ドラキュラ BRAM STOKER'S DRACULA

【作品情報】1992年 アメリカ 監督:フランシス・フォード・コッポラ


【あらすじ】

 15世紀、トルコ軍との戦いの最中、愛する妻エリザベータを失い、神を呪ったドラキュラ公は永遠の闇を生きる吸血鬼となった。


 19世紀ロンドン。弁護士のジョナサン・ハーカーはドラキュラ伯爵からの依頼でトランシルヴァニアの城に旅立つ。ジョナサンはその城で奇妙ないくつもの体験に遭遇する。


 伯爵はジョナサンを城に閉じ込め、棺桶に身を潜めロンドンへ海を渡る。雑踏の街で彼の婚約者ミナと出会い、叶わぬ愛に身を焦がし我が物にしたいと願う。


 ジョナサンは命からがら城を脱出し、ロンドンへ戻った。ミナを掠ったドラキュラ伯爵を追い、ヴァンパイア・ハンターのヴァン・ヘルシング博士らとともに本拠地トランシルヴァニアへと向かう。


【見どころ】

 ダークで美しい映像は今観ても素晴らしい。ドラキュラの世界観を演出するアイテムとして独特なデザインの衣装がある。この衣装は日本人デザイナー石岡瑛子さんが手がけ、アカデミー賞衣装デザイン賞に輝いている。ドラキュラという古典題材に新鮮な印象を与えたのは衣装の功績が大きい。


 ゲイリー・オールドマンをドラキュラ役にすえて、不気味な白髪の老人ドラキュラ伯爵から黒髪の紳士、恐ろしい怪物の姿まで変化が見どころ。ジョナサン役には若き日のキアヌ・リーブスで、真面目な好青年のジョナサン役はマッチしていた。


 ドラキュラと言えば吸血鬼。血を吸う場面が幾度も出てくるが、官能的で美しい映像は見どころ。

 

【感想】※ネタバレ含

 正統なドラキュラ映画は意外とあるようでない。この作品はタイトルの通り、ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」に沿っています。小説中でドラキュラ伯爵は歴史上のドラキュラことヴラド・ツェペシュとの関わりを直接的に示していないが、本作ではドラキュラが神を呪い、吸血鬼になったというシナリオになっていますね。


 見どころでも触れたとおり、この映画が単なる古典の焼きまわしにならないのは衣装デザインの功績が大きいですね。ドラキュラの深紅のローブや、女吸血鬼の特徴的なデザインの襟やレース使い、映画を観た当初は日本人がこのデザインを手がけたことを知りませんでした。こんなデザインができる日本人がいたというのが驚きです。


 ゲイリー・オールドマンは個性派俳優で、ドラキュラのモンスター的な不気味な面と、人間のような激しい感情を持つ面を非常に印象深く演じていました。ファンキーなヘルシング博士や色男たちのわき役キャラも良かった。キアヌもフレッシュでした。


 おどろおどろしく美しい映像と、印象的なゴシックホラーBGMも好きです。吸血鬼ものが好きならぜひ観てもらいたい作品。

 

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