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「でな、儂は言ってやったんじゃよ。『それでは世界で二番目じゃ』とな」
「それは痛快ですの。そこまでズバッと言われたら、相手は立つ瀬がないですの」
「エグジー、そのさくらんぼ食べないなら貰えない? 好物なの」
「ああ、どうぞ」
「ありがとう! レロレロレロレロ……」
あー、平和だなぁ。
三回目のロリ会談なんだけど……なんだこれ? 緊迫感の欠片もないんだけど?
いや、
話に混ざれない
今日はマイフレンドの
けど、肝心の惑星崩壊の回避についての話はまったく進展していない。
いや、前回のロリ会談ではあーでもないこーでもないと話し合ってたんだけど、どの説も確証を持てないってことで手詰まりになってしまった。
それでこの第三回では、一度全部忘れて別の可能性を探ろうって話になったわけだ。
その結果がこの単なるお茶会。忘れすぎじゃね?
まぁ、いいんだけどさ。ロリ間の親睦が深まるなら。尊い。
ちなみに、今日のお菓子はプリンアラモード。ヤギ乳のミルクティーでどうぞ。
皇国侵略をスタートさせて何が良かったって、玉子が手に入るようになったことだよな。おかげで食生活レベルがかなり向上した。
プリンはキキのお気に入りだから、かなりの回数を作った甲斐もあって、クオリティはなかなかのものだと自負している。コツは裏ごしと、少し寝かせてから加熱すること、予熱を利用することだ。
でもって、今日はシャリムのところにマンゴーっぽいのとアメリカンチェリーっぽいのが持ち込まれたから、それらとヤギ生クリームを使ってプリンアラモードを作ってみた。見た目も味も自信作だ。ちょっと黄色が強いけど、美味しいからいいのだ。
『アタシだけ食べられないですの。不公平ですの』
と、ロリ先輩は不満タラタラだったけど。しょうがないよね、正体は怪人キノコ女だもん。枯れ木でも舐めてろ。
そう言う俺はマメ男だけど。アレ? 大魔王なのに俺のほうが弱そう?
ロリが戯れているのは目の保養なんだけど、惑星崩壊は刻一刻と近づいてるんだよなぁ。
まぁ、焦ればいい案が出てくるってわけじゃない。ここは見守るしかないか。目に優しい空間で癒やされよう。
「でな? その時のひとりが言うんじゃよ。『別に倒してしまっても構わんのだろう?』とな」
「あらあら、典型的な当て馬のセリフですの。アタシなら恥ずかしくて六回は死んでるところですの」
「ねぇエグジー、これ美味しかったわね。おかわりって貰えないかしら?」
「わかっタ。少し待っていロ」
「わっ、びっくりした!? 貴女も相変わらず気配が無いわね」
「メイドだからナ」
メイド姿のロキシーも加わって、場の華やかさは天井知らずだ。
このお茶会に世界の命運がかかっているとは、天の声さんでも気がつくまい。
当事者の俺でも信じられない。
仕方がない。
もうひとつの方を進めるか。ロリ✕ロリじゃなくてロリ✕ゴリの方。ちょっと犯罪臭い?
「むっ! ナオミ、団長からの連絡だ。……はい、はい……ええ……えっ!? それは……はい、わかりました。伝えます」
ザ・小芝居! 片耳に手を当てて顔を逸らし、通信しているフリをする! 決して『上司に面倒くさい仕事を振られるのが嫌で、取引先との連絡を装って執務室を出ていく営業マン』の真似ではない! どこへ行くスズキ、戻ってこい!
「どうしたのじゃエグジー! ハリー様はなんと!?」
「ああ。中央大山塊に向かった団員が、山の西側中腹に大
「っ! それって!?」
さっきまで和やかだったお茶会の空気が、一気に緊迫した雰囲気に変わる。
いや、ロリ先輩だけが白けた目で俺を見ている。よせよ、クセになっちゃうだろう?
「わからねぇ。わからねぇけど、多分、大魔王だろうな」
「そう……やっぱりそう、よね」
「うむ、ほぼ間違いないじゃろうな」
「まだ確証が無いから、危険だけど中に入って調べるそうだ。無理はしないと思うんだけど……」
「そうね、アタシたちは無事を祈るしかないわ」
「ああ、吉報を待とう」
まぁ、危険はないんだけどなー。
西側のトンネルは、今は鉄柵を立てて人や動物が入れないようにしてある。出口も入口も。
だから、中にいるのは小動物だけだ。コウモリとか虫とかな。
ネズミもいるけど、ドブネズミみたいな大きいやつじゃなくて、カヤネズミみたいな小さいやつだけ。砂漠の方から来たらしい。
けどこのネズミ、後ろ足二本で立って、カンガルーみたいに跳ねて移動するんだよな。実はウサギだったり? げっ歯類の仲間ではある?
だとしたら危険だな! 俺の天敵だ! 喰われる前にやるしかない! 大脱走だ! いや、逃げるのかよ! 逃げるよ!
まぁ、実際には探索なんてしてないから問題ない。誰も喰われない。逃げない。
ちなみに、南の入口はガンモの、東の入口はガンモの眷属の巣になっている。番犬ならぬ番鳥のおかげでセキュリティは高い。ウサギもシカもやってこない。素晴らしい!
北の入口は、雪を使った天然の冷凍冷蔵庫として利用している。今度アイスクリームを作ろうと思っている。ホットケーキに添えたら絶対美味い。
「ふむ、こちらは特に進展は無いし、その探索の結果次第では、そろそろ本腰を入れて大魔王に会いに行く時期かもしれんのじゃ」
「そうね。できることから片付けていきましょう」
「だな」
「ほラ、食ヱ」
「わっ!? あ、ありがとう。あら、最初のとはちょっと違うのね」
とりあえず、ロキシーがプリンアラモードのおかわりをナオミの前に出す。
今度はマンゴーっぽいフルーツじゃなくて、りんご味のクラッシュゼリーが添えられている。飽きがこないように、少し変化させてみた。
「なんじゃその美味そうなのは! 儂にもおかわりじゃ!」
そうだな。遠征が始まったら、しばらく食べられないだろうしな。今のうちにいっぱいお食べー。
あー、平和だなぁ。
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