第4話 美人は得?

「なあ、先生」



それはある日の放課後の教室での事だった。


三樹君が私に声をかけてくる。




「何?」

「先生、今迄どんだけの男と寝た?俺に手取り足取り教えてくんない?」

「あのねー、どうして1日1回は、そういう話を持ち込むかな?」

「美人な先生だから。男に飢えなかったんだろうなぁ~と思って」



「………………」



「何か言えよ!まさか図星な訳?」

「…誰もが美人って、そう思うわよ…でも…得した事なんて何1つないんだから…」

「じゃあ、男を騙した?顔で体で誘惑した?」

「してないわよ!変な事言わないで!私は…」



「………………」



「何?」

「何でもないわよ!」



私は教室を出た。




ドンッ

出て直後、誰かとぶつかった。




「きゃあっ!」

「ってぇー」

「何処見てんだよ!」

「ご、ごめんなさいっ!」




走り去る私。




「なあ今の先生?」

「あんな美人いたんだ。良いよなぁ~。あれだけ美人ならや想像してヤれそうじゃね?」

「クックッ……分かる!」



彼等は、そういう会話をしながら去って行き、三樹君も教室を後に帰るのだった。





それから一ヶ月が過ぎた、ある日の放課後。私は図書室で調べものをしていた時の事だった。




「ここの図書室、本が沢山あるなぁ~。しかも薄暗いし」


「ここは男女の溜り場」




ビクッ

声に驚き目を向ける。




「三樹君」

「放課後になると、あっちこっちで Hしているらしいぜ」


「そ、そう。ていうか…あなた私が何処か行く度に現れるのね…」


「偶然だろう?」

「タイミング良過ぎよ…あっ!あった…」



私は本を取ろうとした。


スッ

手が伸び本を取る三樹君の姿。




「あっ…本……」



渡す素振りをする三樹君に受け取ろうとする私の手を掴み抱きしめられる。



ドキッ



掴んだ手をすぐ離されたかと思うと三樹君の背中に回され 、三樹君の両手が私の腰と後頭部には三樹君の手が回され、かなりの密着。


気付けば唇を交わしていた。



「………!!」



唇が離れる。



「ちょ……」



再び唇を奪われ深いキスをされた、吐息交じりの声が洩れた。



かあああっ~と恥ずかしくなる。



「可愛すぎじゃね?初めてしましたって顔すんのって……反則っしょ?つーか初めてじゃねーんだろ?」


「それは……」


「……それはって…どっちにとれば良いわけ?した?してない?」


「そんな事……」



「まあ……どちらにしろ……俺…引かないから」


「えっ?」


「あんたの事」




そう言うと私の前から去った。



「………………」




私はその意味が分からなかった。




そしてこれは事の始まりに過ぎなかった


先生と生徒の禁断の恋


二人の間に


ゆっくり


ゆっくりと


恋の炎が見え隠れしていた















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