ヒューマンドラマの章
オーバー・ザ・トップ
【作品情報】1987年 アメリカ 監督:メナヘム・ゴーラン
【あらすじ】
コンボイトラック乗りのリンカーン・ホークは、入院中の妻クリスティーナの代わりに陸軍幼年学校を卒業する息子マイケルを迎えに行く。妻の父ジェイソンから追い出されるように家を出たホークにとって、10年来の再会だった。ホークはトラック旅の中で、息子との時間を取り戻そうと願う。
育ちの良いマイケルは、粗野な父のことを信用できない。途中立ち寄ったドライブインで、自分より大柄な少年とアームレスリングの試合をするようホークに言われたマイケルは一度は負けてしまい、ホークを恨む。しかし、ホークの力強い励ましで挑んだ2回目の試合で見事勝利し、自信をつけた。
ニューヨークからカリフォルニアまで、トラックでの旅路の中で父子は少しずつ打ち解けていく。しかし、クリスティーナの入院する病院に到着したとき、彼女はすでに亡くなっていた。ショックを受けたマイケルは祖父ジェイソンのもとに戻ってしまう。
ホークは息子を取り戻そうとジェイソンの屋敷にトラックで突っ込み、息子の親権を失う。失意のホークは商売道具のトラックを売り払い、ラスベガスで行われるアームレスリングの試合に参加する。無名のホークはどんどん勝ち進む。そして、決勝の相手は巨漢の豪傑ブル・ハーリー。すべてを賭けた試合の行方は?
【見どころ】
家族愛がテーマの本作。おぼっちゃん育ちのマイケルの心を無骨で不器用なホークが解きほぐしていく様は心が温まる。トラック野郎の暮らしを体験しながら人間として成長していくマイケルに明るい未来が見えそうなところで、母親の死という衝撃が訪れ、物語は転機を迎える。
ホークは寡黙でストイックだが、試合のときの目力や気迫はとてもインパクトがある。気持ちをスイッチするために帽子を逆に被るというのも面白い。つい真似したくなる設定だ。
家族愛を貫くためにアームレスリングで男を見せるという脳筋な展開に驚きを隠せないが、このアームレスリング試合の白熱ぶりはすごい。暑苦しすぎて、噎せ返る熱気と汗のにおいが画面から漂ってきそうな勢いがある。
この作品はここ最近見ることのできない、シンプルで熱い物語だ。
【感想】※ネタバレ含
脚本には主演のシルヴェスター・スタローンが関わっており、孤独に戦う熱い男の姿は彼の好きな題材なのかなと思う。ロッキーやランボーに通じるところがある。シンプルなシナリオで、伝えたいメッセージは明確だ。
無骨で不器用な男の、息子への愛の証明がアームレスリングでの勝利というのも汗臭くて最高。決勝戦では本当に手に汗握ってホークを応援してしまう。必死で戦う男の姿はカッコいい。腕相撲試合の優勝で人生すべてハッピーというご都合主義な展開だが、有無を言わせぬパワーがある。
この作品はサウンドトラックがとても素晴らしい。CDを買ってずっと聴いていた。マイケルと心通わせるシーンで流れるエモーショナルな「イン・ディス・カントリー」、試合の興奮を高める「テイク・イット・ハイアー」、映画のタイトルでもあるエンディング曲「オーバー・ザ・トップ」。キャッチーで名曲揃い。ぜひ作中で流れる曲も聴いて欲しい。
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