第4話 思い出の光景

「何か最近ここに来るの習慣付いてんだよね」


と、夕哉君。



「私は元々からだけど…」


「そうなんだ。俺さ目の手術してから、前以上に海見るの好きになって……しかも冬の海がお気に入り」



ドキン



「えっ?」

「海と雪」



ドキッ




≪私の思い出の光景≫



「そうなんだ」

「魅憂ちゃんは海、好き?」

「あ、うん…海、好きだよ。前彼が凄い好きだったから」


「えっ?そうなんだ。別れたの?」

「……別れたっていうか……他界しちゃって……」



「えっ?……あ、悪い…俺…」


「ううん、平気、平気。…だけど……良い加減に忘れて次の恋しなきゃならないんだろうけど……」


「…出来ないの?」

「踏み込めなくて…」


「魅憂ちゃん…別に、ゆっくりで良いんじゃねーの?無理に恋しても良い恋出来ないと思う。いつかきっと好きになる人現れるだろうし人を受け入れる事が出来る迄、今を生きていれば良いじゃん!」


「…うん…ありがとう…」


「ライーー、帰るぞーー」

「ワウワウ」



駆け寄るライ。

後を追うようにキラも走り寄る。



しかし、犬は違う飼い主に飛び付いた。



「って…そっちかよっ!」と、夕哉君。

「誰かさんに似てるんじゃない?」

「誰かさんって…何?えっ!?それって俺って言いたいの?」

「だって飼い主に似るって言うし」

「うわっ!そんなキラも俺に飛び付いたし」



私達は騒ぐ中、お互い自分の犬を繋ぎ帰るのだった。





ある日の事。


「魅憂、以前グループデートしたじゃん?」

「うん」

「その中の一人から告白されたんだよね?」

「うん」


「その子がどうしても、また出かけたいって言っているらしいんだ。付き合ってあげてくんないかな?彼、魅憂の事、凄い気に入ってるみたいで友達として出掛ける位良いでしょう?お願い!」


「…それは…」




そして、出掛ける約束をし彼のメアドと携帯の番号を教えてもらい一先ず私は連絡をした。



出掛けた当日の夕方、キラの散歩に出掛けた時だった。



「あっ!ちょ、ちょっと、キラ待って!」



ドサッ

転ぶ私。



「もうっ!」



私は後を追う。



「ワウワウ」




人影に駆け寄るキラ。



「ワウ」

「うわっ!」



ドサッ



「キーラー。もうっ!」

「ほら、ほら。ご主人がお怒りだぞー。キラ」

「…ごめんなさい…」

「相変わらず」

「あっ!夕哉君だったんだね?どうりで。あれ?ライは?」



「アイツの散歩は済んで、親父が偶々通り掛かって連れて帰って貰った」

「そうなんだ」

「そうそう。あっ!そう言えば今日、政貴と出掛けたんだろう?」

「うん」



「アイツ、すっげー楽しみにしていたし」

「…そうか…」

「事情がどうであれ出掛けたいって言っていたみたいだし。アイツ、魅憂ちゃんの事マジみたいだしさ」


「うん…今日も告白されて…」

「そうなんだ」

「うん」



私達は少しの間話をしていた。





















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