045
確か、次男以下の男を女の子として育てる風習が、東南アジアのどこかの国にあるっていうのを聞いたことがある。いや、昔聞いた話だから、今もあるのかは知らんけど。
なんでも、貧しい地方だから次男以下に嫁を取って子供を作られると養いきれないからだそうな。確かにゲイやニューハーフなら子供は出来ないもんな。一種の去勢ってわけだ。
といっても、その次男以下の中には、最終的に家を追い出され大きな街で男娼になっちゃう人も多いんだとか。貧乏は辛いな。腐ったお姉さま方は大喜びかもだけど。いや、一部の男の娘愛好家もか。
そういえば、日本でも男の子を三歳くらいまで女の子として育てることがあるって話も聞いた記憶があるな。
男の子は病気で死にやすいから、比較的育ちやすい女の子にあやかってってことらしい。こっちはマジで男の娘だな。
こいつはどっちだろう? 両方有り得るよな。辺境の村だから貧しいかもだし、男児が病気で死にやすいとかもあるだろう。
まぁ、今回は村が全滅するレベルで病気が蔓延したわけだけど。あやかった甲斐はなかったかもな。いや、なんとか生き延びてるから甲斐はあったのか?
さて、この四人、どうしようかな。
いくら病気耐性があっても、地下都市や盆地に連れて行くのは怖い。蔓延したら手が打てない。この世界の
オッサン共はともかく、キキに万が一があったら後悔してもしきれない。ここはちょっと様子見かな。
っていうか、病気の発生源はどこだ? 四人が回復したら聞いてみないとな。誰が一番に発症したかが分かれば、ある程度特定できるだろう。
っと、その前に死体と村の処理だな。放置してたら新しい病気が発生しそうだ。もう既に腐臭と汚物臭がキツイし。
とりあえず……村はずれに空き地があるな。ここの土を亜空間にポイっとすれば、あっという間にでっかい墓穴の出来上がり。
何か燃やせるもの……各家の横に薪の山があるな。これを底に敷き詰めてと。亜空間経由なら重さ無視でラクチンだ。
次は村のあちこちにある遺体を、やっぱり亜空間経由で移動させてこの墓穴へと。うーん、楽なんだけど、こういう使い方はしたくなかったなぁ。
たっぷりアルコールを吹き付けてから光魔法の熱線砲をビーっと。うん、よく燃えてる。いつもなら毒で溶かして終わりだけど、荼毘にふすっていうし、今回は火葬だ。
迷わず成仏しろよ。南無。
……昔の人は言いました。『本を焼く者は、やがて人も焼くようになる』と。じゃあ、今、人を焼いちゃってる俺は、次は何を焼くんだろう……いかん、陸でもない想像しか出て来ねぇ。
駄目だ駄目だ、今後焼くのは料理だけでいい、今日の夕食は鹿肉の串焼きにしよう! 塩焼きの超すだち風味。
普通に美味そう。でも俺は味見しかできない。くそう、オッサン共だけ楽しみやがって! いつかあいつらのケツ毛を焼いてやる!
どうやら、人を焼いたその次は鹿を焼くものらしい。その次はオッサンのケツ毛。嫌な新発見だ。
燃え尽きるまでには、まだまだ時間が掛かりそうだな。火の番に苗木一体残して、他の分身には村のアルコール消毒でもさせるか。引火しないように風魔法も併用してと。
容体は落ち着いてるな。病気耐性と特製スポドリが効いたか?
けど、見た目が酷い。服は血と糞尿塗れだし、顔も体も汚れまくってる。これは着替えさせて洗ってやらないと。
ち、違う! 役得だなんて思ってない! いや、もし触っちゃったとしても、それは不可抗力だ! 偶然、そう、偶然当たっただけなんだよ! ワザと当ててるのよ! 男が言うとただの変態だな。
真面目な話、触らずに洗ってあげるのは無理だ。だから、これは仕方がないことなんだ! そう、仕方が無かったんや!
◇
お嬢さん、貴女は良いものを、いや、非常に良いものをお持ちだ。
スラリと長い手足に締まったウエスト、そこに盛り付けられた美味しそうなふたつの肉まんと大きな桃。
ありがとう、そしてありがとう! 堪能させていただきました。ごちそうさまでした。結構なお手前で。
俺は、自分の心に正直な自分が大好きだ!
年下のお嬢さんも悲観してはいけない。貴女にはまだ可能性がある、未来がある!
細身に見えるその身体が筋肉質なのは、ジックリバッチリ隅々まで観察させてもらったから分かってる。栄養が足りてきたら、付くべきところにも脂肪が乗るだろう。
成長させるお手伝いなら任せてくれ。おそらくマッサージが効果的だ。遠慮は無用! 付き合うよ、いつまでも何処までも!
やっぱ付いてるか。なんてこったい。
亜麻色ロン毛、小柄で細い手足。長いまつ毛にぷっくり柔らかそうな唇。見た目は一番美少女なんだけどなぁ。残念だ、残念過ぎる!
……でも、ちょっとだけそっち方面の人の気持ちが分かったかも? 新しい扉が開きそうな予感が……いや、いかんいかん! それは大魔王の所業ではない、むしろ勇者と呼ばれる奴等の所業だろう。
いいな、勇者はいいな!
オッサンは……記憶にございません。残したくありません。くそう、無駄に筋肉付けやがって! 重いんだよ!
水生成と石鹸で洗い終わったら
下着が無いんだよなぁ。
オッサンは軍隊から奪ったパンツでいいんだけど、娘さんたちが問題だ。女物の下着なんて物資になかったからなぁ。
仕方がない。
まだ早いと思って作ってなかったけど、どうやらその時が来たようだ。
そう、それは縞パン!
ヨコシマな男共の欲望を詰め込んだ罪深き横縞!
もう大丈夫。何故って? 私が来た!
ふふふ、ついにパンツ大魔王の本領を発揮する機会が来てしまったか。世界は俺の出番を待ちきれなかったようだ。
良いだろう。刮目せよ、世界! 我が全身全霊を込めた渾身の一作に、白と水色の魅惑のストライプに酔いしれるがいい!
――ボン=チキングは『変質者』の称号を獲得しました。
ぐはぁっ!?
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