第9話 その瞳の奥から・・・

それからキラは、5匹の仔犬を産んだ。



「可愛い~♪本当、ライにソックリかも!ライにも見て欲しかったな……キラ、良く頑張ったね!」



私は、仔犬が産まれた後、夕季から夕哉君に報告してもらった。



「魅憂、連絡先聞いてなかったの?政貴君にでも聞けば教えてくれたんじゃないの?」


「政貴君?聞く理由が分からないんだけど」


「どうして?友達なら教えてくれるんじゃないの?」


「政貴君は私が好きなのに、イイ気しないと思うよ」


「あ、そうか…そうだよね…じゃあ、夕哉君、本人は?」


「時々、会ったけど……本当、偶然だったけど……聞く事はなかったよ」


「教えようか?」

「ううん、大丈夫」

「連絡先、交換すれば良いのに」


「良いよ。交換した所で私から連絡する事ないし」


「夕哉君から連絡くれるかもしれないじゃん!」


「そうかもしれないけど…」


「魅憂、もしかして礼二君を裏切る事になるって考えてるんじゃない?」


「えっ?」


「でなきゃ、躊躇する理由ないと思うよ。普通なら連絡先交換して出掛けたり出来る訳じゃん?友達として仲良く出来るはずだよ」


「それは…」


「魅憂…まだ時間かかる感じなのかな?」



「…………」



「ごめん。責めてるつもりはないけど気悪くしたなら謝る。ごめんね」


「ううん」



その日の夜。



私の携帯に見掛けない番号からショートメールが入ってきた。




♪~


『今晩は。ゆうやです』

『まさきが、みうちゃんの連絡先を教えてくれたので連絡してみました』

『届いたか確認の為に、返事下さい』




♪~


『ゆうや君?みうです』

『私も、ゆうきに連絡先交換したら?って今日学校で言われた所だったよ』



♪~


『無事に届いたみたいで良かった』

『そうだったんだ。改めて宜しく!』



♪~


『こちらこそ宜しくね』



♪~


『仔犬の件は、家族が了承したので2匹頂戴!』



♪~


『2匹?』



♪~


『そっ!2匹欲しい!ライの子供♪』

『性別が分かったら、教えて!』



♪~


『分かった』




私達は、色々話をしていた。




その後、仔犬の貰い手も全て決まり、私の所には、母親であるキラと仔犬・ハナと名付け、メス犬を育てる事にした。


夕哉君には、オスとメスを渡す。




ある冬の日。


空はどんより雲っている。


散歩中、空から雪が舞う。




「…雪…」



礼二が他界して1年を過ぎようとしていた。



「…あれから……1年…か……礼二…私…まだ…約束守れてなくて…ごめんね…」



私は海を眺めながらぼんやりとしていた。



スッと背後から抱きしめられる。




ドキン……



≪えっ?…誰…?≫



「……焦らず…ゆっくりで…良いんじゃない?」



私の視界に入ったのは夕哉君の横顔だった。




ドキッ



「夕哉…君…?」


「…俺…魅憂ちゃんのそういう顔……何回も見てきた気がする……この目になって…何度…君の笑顔見たんだろう?」



ドキン…



向き合う私達。




瞳の奥から私を見つめる


彼の視線と表情は


何故か切なく見えた……




まるで


礼二から見つめられてる気がして……


それは……


どうして…?



































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