」


「ロベルトだ。」


「ミランダよ。」


「....ジルーバ。」


「俺はカズマと言う。隣は相方のシズクと言う。」


「シズクです。よろしくお願い致します。」


「さて。全員紹介したので行こうか?」

ローズマリーの一声で全員は馬車に乗り込んだ。

迷宮までは馬車に乗って約1時間程で着くようだ。しかもこの馬車は防御結界装備なので多少の魔物なら撃退出来る品物であった。

1時間程経って地下迷宮の入り口に到着した。

入り口には封印が施されており、ローズマリーは封印を解除したのだった。


「ここの封印の解除は私しか出来ないから、だから一緒に来たのよ。」


「そうだったのか? なら行ってくるよ。」


「じゃあ。頼みますねカズマ君。」


「気を付けて下さいね。カズマさん。」


カズマは一人で迷宮に潜って行ったのだった。

このロシーナ地下迷宮は21階層になっていて1~15階まではゴブリン他Dランクの魔物中心で16階~20階まではオーク他Cランクの魔物中心で構成している。21階層には迷宮ボスがいてボスの名前はオーガキングと言うBランクの魔物であるとローズマリーから聞いたのだった。

迷宮と言うより階ごとは大きなフロアになっていてフロアの魔物を倒すと下に降りて行く階段が出現すると言う仕組みになっている。

封印前はギルドに潜る申請をしてから入る様にしていて1日3組しか入らない様にしていた。

封印前までは15階層まであったのだが、ある冒険者パーティが16階に降りる階段が出来たので降りたまま戻らない事が起きた為、シズクが在籍したパーティが調査したのだがシズク以外は全滅した為、封印を施したのだった。

カズマは1階から出てくるゴブリン達をミスリル製のサバイバルナイフで首元に切り込んで倒して行ったのだった。

カズマの魔法銃での攻撃は大賢者バランから強敵のみに使用したらいいかと助言を言われて基本腰のサバイナイフでの戦いをしていたのだった。

10階ぐらいになるとホブゴブリンも混ざり15階になったらゴブリンキング1匹とホブゴブリン20匹とゴブリン50匹が出て来た。


「結構出てくるなあ。」

カズマはそう思って次々とゴブリン達を倒して15階の魔物を全滅したのだった。

迷宮の魔物達は地上の魔物と違って倒されると魔石を残して消えて行くのだった。

迷宮の魔石は地上の魔物の魔石との大きさが2倍になっていて買い取り価格も2倍になるのである。この世界には色々な迷宮があり、迷宮にもランクがある。ロシーナの地下迷宮はランクDの為、一般冒険者用の迷宮であったのだ。


カズマは16階から20階まではオークとオーガが出てきてそれをカズマは首元に切り込んで倒して行く。ついに20階層に着いたのだった。

20階層にはオークが10体とオーガ5体がいたのだった。


カズマはいつもの通りに切り込もうとするとオークは魔法を放って来た。

すばやく避けるとオーガが大剣で襲い掛かる。

カズマは後ろに下がり、オークとオーガの動きが違うと感じてカズマは初めて<鑑定>をするのだった。


「これは...。見た目はオーガとオークだが俺の<鑑定>だとオークキングとオーガジェネラルかこれはBランク級で合計15体だとAランク相当になるはず。」


カズマはシズク以外のBランク冒険者が全滅した理由が分かった。

これは誰かがここに入らない様にしているみたいだと...。


カズマは魔法銃を取り出そうと思ったがここは予備のナイフを取り出して二刀流で魔物達に飛び込む。

先ずはオークキングの魔法攻撃を避けながら素早く首元に切り込みオークキングを倒し、次にオーガジェネラルから大剣攻撃をナイフ2本で受け止めて撥ね付けるとその反動でオーガジェネラルの首を切り込んで倒した。

