055
こいつ、動くぞ!
素晴らしい、本物の動く肉体だ! 生の身体、生きている体!
ってか、臭っ!
こいつもか! こいつも風呂に入ってないのか!
八歳って出てたな。つまり八年間風呂に入ってないってことかよ。ヤギママより酷いじゃん! 異世界不潔すぎ!
なんかあちこち痒いし、兎に角風呂だ! 俺は風呂に入るぞ!
◇
ふう、さっぱりした。まさか石鹸を丸々一個使う事になるとはな。こころなしか、少し細くなったようにも思えるし。どれだけ汚れをため込んでたんだ、この身体。
うん? どうしたキキ? 見知らぬ人、じゃない、オークが珍しいか?
珍しいよな。初めて見るんだもんな。
大丈夫、怖くないよ。中身は君のパパだから。羊の皮を纏った狼は危険だけど、オークの皮を被った豆は……意味不明だな。俺ってなんなの? とりあえず、あそこの皮は被ってないな。大人じゃ~ん?
おや、ヤギママがいない? さっきまで居たのにな。あ、外で草喰ってる。家の中にもあるのに。
警戒してる? まぁ、初めて見るオークだろうしな。知らない生き物が近付いてきたら警戒して当然……って、
ぐうぅぅ……。
むっ、考え事してたら腹が減ったな。というか、乗り移ったときから腹ペコだったんだけど。
この身体、腹が出てるけど太ってるわけじゃないっぽい。あばらが浮いてるし、栄養失調かもしれん。
そりゃそうか。あの荒れ地で採取生活だもんな。太れるほどの食い物があるわきゃない。
とりあえず飯を食おう。俺の眷属なら病気耐性と成長促進があるはずだから、食えば元気になれるはず。ってか、マジ腹が減って倒れそう。
美味い! 美味すぎる!
って、埼玉ローカルCMじゃないけど、新鮮な鱒の塩焼きも焼いてバターを乗せただけのジャガイモも美味い! 鹿肉のステーキニンニク味なんて、赤ワインを樽で飲みたくなるくらい美味い! けどワインはないんだ! 作らないとな!
今までも疑似知覚のおかげで味覚はあったけど、こんなに美味くは感じなかったぞ? なんでだ? 空腹は最高のスパイス? それともこれが疑似と本物の感覚の違い?
ま、どうでもいいか! 美味しい事はいい事だ。美味しいは正義! 正義執行だ! 正義しまくるぜ!
うん? キキも食べたいのか? えーっと、鱒なら大丈夫かな? 小骨も皮も取ってと。美味しいか? そうかそうか。
ふう、食った食った。
いやぁ、ヒトに擬態した身体じゃ味見くらいしかできなかったからな。久しぶりの満腹感だよ。ありがとう、オークくん。食べるって大事だな。
ふむ。
よし! それじゃ、この身体にも名前をつけてやろう!
俺が自由に動かせる生身の身体だしな。言わばハリーたちと同列だ。名前があってもおかしくない。
それに、こいつが名持ちになれば
まぁ、オークの技能って言ったらアレしかないけどな。夜に役立つアレ。ぐふふ。
えーっと、それじゃどうするかな……乗って動かす……生き物……初號機とか? いや、この肌は紫じゃないしペールオレンジだし。あ、紫は拘束具の色か。あいつも中身はペールオレンジだったな。けど、暴走されるのはなぁ。もう誰も止められないわ。
それじゃゾイ〇か? ブタ型って居たかなぁ? 記憶にないなぁ。ゴリラはいたけど、オークとゴリラは違うよなぁ。
単純に豚キャラから貰ってくるか。ブー〇ンとかおだて〇タとか。カッコいい系だとポル〇かな。格好いいとはこういう事さ。どういう事さ?
よし、命名『ゼブ』!
暴食の悪魔ベルゼブブから貰ってみた。ベルだと女の子っぽいからな。
――固有名『ゼブ』を獲得しました。――
おっ、名持ちになったメッセージが! そうか、俺が意識を乗っ取ってるから俺に聞こえたのか。
眷属欄にも追加されてるな、よしよし。
では早速ステータスをチェックだ。要チェックや!
――――
名前:ゼブ
種族:ハイランドオーク(オス)
年齢:八歳
HP:★★★★
MP:
腕力:★★★★★
体力:★★★★
知能:
敏捷:★★
技巧:★
技能:『悪食』『絶倫』(『成長促進』)(『毒耐性』)(『言語理解』)
称号:
眷属:
特記:『ボン=チキングの眷属』
――――
おおう、なんという極振りステータス!
お前脳筋過ぎるだろ!
ステータス的には完全に前衛だな。腕っぷしはかなりのもんだ。身体もデカいし、盾を持たせて
敏捷も、星ふたつなら悪くない。動けるデブ……はパパイヤと被るな。こいつはマッチョ系に育ててみるか。素早いマッチョ。スピードマッチョ。
その他のステータスは残念すぎるけど、俺が操るから問題ないか。知能も技巧もなんとかなる。
あれ? もしかして、こいつって凄く強くない? 俺が操れば剣も盾も槍も使えるし、多分魔法も使える。試しに光魔法……ほら、ピカピカ。風呂上がりで全裸だから放送倫理に配慮してみました的な? 四つある乳首も光らせてみました。
これ、完全に
あの集落っていうか巣、制圧するか。戦力として魅力的過ぎる。
そして、予想を裏切らない技能たちも魅力的すぎる。もう既に持っていたとはな。
これは早急にくっコロさんを見つけ出さねば。やはり定番の女騎士さんか、それとも聖女さまか。
そして疑似知覚で……ふふふ……ぐふふふ……うへへへへ。
おっと、一部巨大化してしまったぜ。でも光ってるから大丈夫! BDでは消せますよ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます