キャラクター

【作品情報】2021年 日本 監督:永井聡


【あらすじ】

山城圭吾は漫画家のアシスタントをしながら独立を夢みているが、最後のチャンスもダメ出しを食らい、落胆していた。

たまたまスケッチに行った民家で凄惨な殺人事件に遭遇する。庭にいた犯人を見たことから彼をモデルに猟奇殺人をモチーフにした漫画「34」がヒット。

しかし、漫画と同じ展開で一家四人殺害事件が起こり始める。


【見どころ】

漫画通りに殺人が起きていくという興味深いシナリオ。得体の知れない犯人との遭遇シーンは心拍数が上がってしまった。犯人役のFukaseの静かな狂気の演技にはゾッとさせられる。痛ましい一家殺害の猟奇シーンも見応えあり、ホラー好きにも納得の迫力映像。

犯人との対決に向けて加速するサスペンス仕立てのストーリーは見応えがあった。


【感想】※ネタバレ含

漫画が好きで、漫画家の仕事ぶりが垣間見えたのは興味深かったです。殺人現場と犯人を見たことで、心優しい青年が迫力ある漫画が描けるようになったという設定も斬新。


山城の理解者で元暴走族の清田が途中退場になる大胆なシナリオには驚きました。こんな魅力的なキャラを惜しげもなく・・・と劇中で一番呆然としました。

中村獅童演じる真壁のハードボイルドなキャラも好きです。


両角の不気味な演技も良かった。凶器のあの長細い包丁も地味に恐ろしい。

彼の生い立ちが新興宗教の悪習で歪んでしまったということは明示されたが、その点が軽く流された感じがあったのでもっとその理由を知りたいと思いました。


ラスト、自分の家族を使っておびき寄せるアイデアは度肝を抜かれた。さらに上を行くどんでん返しがあったが、展開は予測が出来ていた。身重な妻が登場する時点でどうしてもフラグにしかならないと感じました。


冷静に考えるとここまで模倣犯だと漫画の連載にケチがつくだろうし、そこが描かれていなかったこと、ラストで山城が自宅マンションに戻ってきたときに警察を撒いたことがやや引っかかる場面ではありました。

しかし、自分がもし書くなら、都合をつけるとこうなってしまうだろうなと思うシーンでもあり、ホラー作品における読者の先読み力が高まってしまったことの対策は必要だと老婆心ながら思いました。


展開はテンポ良く、後半までは清田のキャラで引っ張っていったところがあり面白い作品でした。



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