ゴッドファーザー

【作品情報】1972年 アメリカ 監督:フランシス・フォード・コッポラ


【あらすじ】

1945年ニューヨークが舞台。ニューヨーク五大ファミリーのひとつ、コルレオーネ・ファミリーのドン・コルレオーネ(ヴィトー)の娘コニーの結婚式が開かれていた。その間にもヴィトーの執務室ではドンの力を頼って裏の仕事が舞い込む。


あるとき、ヴィトーの元に五大ファミリーのタッタリアの配下ソロッツォから麻薬密売の話が舞い込む。跡継ぎであるヴィトーの長男ソニーは乗り気だが、ヴィトーは麻薬を禁止しており取引を断る。ソロッツォは邪魔者であるヴィトーを襲撃、ヴィトーは昏睡状態に。

病院へ父ヴィトーを見舞いにやってきた三男マイケルは暗殺の気配を察知、機転を利かせてヴィトーを別室へ移し、危機を回避する。


ヴィトーを狙われたことに激怒した跡継ぎである長男ソニーはタッタリアの跡継ぎを殺害、全面抗争に突入する。裏社会の人間ではなかったマイケルはソロッツォらをレストランで銃殺、シチリア島へ身を隠す。


【見どころ】

複雑に絡む人間関係が非常にリアル。裏切りと報復の応酬でスリリングにストーリーが進んでいき、抗争の結末は驚くべき結果に。

ドン・コルレオーネの威厳や悲哀の演技に引き込まれる。裏社会の人間だったマイケルが頭角を現わしていく過程も見どころ。

また、ノスタルジーを誘う映像と音楽も美しい。多くを語らずともマフィア映画の金字塔の名にふさわしい名作。


【感想】※ネタバレ含

誰もが名前を知っているくらいの超名作でしょう。名作の所以もよくわかりました。任侠映画の元ネタかというくらい印象的なシーンが多いと感じました。暴力シーンも多いですが、映像の美しさのためか品があります。


話を断ったプロデューサーの愛馬の首を切断してベッドに放り込むとか、恐怖と精神的ダメージの与え方が怖い。しかも、話に乗らなかったプロデューサーにも一理ある話なのに、依頼人の肩しか持たない。マフィアの面子を潰したらどうなるか、恐ろしい見せしめだった。


ただのマフィアの抗争ではなく、家族愛が描かれているのも特徴。ベッド上のヴィトーがマイケルが二人を殺害したと聞いたときの表情はやるせない悲哀を感じた。老境にあってマイケルには表社会で活躍して欲しかった、と語るシーンも切ない。しかし、マイケルの度量を買っていたのも確か。


ラストの洗礼と殺戮シーンの絡み合わせが秀逸。今ではこういう真逆のシーンを絡める演出は多いと思いますが、斬新だったのではないでしょうか。


任侠ものは女性の扱いがひどいと思うのですが、本作でも女性は悲惨な状況に追い込まれる人ばかりでした。

マイケルのシチリアの最初の妻は美しく天真爛漫。車を運転したいとせがみ、エンジンをかけたら爆発。このシーンは大事な話なのに自分勝手でうるさい女だなと思った瞬間、爆発。唖然としました。

謀略の一環で夫カルロに殴られるコニーも壮絶でした。

また、比較的まともな立場のマイケルの妻ケイも結局蚊帳の外。マフィアの世界も男社会なんだなと思いました。ラストシーンはカット割りが非常に上手く、印象的でした。


私はなんちゃって裏社会ものを書くわりに、本作は観たことがありませんでした。戦後まもなくという時代ですが、裏社会の様相が良く分かり、人間の描き方も学びになりました。名作と呼ばれる作品は観ておくべきだな、としみじみ思いました。

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