第4話 ラジオヲタクの恋
そして、次の週。
【皆さんこんばんわ。川原輝です。あなたのノイズ聴かせてください。夜が明けたら、あなたの心に優しいメロディーが流れています様に。
今夜も1時間、お付き合いください。では、早速メッセージ、紹介しようと思います。
ラジオネーム”お昼のお月さま”さん16歳の方から。
〈初めまして。輝さん。私はラジオヲタクで、本当に色々なラジオを聴いていますが、輝さんの〔君色ノイズ〕は特に大好きです。
私のノイズは、好きな人に中々好かれない事です。ラジオ好きと言うより、詳し過ぎて、男子に引かれてしまうんです。
だから、学校とかでは一切ラジオの話はしないのですが、この間、ちょろっと〔君色ノイズ〕を聴いていると、あまりに好きすぎて言ってしまいました。
そんな風に、ラジオヲタクノイズが回ります。
私はこのままこのノイズを消さなければ、彼氏が出来ないのでしょうか?〉
お昼のお月さまさん、メッセージありがとうございます。ラジオお好きなんですね。私も、こうしてパーソナリティーを務めさせていただいてるくらいですから、学生時代からラジオたくさん聴いてましたよ。なんかこう…何曜日の何時から誰が出る、みたいなのを表にしたりしてました(笑)。
確かに私くらい行くと、ラジオヲタクノイズ響きすぎてたかもしれませんが、何か特別な物があるって言うのは全く悪いと思いません。価値観の共有は絶対必要ですから。
お昼のお月さまさんは、まだ16歳なのでね、後悔しないように、間違っても嘘はつかないようにそのノイズを持ったままでも、好きになってくれる人が出来た時、お昼のお月さまさんに余計なノイズがあったら、きっとそっと消してくれると思います。余計というのは、ラジオヲタクではなく、ヲタクが悪いと言う世間の固定観念のノイズであってくれると、私は祈ってます。
お話長くなっちゃいましたね。
では、曲行きます。お昼のお月さまさんにはこちら。RADWIMPSで”いいんですか?”】
「はぁ…遠藤がこの子くらいラジオ好きでいてくれたらなぁ。でも待てよ?〔君色ノイズ〕は少なくとも1回は聴いてるってことだよな?それだけでも会話に持って行けねぇかな?」
「……」
「うし!明日話す!」
そう決心し、大樹はベッドに頭を突っ込んだ。
次の日、2人姉妹がちょうどトイレへ出かけてる隙に、大樹は腹筋を振り絞って、果実に話しかけた。
「遠藤、遠藤も〔君色ノイズ〕聴いた事あんだよな?」
「え、うん。もしかして飛田も〔君色ノイズ〕聴いてるの?」
「うん。俺ラジオ好きでさ」
「良いよね!輝さんの声とかトークとか、キュンキュンする!!でさ、私、昨日メッセージ読んでもらえたんだ!飛田は?読まれた事ある!?」
いきなりのあっぱれなほどの食いつき方に、一瞬驚いたが、
「あ…ごめ…」
(あぁ…!やってしまった!!引かれる!!)
「なんだ、遠藤ってこんなに話しやすいやつだったんだ!俺2回読まれたよ!」
「…ひ、引かないんだね」
「?なんで?良いじゃん!ラジオ最高!」
「だよね!?ラジオ、良いよね!?」
大樹があまりに素直にラジオが良い、と言ってくれるから、果実は嬉しくて、今までにないくらい、心が解放された。
月曜日。
【今日最初のメールは、いつもありがとうございます。夜中ど真ん中。さんのノイズ、どうでしょう?変化はあったんでしょうか?では、早速読ませていただきます。〈輝さんこんばんわ。恥ずかしいノイズいっぱいでしたが、好きな子に話しかける事が出来ました。その子も〔君色ノイズ〕を聴いていると言ってました。話せたら、歓喜ノイズでしたが、只それだけなんだよな…と思うと、泣きたいノイズが流れ込んできて、思わず泣きました。
男なのに恰好悪いな…と言うノイズでいっぱいです。輝さん、この涙ノイズどうすれば良いですか?〉
はい。話しかける事は出来たんですね。すごいと思います。本当に人を好きになると、涙ノイズ、元を辿っていくと、全部好きな人にもらった涙ですから。素敵な恋からの贈り物ですよね。今日はある意味、背中を押させていただこうと思います。cuneで”リフレイン”】
この放送で、果実の方が、もしかしたら大樹が、夜中ど真ん中。なのでは?と気付き始めた。
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