第6話





5年前の当時、その私が新規開拓したジャンルではスチームパンクな和洋折衷和装と普段着着物が普通に流行っていた。今でもだいぶ浸透してきたほうだと思う。私はその流行りにのらせてもらったのでそれを恥じることなく自分なりにもアレンジして新たな自由を得た。


ああ、髪を降ろしてもいいんだな。帯なんて、季節の花なんて、時期なんて、生地なんて、場なんて。


なにも気にすることはないのか。

そうだ。学とは自由に楽しむための道具。

教養のせいで不自由になっていては本末転倒だ。

それがわかっていたというのに。

あやうくまた馬鹿な連中と同じ罠にはまるところだった。

目を覚まさせてくれてありがとう。


そうして得た自由とやってみたら簡単に会得出来た知識と技能でとりあえず祭りやイベントというものはひとりでも行けるけれどひとりだと何かとなのでフォロワーや友人たちを巻き込みながら言葉巧みに誘い込み巻き込みハードルを下げ手を引いて着物を着せたり和装させてみたり遊んでいたのが26くらいまでの話。


30までにできるようになれたらかっこいいかもしれないと思ったお太鼓結びはそのハロウィーンイベントのあと23の冬にはもう普通にできた。動画を見ながらその通りにしたら3回目にはできた。これも本当に誰にでもできるんだろうな。畳んで抑えて紐を通したらよいしょっと背負って止めるだけ。正直ハリポタに嵌った時期にネクタイのノットを覚えた時より断然楽だった。いい時代に生まれたものだ。ぐぐれば大抵のことはわかるし、わかれば大抵のことは出来る。


彼女も水を得た魚のようにきものあそびを楽しむようになった。

私にきものを貢げば衣装箪笥が空くから新しいものが買えるらしい。

業だ。かわいい彼女のカルマが私のコレクションを彩っていく。


それを受け入れ続け、楽しみ続け、

そうして私の手元にやってきたこの子。


黒のような赤紫色の、3Dのような立体視を起こす織模様の彼女。



付喪神のゆかりちゃんだ。



それが私が書きたい物語の主役。

彼女をめぐる物語を紡ぎたい。




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