xSS-x-08 閑話、お嬢さまとメイドたちの一日
時系列は五章前。
後半に、少々性的なモノを匂わせる表現があります。ご注意ください。
――――――
皆さんこんにちは。私の名前はムム。
さて、挨拶も程々に、本日は雇用主であるミュリエルお嬢さまの一日をご紹介したいと存じます。
起床は七時。ムムがお嬢さまの部屋へ赴き、お声かけします。
お嬢さまは朝に弱いため、なかなか覚醒してくれません。ですが、大きな問題はありません。ムムが無抵抗の彼女を着替えさせたりしてしまうので、結果的に時間の無駄を省けています。
それから姉のミミが用意した朝食を食べていただき、お嬢さまは仕事へ向かいます。
お嬢さまは官僚の一ポストを担っており、国政への口出しが許可されています。王女と言えど、男尊女卑の風潮が強い霊魔国でそこまでの地位を確立できるのは素晴らしいことです。さすがはご主人さまが才能を認めたお方でしょう。
国王と官僚によって行われる国政会議は、その日によって異なりますが、午前と午後を合わせて五時間ほどで終了します。普段から治政が上手く回っているため、緊急事態以外は大した議題が残っていないようです。
会議を終えたらお嬢さまのお仕事はなくなる……なんてことはございません。会議の進捗にもよりますが、午後は学校の教師を務めることが大半になります。
学校というのは、お嬢さまが自費で運営されている平民のための教育機関です。十年前にご主人さまが漏らしたアイデアを採用したのだとか。
まだ開校から五年しか経っていないので目に見えた成果は出ていませんが、少しずつ国民の質が上がっているような気がします。私もミミもお嬢さまも、おそらくご主人さまも子供がお好きなので、このまま学校制度は持続してほしいところです。
学校を終えて夕方。ここからは屋敷にて書類整理を行います。官僚の仕事が会議だけのはずはなく、毎日山のような書類が運ばれてくるのです。
お嬢さまは優秀なお方ですから、きっちりすべて
夜遅くまで書類と格闘し、その後は入浴と夕食を済ませます。この辺りの準備は姉さんが行います。書類仕事といった頭を使う仕事を姉さんはできないので、こればっかりは仕方ありません。
すべての作業を終え、あとは眠るだけ――とならないのが、お嬢さまの日常。
一日の最後、お嬢さまは”とある趣味”に取り組みます。
お嬢さまの趣味を行うため、ムムたち姉妹と共に、地下にある一室へ向かいます。
この部屋は特別仕様で、お嬢さまとお嬢さまが許可した魂を持つ者しか入室できません。彼女が地獄の特訓で獲得した
さて、この地下室に何があるのかといえば、ご主人さまの絵画の数々です。壁床天井、余すことなくご主人さまを描いた絵が貼られています。十年前のお姿から最近のものまで、全成長過程をコンプリートしています。
異世界にいるご主人さまをどうやって描いたのかって?
当然、霊術と魔法を使いました。使い魔のパスでご主人様とは繋がっているので、あとは術の応用して視点変更。ご主人様のお姿を確認し、複写しました。お陰さまで、ご主人さまのあらゆるお姿を描き残すことができました。永遠に眺めていられます。
まぁ、最初はムムとミミだけで集めていたコレクションだったのですが、あっという間にお嬢さまに見つかってしまい、今ではすっかり共犯です。というより、今ではお嬢さまの方が率先して集めていらっしゃいますね。毎晩毎晩この部屋に来ては「カズサ……はぁはぁ」などと危険な呟きを漏らしています。あの目は完全にイってました。ご主人さまが発する未知の中毒要素『カズサニウム』の虜になっております。ムムたちも同様ですが。
そんなわけで、お嬢さまは一日の最後をこの部屋ですごし、カズサニウムを補充してから就寝するのです。三時間くらいご主人さまの絵を眺めてハァハァしているのは、女性として色々と終わっている気もしますが、相手はご主人さまですから仕方ありませんよね。
○●○●○
さてさて、お嬢さまが就寝してお終いと思われるかもしれませんが、淫魔のムムたちにとっては、ここからが本番です。
といっても、誰かと濃厚接触をするわけではありません。そのようなこと、ムムたちはご主人さま以外と行いません。よって、未だに二人とも純潔ですよ。
そもそも、淫魔の特性上、成人(十八歳)前にヤると死んでしまうので、ご主人さまの存在がなかったとしても純潔なのですが。成人前はヤると死に、成人後はヤらないと死ぬ。我ながら難儀な種族ですよね、滅亡の危機に陥るのも納得できてしまいます。
それでも自家発電は行えるのです。というか、発散しないとストレスが溜まって仕方ありません。それが淫魔という種族です。
オカズはもちろん、ご主人さまの写真。しかも、お嬢さまにも見せたことがないシークレットレア! そう、ご主人様の全裸絵画! イッツワンダフォー!
失礼、テンションが爆上げしてしまいました。それだけ、この絵画はムムたちの欲求にブッ刺さるのです。興奮度がMAXを突破します。ご立派どころか最終兵器並みに育ったご主人さまを見て、よだれが溢れまくります。ああ、早く食べたい。
そういうわけで、ムムたちはご主人さまをオカズにしてから一日を終えるのです。
ここから先の痴態は、ご主人さま以外に見せられないので、ここら辺でお暇させていただきましょう。
え、オチはないのかって?
ありませんよ、そんなもの。これはムムたち姉妹とミュリエルお嬢さまの一日をつづっただけなのですから。
それでは皆さん、またの機会にお会いしましょう。
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