その攻撃を複数回したら魔物数はオークキング2体とオーガジェネラルが1体だけになっていたのだった。

残りの魔物も魔法攻撃を避けながら切り込み、大剣をナイフで抑えて直ぐに切り込んで行って最後のオーガジェネラルを倒した。


「ふう。結構時間がかかったな。魔法銃だと2分で終わる所が30分だもんなあ。まあ訓練になるから良いか。」

カズマの首には少しだけの汗が出ただけであったのだ。


「次が21階層だな。行くとするか。」


カズマは21階層に着いた。

そこには大きな広間になっていて今までの階層とは違っていたのだった。


「この階は大きいな今までの3倍はあるなあ。奥に行ってみるか?」


奥に進もうとした時、嫌な気配を感じる....。これは元の世界にいたあいつらに似ている...あの悪魔達と同じ気配がする。


そう感じたカズマは声を出す。


「そこにいるのは分かっている。姿を出せよ..。悪魔..いや魔族さんよ。」


「ほほう。我の気配を感じるとは人間として中々と見えるな。」

と煙から一人の男が出てきた。


「お前は誰だ?」


「そうだな、貴様の最後になるかと思うが一応言っておくか。我はノルザック。我の主の命により貴様を亡き者とする為にやって来た。貴様は暗殺者だろう?」


「嫌違うぞ? 俺は元傭兵で今は冒険者だ。それより此処に何かあるのだな?」


「聞いてどうする? 貴様は此処で死ぬのだ! 行くぞ虫けら!」

ノルザックは大剣を持ってカズマに襲い掛かった。

カズマは大剣をかわしてノルザックの首元に切り込むが、跳ね返せられた。

カズマはおかしいと思いながら再度首元に切り込む。

だが再び跳ね返されらてしまった。ノルザックはその隙を見て大剣を振り下ろすとカズマはもう一本のナイフを取り出して2本のナイフで大剣を受け取っていた。


「く。なんで固い首なんだ? そもそもお前は人間なのか?」


「あははは、弱いぞ。貴様。」

吠えるノルザック。


カズマは考えた。

....多分こいつは魔族と言う物だと思う。あれを出すしかないのか?

と思った時、ノルザックはカズマの腹に大剣を切りつける。

すばやくカズマは避けたが鎧の腹の部分が大剣で切れてそこから血が流れていた。


「お前人間ではないな? 魔族って言う物か?」


「そうだ。俺はブルードラゴンのノルザックだ。」


「なら。ノルザックよ。本当の姿になりな。そうでないと死ぬぞ? まあどっちみち死ぬのはお前だからな。」

とほほ笑むカズマを見てノルザックは激怒する。


「ふざけるなよ! お前ならこの姿で十分だ。」


「それなら、俺は奥の手を使わせてもらうぞ? 後で後悔するなよ。」

とカズマは左右のポーチから魔法銃を取り出す。


「それはなんだ? いや待てよ.....確かあの世界で見た事があるような気がする...。」


「ほう。知っているのか?これを。お前は前に俺の世界に来たって事か?」


「貴様はこの世界の人間ではないのか?」


「違う。おい。お前の本当の姿はブルードラゴンって言ったよな?」


「そうだ。」


「なら余裕だわ。俺はそのブルードラゴンを300体程倒しているからな!」

カズマは魔法銃の先端を剣に変化して切り込む。

その剣はノルザックの大剣を粉砕して奴の腹にヒットした。

ノルザックの腹を切り裂き緑色の液体が飛び出る。


「なんだと! ぐは...。我に傷を付けるとは?」


「だから言っただろうが。本当の姿になってこないと死ぬって。」


「よかろう。我の本当の姿を見せてやる!」

ノルザックの体が光って段々大きくなっていく....。

ついにノルザックの姿は体長10メートルの大きさの青色のドラゴンに変化したのだった。


「これが我の本当の姿だ。どうだ驚いたか!」

吠えるノルザック。


「言い忘れたが、俺がいた世界での名前は「黒龍」と呼ばれている。」


それを聞いてノルザックは驚く。


「まさか....お前は....あの世界「地球」から来たのか! やっと思い出したぞ! 貴様我が同胞300体を一人で倒した黒い服の奴か!」


「やっぱり。お前はあの時に逃げたドラゴンの1匹か。」


「行くぞ。貴様を倒して同胞の恨みを晴らしてやる!」

ノルザックは口からブレスをカズマに向って吐いた。

カズマは銃モードに切り替えてブレスに魔弾を多数撃ち込む。

するとブレスは魔弾によって消えてしまった。

ノルザックは目の前にカズマがいないのに気が付いた時、カズマの2本の魔法銃の剣がノルザックの首に交差して切り込みされた。


「残念だがお前はもう終わりだ。」

とカズマが言った途端、ノルザックの首が吹き飛んでしまった。


「くそおおおお......。同胞よ。敵は取れなかった....。カズマと言うたな。貴様の女は我の仲間が誘拐したぞ。あはははは.......。」

ノルザックの最後の言葉であったのだった。


カズマは魔法銃を閉まって

「奴らは俺達の世界に来た「悪魔」だったか。と言う事はここにも「異界門」があるって事か。俺の女って....まさかシズクさんか? すぐに行かないと。」


カズマは迷宮の外に向って行くのだった。







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