第39話、鍛冶職組合

男用の浴場と比べ、女性用は閑散としていた。

人前で裸になることに慣れていないのだ。

だがしかし、それも噂が広がるまでの数日のことであった。


貴族たちは、メイドに下見に行かせ、しっとりツヤツヤの風呂上がりを目の当たりにし、こぞって湯着を仕立てて大人数でやってくるようになる。

マッサージにしても、一度メイドに試させてからは虜になる。

マッサージオイルのパッチテストを行うため、当日はマッサージのみとなるのだが、誰もが湯で火照った体を揉み解される快感に酔いしれていく。


そして、パッチテストによる異常が見られなければ、本番である。

保湿オイルによるマッサージが銀貨1枚で、美白と保湿のブレンドオイルによるマッサージが金貨一枚である。

金貨一枚の方には、ムダ毛処理が含まれる。

恭介の手による安全カミソリも導入してある。


王妃が広告塔になってくれるかと思ったのだが、少しでも秘密にしておきたかったのか、美白マッサージの第一号でありながら沈黙を保っているらしい……




美白オイルの販売を望む声が大きかったが、市販はしない方向となった。

美白マッサージの予約がずっと埋まってしまい、とてもじゃないが販売に回る量は確保できない……


だが、これにより、孤児たちの安定した仕事が見つかったのだ。


「孤児院っていうのがあってさ、国からの補助が出てるんだけど食べるのがやっとだったみたいよ。

これで、小さい子供たちにもお腹一杯食べさせてあげられるって、みんな泣いてたわよ」


「じゃあ、うちの惣菜でも差し入れてやるかな。

全部で何人いるんだ?」


「38人よ」


「唐揚げ4キロとポテト2キロ。

あとはプリンだな」


「ハチミツも喜ぶんじゃないかしら」


「じ仁さん!大変です!」


「どうした?」


「怖そうな人たちが、責任者に会いたいって……」




「忙しいところすまないな。

鍛冶職組合代表のタチモチってもんだ」


「はあ、何の御用ですか」


「ここのマッサージで使っている変わったカミソリの件で来たんだが」


「ああ、安全カミソリですね」


「安全カミソリっちゅうのか。

確かに、子供でも使えるんだから安全だな。

あれを組合で作らせてもらいてえんだが」


「ああ、そういうことですか。

別にかまいませんよ。

サンプルをお渡しすればいいんですか?」


「サンプルもだが……

販売する価格とか、こっちへの納め分とかも決めてえんだが」


「アイデア料ですね。一割でどうでしょう。

価格は、実際に作ってみないと分からないでしょう」


こうして、鍛冶職組合とも連携していくことになった。

ちなみに、鍛冶職人は炉を使うことで、顔は赤黒く焼けて、片目を損傷する者も多い。

仕事柄、人相は悪くなってしまうのだ……

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【改題】高校生集団の異世界生活‼ 男女4人の魔物語 モモん @momongakorokoro3

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