09話.[あとほぼ1年か]
「へえ、保留にしたんだな」
「ああ、高校を卒業したらひとり暮らしをするつもりだからそこまで好きだったら付き合おうって言ったんだ」
ということはあとほぼ1年か。
気持ちを確かめるのならいい期間設定かもしれない。
「それより凪ちゃんとは仲直りできたんだよな?」
「おう、それも大友のおかげだ」
「いい加減名前で呼んでくれよ」
「はは、芳樹のおかげで凪とも仲良くできているぞ」
部活の方は結局部長を譲ったらしい。
が、意外にも丁寧に教えてくれて雰囲気が良くなっているみたいだ。
凪は言ってた、これなら早く変わっておけばよかったって。
だがまあ、それは結果論だからな、早く変わっていたらそれはそれで違う感じになっていた可能性もある。
「あと郁とも、だろ?」
「言いづらいことを聞くなよ……」
「はははっ、いいんだよっ、気にしないで言っておけば!」
こいつの粗を見つけてえ……。
でも、分かっている限りでは、複数の異性と関わっているぐらいしか思い浮かばない。
問題なのはその異性には彼氏がいて、なんにも発展しないということ。
だからつまりこいつに目立った粗というやつはないというわけだ、敗北感がすごい。
「芳樹には勝てねえな」
「俺は俺、勇太は勇太だ、比べる必要なんかないんだよ」
「くそ、最後までいい奴でいやがって」
「はは、その方が勇太を苦しめられるだろ?」
「あっ! ふっ、それぐらいでいた方がいいよ」
完全な聖人だけではいてくれるな。
そうしたらいつまでもそこで引っかかってしまうわけだからな。
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