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そんで、ロリっ子だけど魔王としては先輩、略してロリ先輩は何の魔物なの? ロリの魔物?
「さっきから言っている、そのロリっていうのは何なんですの? そこはかとなく失礼なニュアンスを感じるですの」
ふむ、流石はテレパシスト。俺の心の微妙な機微を捉えられるらしいな。
まぁ、ロリが悪いとは思ってないよ。ロリに手を出すのが悪いってだけ。ロリはロリロリしてていい。でもロリにロリロリするのはダメ。分かるかな、この感じ?
「全く分かりませんですの! 貴方、本当に脳みそで思考しているんですの? 正気ですの?」
狂乱魔王に言われちゃったよ。
けど、そうは言われても、正気かどうかは自分じゃわからないんだよなぁ。だって、狂ってる人は自分が狂ってるかどうか分からないだろうし。
まぁ、多分狂ってはいないと思う。そう思いたいと思っている自分がいるから、多分そう。そう思いたい。
そして脳みそは無い。だって、見ての通り木だもん。可愛い可愛い苗木ちゃん。若葉萌える萌え萌え苗木。ゆるキャラっぽいけど萌えキャラ。
俺には体外思考って
むしろ俺としては、体外思考が無いのに知能があるロリ先輩のほうが不思議だよ。何処で考えてるの? 子宮? ロリ袋?
「何ですの、そのロリ袋というのは? まぁ、アタシが何処で考えているかという答えなら、それは全身で、ということになるんですの」
は? 全身?
それは『脳みそまで筋肉』こと『脳筋』の逆ってこと? 『筋肉まで脳みそ』、略して『筋脳』?
「そもそも植物に筋肉は無いですの。この身体だって、実体ではなく幻を見せているだけなんですの。ほら」
おお、手がワンコの身体を突き抜けた! これが南斗◯拳!? いや、ワンコは相変わらずヘソ天で寝ている。無反応で鼻ピスピスしてる。カワユスなぁ。
ああ、それで戦っててもワンコが起きなかったのか。ロリ先輩が見えてるのは俺だけなのね。
そう、それは過ぎ去った遠い日の若さが見せた幻……なんつって! 俺って詩人?
「ああ、もうコイツの心を読むのが嫌になってきたですの! 頭がおかしくなりそうですの!」
いやいや、せっかく心が読めるのに投げ出しちゃダメだよ。読書感想文も読まなきゃ書けないんだから。諦めたらそこで試合終了だよ? 夏休みの宿題が終わらないよ?
「宿題なんて無いですの! そもそも、もう負けて終了しているですの!」
ああ、そういやそうだった。すまないね、俺が強すぎて。再戦する? コンティニュー? しおり挟む?
「もう嫌ですの、絶対戦いたくないですの! ふぅ、話が進まないから無視するですの。アタシはキノコの魔物、ドライアドなんですの」
ほう、キノコ。まぁ、幻を見せたり狂わせたりっていう能力を考えると納得かな。人を狂わせる魔性の女っていうには、ちょっとロリが強いかもだけど。これで狂えるのは真性のロリだけだと思う。スズキさん、あなたのことだよ!
「スズキさんについては無視するですの。キノコっていうのは、地上に出ているのはほんの一部でしかないんですの。本体は地面の下、土の中や落ち葉の間に張り巡らされた細い糸の塊なんですの」
あー、聞いたことあるな。キノコっていうのは胞子をばらまくための器官で、本体は地下にある菌糸だっていうの。俺で言えば、幹と根が菌糸で、花がキノコって感じか。胞子が種だな。
「そうそう、それですの。で、その本体がある程度大きく広くなったときに、アタシに自我が芽生えてドライアドになったんですの。その時からこうやって思考できるようになったんですの」
へぇ。ほう。ふーん。
ああ、あれか? 脳細胞がネットワークを形成して脳という器官を形作っているみたいに、菌糸がネットワークを形成してロリ先輩の脳を作ったってわけか。ファンタジーならあり得る、かも?
『脳みそまで筋肉』じゃくて『脳みそまで菌糸』、略して『脳菌』だったわけね。なるほど。
「細かいことは分からないけど、多分その考えで合っているですの。技能は生きているうちに、いつの間にか獲得していたんですの」
ふうん。それで、そのロリ先輩の本体は何処にあるの?
「ここですの」
へ?
「この森全域がアタシの身体なんですの。正確には、若干森より広いくらいがアタシの本体なんですの」
なんと! この森、結構広いぞ? 多分盆地と同じくらいの広さがある。その全域が身体とか、半端ねぇな!
ああ、そう言えば、世界最大の動物はクジラだけど、世界最大の生物はキノコだって聞いたことがある。たしか、アメリカの山地全域に生えてるキノコが全部同じ遺伝子だったって話。
そうか、ロリ先輩はそれの進化系ってことか。ネ◯シュじゃなくて◯シェード、もしくはキ◯ガッサだな。二段階目だし。
そういや髪型もおかっぱでキノコっぽいし、フレアなスカートもキノコっぽい。単なるロリファッションじゃなかったのか。キノコとしてのアイデンティティだったのね。
「ふふん、尊敬してもいいですの! アタシは凄いんですの!」
ふむふむ。そっかそっか。なるほど、キノコだったか。ほぉー。
じゃ、疑問は解消されたってことで、今日は解散かな。お疲れ様でした。またねー。
「え?」
え?
「いや、アタシを眷属にしてこの森の支配権を手に入れて、何かするんじゃないんですの?」
いや? 支配権は手に入ったから、もう特に用事はないけど? 幼児はロリだけど趣味じゃないけど?
「貴方、大魔王じゃないんですの? 世界を征服しようとか考えないんですの?」
別に? 暇だったらするかもしれないけど制服はもう作ったし、今はそれより大事なことがあるしね。
ロリ先輩も、やりたいことがあったら躊躇わずにやったほうがいいよ? セーラー服を着れるのは二十歳までだよ? それ以上は見てるほうも辛いよ?
「大事なことって何なんですの?」
いや、この星……世界が滅びるかもしれないから、それを回避するために原因と手段を探してるってだけ。いざってときのために自分を強化しておこうと思って、そのための支配領域確保ってわけさ。
「え?」
え?
「世界が滅びるんですの?」
うん、だいたい四年後くらいにね?
「本当なんですの?」
多分ね? 天の声さんが嘘吐いてなかったらね?
「……た」
た?
「大変じゃないですのーっ! そういうことはもっと早く言えですのーっ!!」
だから大事なことだって言ったじゃん。
あ、言ってないか。思っただけだった。
テレパスとの会話は難しいなぁ。
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