第10話 思い出 ~ promise to fall in love ~
どうして
思い出だけ
残るのだろう?
思い出と共に
消える事はないのでしょうか?
人は
思い出だけじゃ
生きていけなくて
でも……
時には思い出に
浸る事もある
思い出は
一生の宝物だよね……
「夕、俺、夕季ちゃんと付き合う事にしたから」
「夕季ちゃん?そっか」
「だから、お前がさ魅憂ちゃんの支えになってやれよ。お前なら任せられる。つーか…お前であって欲しいかな?それが、夕季ちゃんと俺からの願いかな?」
「政貴…」
「お前なら大丈夫!なっ!押し付けてる感じがするなら申し訳ないけど、俺達はそんなつもりはないから」
「ああ…でもさ…正直…魅憂ちゃんの彼氏が導いてんのかもって…思うんだ…」
「えっ?」
「俺…この目になってからさ…奇妙な偶然…度々重なってんだ…」
「えっ!?マジで言ってる?」
「ああ。マジな話。足が勝手にフラフラ~って向かった先にはさ絶対に魅憂ちゃんがいるんだ」
「ええっ!?お前は予知能力者かっ!?」
「案外、そうかも。魅憂ちゃんに関しては不思議な事が多くて…天国の彼氏も本当は心配で仕方がないのかもな…正直…今…魅憂ちゃんが…気になる存在に近いかも…いっつも不思議な感情になる」
ある日の事。
「魅憂ちゃん」
「あっ!夕哉君」
「魅憂ちゃんは、臓器移植した人が不思議な体験したりとか好みや嗜好が変わるって事あると思う?」
「う~ん…そうだなぁ~…テレビでは聞いた事あるよ。そういう特集じゃないけど不思議体験する人いるよね?どうして?」
「俺さ…前に目の手術したんだけど、この目になって…不思議な事ばっかり」
「へぇー、凄いね!テレビに出れるよ」
「そうかも。だけど…出たら彼氏が妬きそうだから…その前に怒られるかも」
「えっ?どうして?」
「俺が…この目になって見に覚えのない光景が見えたんだ…」
「見に覚えのない光景?」
「そう……。…海と…雪……そして…今…俺の目の前にいる…君…魅憂ちゃんの顔…」
「…えっ…?や、やだなぁ~…冗談にも程があるよ…」
「…この近くに…海ありますか?って…尋ねたらさ…数分行った先……に…」
「…えっ…?」
私は静かに涙がこぼれ落ちた。
「…魅憂…ちゃん……?」
「……そうだったんだね…今…ハッキリと分かった……」
「えっ?」
「キラが…彼氏以外に飛び付いた事なかったから…初対面の夕哉君に飛び付いた事には疑問だったんだ…キラは分かっていたのかな……?」
「…魅憂ちゃん…」
「礼二…私の彼氏…なんだけど…同じ病院に入院していたんだ…本当…数分先にある海で……息を引き取ったんだ…そこで……」
私はその日の思い出が蘇る中、夕哉君に話をする。
【なぁ…1つだけ約束してくれないか?】
【何?】
【俺が死んでも恋はするって約束してくれないか?】
「……私は……うんって言わなかった……と言うより言いたくなかったんだ……礼二が…遠くに行ってしまいそうな気がしたから……」
「……………」
彼女は……
ゆっくりと……
思い出を語るように話をしていく……
まるで……
悲痛な胸の内を語るかのように
そのまま話を続けていく……
「そうしたら…彼何て言ったと思う?……死んでも死にきれないなんて言うもんだから分かった約束するからって私は答えた……その後……すぐに静かに眠って……私の隣で永遠の眠りについたんだ……」
「………………」
「……その時……絶対に “うん” って言わずに意地張ったまま…“約束する”って事も…言わなかったら……まだ……生きてくれてたのかな…?って…後悔したんだ……」
「……魅憂ちゃん……」
「……でも……それじゃ礼二がずっと辛くて苦しい思いするだけだよね……それに……こうして……夕哉君にも会えてなかったかも…しれないのにね…それだけじゃない…夕哉君の人生に…光が見えてなかったんだよね……」
私は夕哉君の両頬を優しく包み込むように触れる
「あなたに出逢えて良かった……礼二の思い出がある瞳だけど…もう…夕哉君の瞳だから…思い出に惑わされないで夕哉君の人生を歩んで」
俺はその彼女の言葉に
何故か
一筋の涙がこぼれ落ちた……
「夕哉…君…?」
彼女は驚いていた。
そんな俺自身も驚いた。
だけど…俺は思った。
彼氏が流した涙のような気がした……
ねえ礼二
私は
彼の事を
一人の男として
見れるかな?
礼二を愛したように
彼の事を愛せるかな?
ねえ……
礼二……
見守ってくれる?
恋をする約束
きっと……
果たせるよね……?
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